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【全国優勝者シリーズ】練習は2種類! ~「再現性を高める」と「殻を破る」

昨日、全国大会優勝者の動画第三弾を撮影しました!今回は(弓道の)より実践に踏み込んだ内容なので、皆さまにそのまま還元できるものは少ないですが、これまで二十数年間積み重ねてきた暗黙知を形式知にする良いきっかけとなりました。彼とは私が大学生の時からの長い付き合いですが、後輩が頼もしく成長していくのを見るのは先輩冥利につきますね。

本日は、その動画撮影を進める中で出てきた『2つの練習を切り分け、交互に行うスパイラルで自分の地力(ベース)を高めていく方法』について書いていきたいと思います。

タイトルにも付けた通り、普段行う練習を大きく分けると、『再現性を高める練習』と『殻を破る練習』の2種類になります。
これらは両方ともパフォーマンス向上に大切なものですが、普段切り分けて意識していない人もいるのでないでしょうか?この2つの練習の違いだったり、今自分がどちらを主軸に練習しているのか、今の自分に必要なのはどちらなのか、などを明確に意識すると、より効果的に自分の力を高めていくことができますので、ぜひ以下を参考に、普段の練習を振り返ってみてください!!

①『再現性を高める』練習
「再現性」とは、ザックリ言うと『自分の意志で同じ行動(およびそこから発生する結果)を何度も繰り返し行える度合い』のことです。
例えば、バスケのフリースローを投げる際に、適当に放ったボールがゴールしたとしても、一応それはそれで「結果が出た」ということになります。ただ、「自分がどうやって意識をし、その結果身体がどう動き、結果がどうなったか」という因果関係(ロジック)を自分の中できちんと整理できていないと、もう一度適当に投げたとしてもゴールする確率はかなり低いです。このロジックを自分の中でしっかりと落とし込んで、何度でも自分の思い描いた動きを繰り返せるようにする練習が「再現性を高める練習」になります。
この練習を行う時のポイントは3つです。そのポイントは、1⃣ 自分の意識・行動・結果の間の因果関係(ロジック)を明らかにする、2⃣ 極力動作をシンプルにする、3⃣ ミリ単位でズレを確認するの3点です。
1点目に関しては「紙に書き出す・記録に残す」というのが大事になってきます。1回1回の挑戦がデータとなり、それを何十回、何百回、何千回と積み重ね、その記録を冷静に見ることで、自分の行動のパターン化を行うことができるようになります。意外にも、自分の競技記録をしっかりと残している、と言う人は少ないものです。今からでも遅くありませんので、日々の練習の記録をしっかりとつけることをオススメします。
2点目に関しては、『型』や『基本』を徹底することが重要です。型や基本・基礎というのは、先人たちが長い年月を積み重ねて「これが最も効率が良い」としてきたある種の完成形です。もちろん、人それぞれ体格差や違いがあるため、基本形が完全に当てはまることは無いですが、それでも大きくは外れてはきません。ここをニュートラルとして、極力余計な動作を削っていくことで、余計な意識や行動をすることが避けられます。そうすると、ミスをする確率も下がってくるため、再現性が上がっていきます。
最後の3点目は、『客観視』がポイントです。他人にフォームを見てもらう、ビデオで撮るなど、感覚などの自分の「主観」に頼るのではなく、目で見て、自分の感覚(主観)と現実(客観)がどれくらいズレているかを確認するようにしましょう。このズレの確認をする際にも、先ほど挙げた『型・基本』が活躍してくれます。すなわち、この型や基本というのがモノサシとなり、ここからどれくらいズレているか、というのを基準として見ることで、主観を押さえながら自分を第三者的に見ることができるようになります。

②『殻を破る』練習
「再現性」はいついかなる時でも(たとえ試合で緊張していたとしても)一定の結果を出していくためには大変重要なことです。これを意識せずに年単位で高いパフォーマンスを維持していくことはできません。
では、この再現性を高める練習だけしていればパフォーマンスは十分上がっていくのか?答えはNOです。なぜなら、この再現性を高める練習というのは、「今の自分」の実力を定着させていくことを目的としており、自分の上限を挙げてくれる練習ではないからです。そのため、この練習とは別に自らの限界を超えていくための『殻を破る』練習も必要になってくるのです。
とは言え、こちらの殻を破る練習については、ほとんどのアスリートが自然に行っていることが多く、あえてここで言及するほどのことはありません。例えば、トップアスリートのプレー(動画でも)を見て、自分の現状と比較してギャップを明らかにし、そのギャップを埋めるために動作の修正等を図るという、ありきたりなものです。
ここで皆さんにお伝えしたいのは「一度殻を破ったら、再現性を上げる練習を一度挟むようにしましょう」ということです。
気持ちとして、毎日少しでも成長したい、限界を超えたい、というのは非常に良く分かります。ただ、毎日毎日やることを変え、新しいことばかりしていてもそれは本当に自分の血肉となり身についたと言えるのでしょうか?新しく習得したものが本当の意味で自分のものになる、すなわち「いかなる場面でも使える」ようになるのには、時間がかかります。せっかく起こした良い変化も、自分に落とし込む前に新しい変化に飲み込まれてしまって消え去ることも起こりがちです。一度『殻を破る』ことを行って良い結果が出たら、一度落ち着いて『再現性を高める』練習を挟み、自分に落とし込んだ後に再び『殻を破る』練習を行い、正のスパイラルで自分の力を底上げしていくようにしてください。

再現性を高めることと殻を破ることはクルマの両輪のようなものです。どちらかだけでは高いパフォーマンスを発揮していくことは出来ません。しっかりとそれぞれの役割を意識して使い分け、中途半端にならないように練習に臨むようにできれば、きっと良い成果が出せるはず!!

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