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【詩】愛を忘れた小鳥

愛を忘れた小鳥が歌う

わたしに愛は必要ないの
素敵な巣箱と
美味しい木の実で十分よ

ある日の朝に
素敵な巣箱に
傷ついた小鳥が舞いこんだ

ほんの少しの間だけ
ぼくをここにおいて下さい

小鳥はそれが嫌だった
けれど、追い出すわけにもいかず
しばらく我慢することにした

次の日
小鳥が巣箱にもどると
「お帰りなさい」と彼が言った
それから、しばらくおしゃべりをした

「丘の向こうに行ってきたの」
「蝶々がたくさん舞ってたわ」
「美味しい木の実も見つけたの」

「ぼくも一緒に飛びたいな……」

その次の日
小鳥が巣箱にもどってみると
彼は、どこにもいなかった

まるい窓から見下ろしてみると
彼は子猫のうでの中
羽が一枚舞っていた

愛を忘れた小鳥は歌う

わたしに愛は必要ないの
素敵な巣箱と
美味しい木の実で十分よ

なのに、どうしたことでしょう
なぜだか、涙がとまらない

彼は飛ぼうとしたのかしら
わたしと一緒に飛ぶために

愛を忘れた小鳥は歌う

わたしに愛は必要ないの

けれど、彼とともにいた
ほんの少しの時間だけ
優しい気持ちでいられたわ



▽▽▽ 朗読 ▽▽▽
紫乃さんの素敵な声が、ぼくの詩の世界を描いてくれました🌸
紫乃さんの朗読は、こちらからお聴きいただけます。


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