力が入っているときに、ふと思い出す光景。
2007年1月。
私のセンター試験のお話。
志望校的に必要のない科目の試験は受けなかった。午前中のテストを受験し、次の必要科目までの空き時間、会場を抜け出し、一旦家に帰った。
家に帰ると「なんで帰ってきてんねん」とオカンに怒られた。
朝、家を出る前に伝えたはずだったけど、うまく伝わってなかったようだ。
もう一度同じ説明をしたが、どうも納得いってない様子だった。
けどまあ、いいやと無視して、階段をのぼり、お風呂場へ。ひとまずシャワーを浴びてリフレッシュする。
緊張感から少しだけ解放された昼シャンは格別だ。
そもそも昼シャンが格別なのに、他のみんなが試験をヒーヒー受けてるなかの昼シャンは、ものすごくスッキリする。
窓からは雲一つない晴天。
朝の天気は、恥ずかしいくらい冬してた。
午前中の寒々としたどんより空とは大違い。
お風呂から上がり、時間を確認する。
予定通りでホッとする。
着替えて、再び試験会場へ。
オカンに本日二回目のいってきますを告げる。
オカンから本日二回目のいってらっしゃいを頂戴する。
一回目より気の抜けたお見送りだった。
*
再び試験会場に向かう途中思ったことがある。
合間の時間をマイペースもマイペースに過ごした後、再び向かう試験会場への道中は、午前中のそれとは明らかに違ってみえた。
***
朝は殺伐としていた。
どんよりと薄暗い雰囲気。
電車もギチギチで生気のない人が多かった。
受験生が同じ駅で一斉に降りて、揃いも揃って同じ方向に歩き出す。一問一答の問題を出し合う人もいれば、少しうつむいて1人で単語カードをパラパラめくりながら歩いてる人もいた。
会場は大学だった。校門付近には、〇〇ゼミだの、△△塾の応援隊みたいな人が大勢いて物々しい。
校門の前には、担任の先生もスタンバイしていて「平常心やで!平常心やで!絶対ぜーったい!平常心っ!!!」と激励を受けた。先生のアツさがみんなの心に火をつけてしまい、逆に平常心を保つのが難しくなってしまった。
*
さて、15時くらいにまったりと再登校。
電車は余裕で座れた。
駅で降りたのは、数人。
試験会場の大学に向かうのも数人。
大学周辺の畑では、おじいちゃん。
えっほえっほと農作業。
歩道をのらりくらりと歩き試験会場へと向かうボクをチリンチリンと買い物帰りのマダムがのんびりと追い越していく。
お祭り感のあった校門前は、閑散としている。
目がバキバキだった予備校の先生方は、どっさりと壁にもたれかかりタバコふかしたり、缶コーヒー飲みながら、ダルそうに駄弁ってた。
***
そんな景色を目の当たりにして思った。
当たり前だけど、今日という日を大袈裟に考えているのは、センター試験を受ける人だけなのだ。
所詮も所詮、人類の大多数にとって、今日も今日とて平々凡々な日常に過ぎず、なんてことない日なんだよな。
そう考えたとき、今日イチ、力が抜けて、妙に冷静になった。
平常心ってこういうことか、と学んだ。
・こぼれ話
この記事が参加している募集
最後までお読みいただき、ありがとうございます!サポートしていただいたお金はビールかスーパーカップかおむつ代に使わせていただきます。 これからもゆるく頑張らせていただきます。今後ともよろしくお願いいたします。