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失語症とコミュニケーションの違いとは?

脳外臨床研究会会長 作業療法士 山本秀一朗
セミナーレポート作成 言語聴覚士 yucco

フルリカバリーを目指し、全国のセラピストと共に成長し続ける脳外臨床大学校で活動するyuccoです。

脳外臨床大学校オンラインサロンでは、日々たくさんのセミナーが展開されており、オンラインサロン内だけで留めておくのはもったいない!!
全国の悩んでいるセラピストや困っている患者さんの力になる学びを届けたいと思い、セミナーレポートとともにお届けしています♪

《はじめに》

リハビリのゴールや目的地に到達するために、意思の疎通やコミュニケーションがとれた方が良いですよね。
しかし、失語症の患者さんのリハビリにおいて、言葉が通じない、話してくれないからコミュニケーションが取れなくて困っている状況があると思います。

コミュニケーションと失語の関係性。
本当に失語症があるとコミュニケーションが取れないのでしょうか?

目的は言葉を話して欲しいわけではなく、話を聞いてほしい、読めるか、書けるかではなく、コミュニケーションができるかということです‼︎

《失語症とは?》

失語症とは、言葉を失っている症状です。
定義は、聞くこと、話すこと、読むこと、書くこと、を失っていること。
もともとできていたけど、脳血管障害によって失ったことを失語
と言います。
コミュニケーションとは、知覚情報や感情、思考を伝達することです。
相手との意思疎通をしていくことです。その手段の一つが言語です。

言語という手段を失うことでコミュニケーションの一部が欠損します。
だからこそ、手段である言葉が必要だと思っています。
聴く、話すには言葉を知っていないといけません。
この言葉を失ったことで意思の疎通が取れないと思っています。
この言語を提供することでコミュニケーションが取れると思っています。

目的はコミュニケーションができなくて困っています。
つまり、知覚・感情・思考の伝達ができないから、患者さんとやりとりできずに困っています。

なぜできないのでしょうか?
失語症だという言葉を失った人だと理解します。
だから言葉を獲得をしたら良いという目的になっていませんか?
そうなると、単語の獲得、単語理解、全てを言葉で獲得することを考えてしまいます。

言葉を獲得することで、コミュニケーションがとれるように、これが目的です‼︎

《コミュニケーションが上手い人とは?》

私たちは、聴く、話す、読む、書くを獲得しているけど、全員がコミュニケーションが上手いわけではありません。

聴き方、話し方、読み方、書き方など質が変わります。
この4つを獲得してもコミュニケーションは上手くなりません。

コミュニケーションは言語の役割が多いけど、大半を非言語で行っています。

例えば、言葉では反省していると言っていながら、反省しているという感情が伝わらない時はないですか?
「嬉しい」って伝えているのに、嬉しさが伝わらないことはないですか?
もし、コミュニケーションが全て言語で行われるのなら、私たちは言葉だけで理解できるはずです。「ありがとう」「楽しい」「嬉しい」など。。。

この言語と何かが合ってないと「そう思ってないでしょ?」と矛盾が生じます。
言語以上に、非言語をみられています
つまり、行動や動作、表情で、意思伝達されます。

嬉しいか嬉しくないかは、表情や行動から読みとります。
相手の感情を理解するのは、ミラーニューロンで、頭頂葉にあります。

言語は端的だし、共通言語なので伝わります。
しかし、なぜ同じセミナーを受けたときに、言葉は一緒なのに伝わり方が違うのか?と思いませんか。
本を読めば理解できるなら、全員本を読めばいいけど、実際はそうではないですよね。
話を聞く方が良い人、絵で見る方がいい人と、文字で読む方がいい人など、感覚情報のとり方は人によって違います。

行動や動作、表情に人の心は動くからです。
なぜ、人は知覚・感情・思考のやりとりをするかという言うと、コミュニケーションには心のやりとりが大事だからです‼︎
だからここをいかに共有するか、心を伝えることが重要です。

例えば、好きを伝えるときにLikeもLoveも好き、もしくは大好きという言葉しかないのです。
嬉しいの最上級って何ですか?「とても嬉しい⁉︎」「めっちゃ嬉しい⁉︎」
これの違いは行動や表情によって起こります。
心を伝える言葉のバラエティが少ないのです。

《コミュニケーションの獲得に必要なこと》

実は状況判断を理解することが先に起こります。
コミュニケーションの獲得には非言語の治療展開が必要です。

失語症が起こるのは側頭葉から頭頂葉を通って前頭葉へいく経路で障害されます。
ミラーニューロンは障害されないため、表情の理解はできます。
単語だけでやりとりすることも必要かもしれない。
しかし、私たちが表情や行動の徹底化をしているかが重要です。

上肢の練習や精神を見るのが得意なのはOT‼︎
上肢を使ったコミュニケーションや表情を使ったコミュニケーションをどのようにとっていけるか。

それを統一しているか?

大半は非言語でコミュニケーションをとっています。
一早く生活においてコミュニケーションをとって馴染むために、意思疎通ができることが大事です。

「聴く」「話す」「読む」「書く」の一次性の治療展開はしないといけないですが、PT,OTがすべきことは何でしょうか?

手振り身振りで状況や感情を伝えようとするための上肢アプローチがあります。
上肢を使ったり、表情や行動で表したりします。

コミュニケーションを早期の段階で獲得させることができます。
いかに非言語でのやりとりを活用できているか?

失語症の患者さんにゆっくり話したら聞こえるかって言ったらまた違います(耳が遠いわけではないからです)。
理解できるかできないかはスピードの話ではありません。

コミュニケーションの手段は言葉だけじゃないってことを知ってほしいです‼︎
大半が状況判断、行動で理解しています。
非言語でのコミュニケーションの取り方を考えていくことは大事です。

聴覚障害の患者さんは手話を使っています。
手の動かし方に伴って共通認識を得ることをしています。
難聴の人は身振りや手振りから視覚情報から理解しています。
良いか悪いかというと、コミュニケーション(意思伝達)には絶対良いと思います。

表情と言っていることの不一致は違和感を抱きます。

パーキンソンのように仮面様顔貌だと、「楽しかった」と言われても、そこに本当にそうなのかなと言う疑問が生まれてしまいます。
逆に、「つまらん」って言ってニコニコしていると、楽しそうだなと表情や行動の方の理解が優先されます。


行動が心を示すって知っています。
行動の方が意思疎通には強いのです。
コミュニケーションは身体を動かす要素がものすごく大事になってきます。

PT,OTは非言語コミュニケーションへ介入していきます。
S Tも身体を見てほしい。
言葉だけの獲得ではない、知覚・感情・思考を伝える手段なのです。

目的は単語の絵カードの獲得ではなく、意思疎通のための単語から練習してほしいと思います。
伝えたいのに伝わらないことにフラストレーションを感じます。
まずは伝わること、伝えることをやってほしいと思います。
非言語の練習をして、コミュニケーションを変えることは大いにできます。
言葉たくさん知っていても、伝わらなければフラストレーションは解消されません。

伝わるか伝わらないかが重要です。
行動や表情がとても大事です‼︎

身体の練習にもコミュニケーションにも繋がります‼︎

《動画はこちらからどうぞ(28分09秒)》


全国の悩んでいるセラピストに届くように、臨床のヒントとなり患者さんがよくなるように、心を込めて書いています。応援よろしくお願いいたします❣️