いぬお

その辺に転がってる30代独身男(ゲイ)の拗らせ雑記帳。思ったことを徒然なるままに書いて…

いぬお

その辺に転がってる30代独身男(ゲイ)の拗らせ雑記帳。思ったことを徒然なるままに書いていきます。多分mixiの日記のテンションで書き殴ってます。駄文乱文お許しください。

最近の記事

虎に翼と透明化を巡る話

NHKの朝ドラの「虎に翼」の中で轟が花岡に"惚れていた"ということについて脚本家の吉田さんが正式にXでそのようなセクシャリティを念頭に置いて書いたと表明していた。 当事者としてまさか朝ドラでそんなエールがもらえる日が来るなんて全く予期していなくてそのポストが仕事中に流れてきたとき本当に嬉しくて暫くトイレに籠もってそのポストを噛み締めていた位だった。 普段周りには基本的にクローゼットにしていて婚活な勤しむ30代男性として擬態している。職場では独身ネタで自虐して、架空のマッチ

    • 悩みのるつぼと関心領域とカウンターディスコース

      朝日新聞の悩みのるつぼのコーナーが炎上していた。50代男性が「不正義や理不尽な行動を伝える新聞報道を見るたび、怒りに燃えて困っています。」と相談したものについて、回答者の野沢直子さんが「あなたがそこまで心配しているなら、その地に行って自分の目で確かめてくるべきだと思います。」(もう少し過激な表現もあったが…)として、(必ずしも現実が見れないのであれば)「世の中が酷くなるかどうかは誰にもわかりません。そんなことを嘆く前に、今自分が幸せなことに感謝して自分の周りにいる人たちを大切

      • 異人たちと父の肖像

        ちょっと前に『異人たち(all of us strangers)』を見た。山田太一の小説『偉人たちとの夏』をコンテクストをロンドンのクィアに変更して描かれた物語だった。 主人公は両親を幼少期に亡くしたシングルのゲイで物語は同じアパートのゲイの住人が酔っ払った勢いで絡んでくるところから始まる。そのうちその男と付き合い始めるが、両親の幻影が見え始めそれを不審に思ったパートナーの男が真相を確かめるといったストーリーだった。 物語全体にLGBTQであることの悲哀に両親がいない孤独

        • ホールドアップなスキルセット:キャリア論その3

          会社の偉い人から「この資格の勉強をすれば、この会社をやめても活かせるよ」と言われた。いや、そんなわけないと喉まででかかったが大人なので我慢した。 経済学の一分野である契約理論においてホールドアップ問題という論点があり、そこでは大企業の下請けが大企業に特化した設備投資(関係特殊的な投資)をすればするほど、大企業の要請に従わなければならなくなり価格の支配力がなくなるというジレンマを表した問題だ。 これを労働者に当てはめると関係特殊的な投資をすればするほど(特定のスキルを持てば

        虎に翼と透明化を巡る話

          ホゲ・リプレゼンテーション(エゴイスト感想)

          少しブームは過ぎたけれど映画「エゴイスト」の話をしたい。 もちろんストーリーも素晴らしいのだが、今回主演の鈴木亮平さんの演技がとても素晴らしく、インタビューにも配慮を持って臨んでいる姿がとても印象的だった。 マイノリティのリプレゼンテーション(表象)の問題は日本では多分殆ど議論されることはない。LGBTQの当事者の役者はほぼ皆無だし、障害を持ってる人や特定の人種などの当事者が必ずしもその役に割り当てられることはない。 絶対にすべての作品でそうでなければならないととまでは

          ホゲ・リプレゼンテーション(エゴイスト感想)

          お守りとスティグマの間:診断書

          今まで30年程度生きてきた中でしんどいときはそこそこあった。その中でもコロナ禍のときにパワハラな上司に会ってしまったことは多分一番自分の中でしんどい経験であった。明らかな睡眠障害も発症してたため心療内科にも通って睡眠薬と抗うつ剤を処方してもらっていた時期もあった。 そこで初診のときに医者から「診断書書きましょうか」と言われた。反射的に「いりません。まだ大丈夫です。」と言ってしまった。 正直、早朝覚醒は酷いし、仕事でのミスは止まらないし、スマホの検索窓の履歴には「仕事 つら

          お守りとスティグマの間:診断書

          ikigaiと好きと得意:キャリア論(その2)

          仕事について考えた時、必ずしもそれだけが人生の構成要素すべてではないとは思っているという注釈をつけた上で、やっぱりストレスフリーだったり満足できる仕事をしたいと思うのは普通のことだと思う。 多分そんなことからスペイン人のエッセイストのHéctor García とFrancesc MirallesはIkigai: The Japanese Secret to a Long and Happy Life を書いたのだとおもう。この本は沖縄のおばあを通じてikigaiというコン

          ikigaiと好きと得意:キャリア論(その2)

          山を見ながら川を下る:キャリア論(多分その1)

          人事系の本を読んでいたときにキャリア形成の仕方について川下り型と山登り型という言葉に出会った。大雑把に川下りとは流れに身を任せて与えられた仕事の中で受動的に決められるキャリア形成の仕方、山登りは自分から目標を決めて登山ルートを自分で決めながら進むキャリア形成の仕方だとか。 ぱっと聞くと山登りの方が主体的でいいのではと思ってしまったがそうでもないらしく、山岳地帯に行く格好で何もわからず登ってみたら高尾山だったみたいなことも起こり得るため、日本の企業においては(殊更、総合職とい

          山を見ながら川を下る:キャリア論(多分その1)

          腱鞘炎

          ちょっと前に腱鞘炎になった。 多分原因は色々あるが、運動で腕を酷使した挙げ句noteをスマホで書きまくってたせいであると思う。 負担がないように両手打ちでできる限り親指を使わないようサポーターをつけ、腱鞘炎になったことで運動も休むようにした。 元々ダイエットをするために暗闇系エクササイズのスタジオに通い始めた。流行りのハウス音楽に合わせて筋トレとかをするなんかイケてるやつである。効果がそこそこ出たのに気を良くして、のめり込むように通い始めて半年程度。ほぼ毎日運動をしていた

          夏越の大祓と無季を過ごすこと

          通勤電車に揺られた車窓の外に夏越の大祓の茅の輪くぐりの輪が見えた。もうすぐ6月の末になる。大祓は年2回6月と12月の末にある。その時期になると各地の神社で人形に穢れを移し、水に流す行事が行われる。 京都に恋人がいた3年間夏越の大祓は欠かさず行っていた。それだけでなく京都の寺社仏閣で催される各イベントに毎週参加していた。寺社仏閣も多く伝統行事もそこそこ頻繁に開催されているのである。信心深くもなんともない標準的な日本人ではあるが京都の寺社仏閣の行事は観光の意味も込めて色んな物に

          夏越の大祓と無季を過ごすこと

          コンパクトの異世界解釈

          大学の時に取っていた授業の中でいくつか心に残っているものがある。その中の1つが解析学(数学の一分野)の授業であった。 授業の内容としては一学期かけて、連続性の一般化をしていくものであった。証明方法も何をやっているのかも当時から意味がわかってなかったが、とりあえず曖昧な記憶と知識で語ると「この世界(ユークリッド空間)で端が明確に定められた滑らかな線がある(有界閉集合で関数が連続している)」ことを一般化して「位相空間で有限個の膜で覆うことができる(コンパクト性を持つ)」というこ

          コンパクトの異世界解釈

          恋の終わりと同性婚

          1年前に3年半付き合った同性の恋人と別れた。 厳密にはケンカをし、そのまま相手との連絡が取れなくなったのだ。 不誠実だとか、ゴースティング最低だとか色々思うことはあるが、終わってしまったことは仕方がないと今は前を向いて生きている。 今月に入り、プライド月間でそこそこイベントがあったり、「結婚の自由をすべての人に」訴訟も全国の裁判所で結果が出揃いつつある。そんな流れを見てると日本も社会が変わりつつあるのかなと少し思いつつ、もし同性婚が将来の選択肢としてあったらその人とも別れ

          恋の終わりと同性婚

          車と悼む

          先日、10年乗った車を手放した。 ペーパードライバーな母一人の実家で使うこともないからまだ自分の方が使うだろうという判断で引き取ったものであったが、結果自分も全く使わず、ついに母親に話を押し切られ手放した形になった。 全然使うこともないので動かそうとするたびにバッテリーが上がり、JAFのお世話になっていて申し訳ないと思いながら何度もJAFを呼んだのを思い出す。 話は変わるがこんまり先生の「人生がときめく片づけの魔法」で色んなものの捨て方を説明している中で、"思い出の品"

          車と悼む

          嘘つき

          注意:LGBTQネタが苦手な方は見ないことをおすすめします。 今日も1つ嘘をついた。 というか多分社会生活を送るようになってから毎日何かしら嘘をついて生きている。 何か誘われれば嘘の予定を言って断るし、今どこにいるのかと聞かれても適当に繕う。趣味もあえて深くまでは説明しない。週末の予定も誤魔化すし、好きな番組やユーチューブの動画もわりとよくその辺の人気なやつを言ったりもする。 そんな日常を送っているが罪悪感を感じたことは多分ない。いつの間にか自然に嘘をつくことを習得して

          「鞄」と就活

          「選ぶ道がなければ迷うこともない。私は嫌になるほど自由だった。」(安部公房『鞄』) 安部公房の鞄という作品の中でとある不思議な鞄を持った青年が鞄に導かれて主人公の元へ就活の面接を受けにくる。鞄に決められた枠の中で生きる青年の話はとてもシュールであるが青年自体は全くそれに対して疑問を持っていない。 「鞄」はなんかのメタファーだとか色々言われているが、とりあえず自分にとっては初めて意識した「鞄」が就活のときの「なんとなく同級生の中で流れていた就活の雰囲気」であった。 就活初

          「鞄」と就活

          ラベルと中身と生きづらさ

          「ゲイであると生きづらいんじゃないですか?」 普段クローゼットな自分でも匿名な世界ではオープンにするときもある。これはそんな時にふと聞かれた質問であった。 多分、求められてる反応としては「もちろん生きにくいですよ、だって…」と理由を滔々と語ることだったのであろうが、その時その質問にひっかかりを覚えて微妙な反応を返してしまったことを覚えている。(質問者を批難する意図は全くない) あれからたまに自分の属性と"生きづらさ"について考えていて、たしかに"生きづらさ"を感じる瞬間

          ラベルと中身と生きづらさ