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入試問題出典分析:2021年度慶應義塾大学医学部

▼2021年度慶應義塾大学医学部の入試英文読解問題の出典は以下の通りです。

第1問

※第1問出典の作者のTwitter

第2問

第3問

▼例年,慶應義塾大学医学部では医学系のテーマの英文が出題されることが少なかったのですが,今年は非常に異例で,読解問題3問中3問とも医学系のテーマの英文でした。また,中でも第2問は,2020年9月1日の The New York Times の記事で,例年,大学入試問題で出題されるニュース記事は遅くとも前年の6月か7月の記事なのですが,9月1日の記事が出題されるというのはきわめてまれなことだと言えます。

▼おそらく,コロナに関する英文を出題しようと考えた場合,2020年春ごろの記事では情報が不足していたことから,できるだけ遅い時期のニュース記事を使うことで信頼性の高い情報が書かれているものを使いたかった,という意図があったのではないでしょうか。この第2問の英文はパンデミックによる孤立状態が人々にもたらした影響について書かれたものでしたから,そうしたデータが出るまで待っていたのかもしれません。

▼また,慶應義塾大学医学部では例年,100語程度のライティング(自由英作文)が出題されるのですが,2021年度はそのテーマが以下のようにコロナ関連(リモートワークの利点と欠点)だったことも特徴的かもしれません。

"During the COVID-19 pandemic, there has been a trend among those who can do so toward working from home.  Write 100 words or so in English on what you consider to be the advantages and disadvantages of this trend. "
(COVID-19のパンデミックの中,家庭から仕事ができる人々の間で,そのようにする傾向があった。この傾向の利点と欠点と考えられることについて100語程度の英語で述べよ。)
(2021年度慶應義塾大学医学部第4問・和訳は引用者)

▼コロナウイルス禍の中で,医学部を目指す受験生として日ごろからニュースをチェックし,それに関連した自分の意見を英語で的確に述べることができるかどうかが試されている,と言えるでしょう。平素の慶應義塾大学医学部の入試問題はどちらかと言えば医学系テーマよりも広く一般的なテーマのものが出題されることが多いのですが,今年度はある種,コロナウイルス禍での緊急事態下における緊張感を反映した問題のように見受けられました。

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