マイクロソフトのアクティビジョン・ブリザード買収を承認か?特許観点での買収シナジーは?
はじめに
筆者は大学生からゲームにハマり、ゲームで青春を謳歌し、今に至る。休みの日は資格試験勉強がなければ、必ず友人とゲームをしたいという渇望が湧く。遊ぶお金もかからないし、最高の娯楽と考えている。
学生時代はアクティビジョン・ブリザードがリリースしている
「Hearth Stone」をよくやったものだ。(大会も出たことがある。)
そんな中、マイクロソフトがそのアクティビジョン・ブリザードを買収したというニュースを発見した。
マイクロソフトが買収予定の「アクティビジョン・ブリザード」 買収目的と経緯
去年からゲーム業界を賑わせている出来事として、マイクロソフトのアクティビジョン・ブリザード買収がある。ちょうど1年前にマイクロソフトのプレリリースにおいて、買収を発表した。
ブリザードといえば、有名なゲームとして、
競技e-sportsとして人気な「Overwatch」
FPSで超人気ゲームである「Call of Duty」
MMOオンラインとして海外で人気な「World of Warcraft」
など数多くの人気ゲームを保有している。
この買収にあたって、マイクロソフトのメリットは商標やブランドの観点以外に何があるのか、特に特許の点はどうなのか?について考察したい。
マイクロソフトの買収(商標・ブランド・特許以外)のシナジー・メリット
そもそも、この買収により事業の売上高が増大する。
また、2022年のAnual reportでは、
どこでも好きな方法で(名作タイトル)ゲームができることを目指しているとのこと。実際近年、Xbox Cloud Gamingのサービスを開始し、ゲームソフトを買わなくても、好きなゲームをいつでも買えるサービス体制が出来上がっており、またサブスクリプションサービスも開始している。
また、
とも記載されており、マイクロソフトの方針は明確である。
マイクロソフトの買収の特許面でのシナジー・メリット
特許の技術を大まかに理解する上で有用なのは、特許分類をみることだ。下記がブリザードの特許分類一覧である。(特許全件数での付与数で降順にしている)
特許は約20件(ファミリー)保有している。
こちらの分類を見ると、オンライン対戦やMMO(多人数同時参加型オンラインRPG)に関する特許があることがわかる(テクスチャや協力プレイ、観戦などの特許分類)。
実際に、ブリザードは、WoW(World of Warcraft)などのMMOのゲームを昔から保有している。(2004年から今まで続いており、ロングヒットゲームである。)
ブリザードは今までヒットしたWoWを運営しているが、Microsoftは、過去にMMOに挑戦したが、失敗している。
Vanguardは2014年にサービス終了
こちらも製作中止
この買収で、念願のMMOの技術・ノウハウをゲットできる可能性ができ、マイクロソフト自前のMMOヒット作品ができる可能性もある。
では、具体的な特許をみていく。
具体的特許例
おそらく、MMO RPGにおける、敵NPCの発生(環境変化)についての特許かと思う。
A63F 13/40 ・ ビデオゲーム装置の入力制御信号の処理,例.プレイヤーにより生成された信号または環境に由来する信号[2014.01]
が付与されている。
統計的な内容の特許なので、おそらく、戦略ゲームやカードゲームと考える。
ブリザードのオンライントレーディングカードゲームといえば、ハースストーンである。
こちらは、図がハースストーンのインターフェース(下図)そのままであり、オンライントレーディングカードゲームの特許である。強化学習モデルの特許に関することから、NPC・AIのプレイヤーが強化学習モデルに基づいてアクションを起こすという特許であろう。
こちらもMMOに関する特許である。
こちらもMMOのテクスチャに関する特許であろう。
マイクロソフトが保有していない特許分類は?
マイクロソフトが持っていないブリザードの技術はないのか?
分析した結果、以下の分類であることがわかった。
H04N 21/658 :・・・クライアントによるサーバ向けの伝送[2011.01]
こちらが付与された特許は以下のものである。
もう少し詳しくみてみる。
ゲーム内で、ゲーム観戦と観戦者同士のコミュニケーション取れるものようだ。
実際ブリザードは観戦機能にとても力を入れている。
特に特許に該当する内容としては、以下の内容だと考える。
マイクロソフトの通信技術の強さを考えると、シナジー・メリットはゲーム観戦技術となるかもしれない。
まとめ
マイクロソフトの買収にあたって、マイクロソフトのシナジー・メリットは商標やブランドの観点以外に何があるのか。
特許の点で調査・分析した結果、マイクロソフトのシナジー・メリットは以下を推察する。
MMO(ヒット作品)の技術及び特許(事業拡大のシナジー)
ゲーム観戦の技術及び特許(×マイクロソフトの通信技術とのシナジー)
業界シェアや売り上げでなく、技術の面でも大きなメリットはあると考える。
以上
おまけ
ブリザードのその他の特許
出願番号:US 201615374523 A
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概要:あるアプローチでは、ゲームサーバーは、複数のゲームクライアントを使用してプレイされるビデオゲームの試合中に発生するイベントを記録する。試合が終了した後、ゲームサーバーは、ゲームカテゴリの複数のプレイに対応する複数の基準に従ってイベントを採点する。スライディング ウィンドウは、いくつかの増分でイベントに渡されます。各増分中に、スライディング ウィンドウ内にある各イベントのスコアがカテゴリごとに集計されます。次に、ゲーム サーバーはゲーム カテゴリのプレイを選択し、そのカテゴリの最高の集計スコアを決定します。決定されると、ゲーム サーバーは 1 つ以上の命令をゲーム クライアントに送信します。これにより、ゲーム クライアントは、選択されたカテゴリの上位の集計スコアに対応する時間ウィンドウの増分中に発生したイベントのリプレイを表示します。
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出願番号:US 201615374523 A
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概要:あるアプローチでは、ゲームサーバーは、複数のゲームクライアントを使用してプレイされるビデオゲームの試合中に発生するイベントを記録する。試合が終了した後、ゲームサーバーは、ゲームカテゴリの複数のプレイに対応する複数の基準に従ってイベントを採点する。スライディング ウィンドウは、いくつかの増分でイベントに渡されます。各増分中に、スライディング ウィンドウ内にある各イベントのスコアがカテゴリごとに集計されます。次に、ゲーム サーバーはゲーム カテゴリのプレイを選択し、そのカテゴリの最高の集計スコアを決定します。決定されると、ゲーム サーバーは 1 つ以上の命令をゲーム クライアントに送信します。これにより、ゲーム クライアントは、選択されたカテゴリの上位の集計スコアに対応する時間ウィンドウの増分中に発生したイベントのリプレイを表示します。
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概要:本明細書では、各ユーザの内部スコアおよび外部スコアを維持するゲームシステムの技法について説明する。システムは、実証されたユーザー スキルを反映する内部スコアを維持します。システムは、正確な内部スコアを使用して、内部スコアに基づいてゲームプレイ インスタンスに参加するように選択されたユーザーに関連付けられたクライアント コンピューティング デバイス間の通信を容易にします。ユーザーに表示される、システムによって維持される外部スコア。外部スコアはマッチメイキングに使用されないため、外部スコアは内部の一貫性を必要とせずに何らかの方法で調整できます。たとえば、ゲームプレイの停滞に対処するために、ゲームプレイ システムは維持されている外部スコアを定期的にリセットします。しばらくの間、リセットされた外部スコア間の比較は、ゲーム内のユーザーのランキングを正確に反映しません。ただし、ユーザーがゲームプレイに参加すると、外部スコアはユーザーの内部スコアと同様のレベルに戻ります。
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