日誌「リスナーが望むビートルズにはならなかった」

2021年6月13日 23:35

梅雨のサイン

曇りの日曜日。12時には起床という珍しい展開だった。朝食兼昼食を食べてから、コーヒー豆などを買うために街へ出る。雨がぱらぱらと降り始め、まもなく梅雨入りの予感。なぜか今日はビートルズの「A Day In The Life」を聴きたくなった。この曲が収録されているアルバム『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』の良さが分かったのはわりと最近。コンセプトアルバムは取っ掛かりにくいところもあるし、サイケデリックな雰囲気が苦手だったのかもしれない。

当時のレコーディング技術と工夫

あらためて聴くとテンションが異常に高く、彼らのアルバムの中でもかなりポップだと思う。「A Day In The Life」の最後のコードはEメジャーが鳴っているが、メンバーやスタッフの数名で複数台のピアノを同時に鳴らして録音したらしい（音量とサスティンが欲しかった）。今だったら、誰か一人が弾いた音をコピーするなどして簡単に再現出来そうだけれど、当時のレコーディング技術ではそうするしかなかった。というか、どんな時代でも「こうしたい」とミュージシャンが考えていることを具現化するのがレコーディングという作業だと思う。ただ、前述の通り1967年当時は簡単ではなかったので、きっと今以上に創意工夫をする必要があったのではないだろうか。その辺も個人的な聴きどころ。

探究心と決意

なにより、それまで何年も世界中でライブをしてきたロックバンド感がある。表面のポップやサイケさに隠れているものの、根ざしている荒々しさがすごい。この後から徐々にバンドは解散へ向かっていきますが、あれだけ売れていればベストアルバムを幾つも出すとか初期と似た路線でひたすらやっていくこともできたはず。でも、決してそうはせず、音楽や技術の進歩と共に自分たちに何ができるかをつねに考えていた。リスナーが望むビートルズにはならなかった。その探究心と決意を感じるようなアルバムだと思う。さて、明日から関東は梅雨入りらしい。