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いわゆる「ビビッと来た」というやつがもしコレなら、私にはポップオーバーとの明るい未来の可能性がある…ッてコト!?

いつ何時も美味しいものを食べたいが、「美味しいもの」という概念や言葉そのものから発される夢のようなイマジネーションの輪郭は意外と曖昧だ。

その発言の目的は、空腹を満たしたい、だけではない。例えばこの漠然とした生活のうちにおいて健やかでポジティブに五感の拡張を体感したいという欲求だったり、慣れ切ったルーティンにまだ未知があるということを知りたい好奇心だったりもする。或いは、せめて喜びを最短経路で感じられる方法で悲しみを紛らわせたいとか、そういうやつの時だってある。
いずれにせよ「美味しいものが食べたい」という気持ちは正直で可変で、永遠だ。時に凍て付き、時に沸騰し、されど水は水のまま、姿を変えては流れ続けるみたいなものだろう(違うよね)。

その日も通常運転で「あ〜美味しいもの食べたい」モードでTwitterを彷徨っていたら、なんとも美味しそうな写真を見つけた。飯田橋のグランボッカさんというトラットリアのメニューにある、ポップオーバーというパン。

シュークリームの皮みたいにサクフワでモチモチらしいのだが、そのビジュアルときたら…握り拳よりも大きくてこんがりきつね色!しかも焼き立てを塩バター風味のホイップとメープルシロップをかけて食べられるそうで、なんなら食べ放題なのだという。夢?

運命の相手に巡り合った時のことを「ビビっと来た」なんて言うが、なんか、たぶんそれだった。これを食さずして終える人生が見えない。今でなくても必ず巡り会える気がしているが早く会いたい。これまで知ってきた味の記憶の蓄積から導き出される集積としての嗜好に合致するほかない。つまり色々大袈裟に言ってみたがめっちゃ食べたくなっちゃったのだ。

先日夫と連れ立ってついにグランボッカさんに行ってきた。オフィスビルの一角ながら上品で活気のある雰囲気がもうすでに美味しい。テーブルについてくださったウェイターさんがとても気のつく方で、それも嬉しかった。

そして…来ました…ポップオーバー!
うわーーー!!

べろん

ずっと憧れてたポップオーバー。
見てくださいッこの…お皿からはみ出るくらいの大きさを…これが、焼き立ててあったかくて香ばしいんですよ…隣にあるのが塩ホイップ(なんならすごく硬くホイップしてあってもうほぼバターだった、絶品だった)です…
大きめにちぎって、塩ホイップとメープルをつけて、頬張りましたらね…

天国、だった…
あまりにも理想通りの味すぎて、速攻でぺろりと一つ食べてしまった。大きいながらとても軽いのであっという間で、その名残惜しさすら愛しかった。

なんか…、遠い国の姫の肖像画に一目惚れして、いざ会いに行ったら思い描いていたよりもずっと美しくて気立が良かった、みたいなのってこんな気持ちなんだろうか…ポップオーバーそのものも美味しいけどそこに塩ホイップとメープルってのもまたイイ、姫に例えるなら国王と王妃様の育て方が良かったみたいなことか…?
私が王子ならそりゃ幸せにしたいよ。ドラゴンとも闘うし悪政を正すために奔走する。姫の姿を思い描いたその先にある、幸せな未来を思い描くんだ…

いやはや…この体験。
まさに「美味しいものを食べる」である。

夢中で食べ進めて気がついたら3つ目をお願いしていたし、なんならウェイターさんノリノリで塩ホイップのおかわりくれた。ええんか!?と思いつつ惜しみなく使って食べた。無駄や過剰ではなく、贅沢であった。

ちなみにこちらのお店はローストビーフもミディアムレア具合があまりにも最高だった

美味しいもの食べる、ビビッとくる…
なんだかどちらも曖昧模糊としているが、いざその局面が訪れるとあまりにも鮮やかだし、そうとしか表現し得ない。稀有な体験だからこそありがたいし、追い求めたくなるんだなぁ…と、ポップオーバーを頬張りながら考えていた。
明るい未来。食べ物との明るい未来というとなんか変だが、好きな食べ物として存在してくれるものが増えたことは私の未来をかなり明るくしてくれる。ポップオーバーとの出会い、こういうのがあるから人生はやめらんない。

ポップオーバー、大好き。

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