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ラフランスを見て記憶の中の概念フルーツを思い出すなど

静物画が好きだ。皿に盛られたフルーツ、周りに置かれた本や動物や、時に盛者必衰のシンボルたる楽器や骸骨。意味があってもなくても静物画は素敵。なんとなくダークな色味で精緻な描き方をしてるものばかり思い浮かぶが、ディテールというよりは静物画というジャンルに流れるテイストで覚えていがちだ。

で、本当ぼんやりとしてて我ながらアレなんだけど静物画のフルーツといえばで思いつくのが葡萄、りんご、時々桃やプラム、あとなんか…なんか概念みたいなフルーツ…存在するけど気配消えてて、けど絶対視覚が覚えてる例えるならあのラーメンの謎肉みたいなやつ…

その「あれ」に似てるな、と思ったのだ。
今朝ラフランスを冷蔵庫から出した時に。

なんだか今年、ラフランスがとても美味しくてしかもお手頃じゃないですか?スーパー行くと大抵喜ばしい値段で置いてあってほぼ毎回買っちゃう。味も爽やかで本当に美味しい。

なんとなく夏に似合いそうな味わいだなぁと思いながら食べてふと気が付いたのだけど、この透明感やちょっぴり切ないまである爽やかさ、これは終わりかけの冬の日差しみたいだった。暖かいのにつめたくて、眩しいのに穏やかで。床に落ちる日当たりは掴めそうなクリーム色に見えるのに、もちろん透明である。そんなつかみどころのない優しい物体がもし味になったなら、今朝のラフランスみたいになるだろうなと思った。

ラフランスは見た目もすきだ。熟れてない食べ物みたいな色。多分記憶の中にある概念静物画の中にある概念フルーツも、他の果物が映えるような緑っぽい色をしてたのかもしれない。優雅だ。おおフランス、ラフランス…
こんなに硬そうな色なのに、剥くと真珠や貝の内側のごとき艶々の白。ゴリゴリで微妙、ではなくちゅるーんと甘いのが良い。

ラフランスのように中身がつるんと綺麗で味わい深くて瑞々しいという現実がこの世界にあり、その素晴らしさを知っていて信じたい気持ちが私からいなくならない。
初めて果物を食べた人や動物はその魅力を信じて命を賭し、その結果美しさに加えて美味しさものちに生きる私たちに受け継がれて今日がある。いつが最初なんだろう。概念静物画が描かれた時とか、この食べ物はあったのだろうか。
そしてその時から現在の間にいろんな知恵と工夫でより美味しくなっても来ているだろうけれど、それもすごいよな、冷蔵庫にも奇跡が宿っているんだよなぁとつくづく思う。

あー。それにしてもなんのフルーツが描かれてるんだろうか、静物画…。ラフランスな気がするんだけど、誰のどの絵を思い出してるのかもわからない…むむむ。


ラフランス、大好き。

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