12球団の2013年~2022年ドラフトで指名した野手が2023年シーズン終了時点で通算安打数がそれぞれどのようになっているのか、気になったので調べてみました。
~阪神~
阪神は10年間のドラフトで2023年に18年ぶりのアレ、38年ぶりのアレのアレを達成した主力メンバーを軒並み獲得。10年間でのトップはプロ7年目の虎の主砲、大山悠輔選手となった。
また、プロ3年目で中野拓夢選手は通算448安打、佐藤輝明選手は372安打を放っており、主に大卒・社会人選手をドラフトで的確に当てた結果、ハイレベルな選手層となった。
中でも抜き出ているのが近本光司選手。プロ入り5年目での通算773安打はプロ野球新記録となった。
しかしながら、高卒選手は12球団で唯一の0人となった。
~広島~
広島は2016年~2018年のリーグ3連覇の主力の一人、プロ10年目の田中広輔選手が堂々のトップ。
また高卒8年目の西川龍馬選手が通算815安打と順当に育ったが、2023年オフにオリックスへFA移籍となった。
一方で全体で見ると上位5選手と下位5選手の差が歴然となっており、さらに下位5選手はプロ5年目以内の選手となっているため、広島の中堅野手層の薄さが顕著に表れる結果となった。
それでも高卒5年目の小園海斗選手は通算383安打を放っており、若きスター選手も台頭している。
~横浜~
横浜のトップはドラ9指名の佐野恵太選手となっており、見事な下剋上を果たした。
また、大卒3年目にして牧秀悟選手が通算465安打と驚異的なペースで安打を量産している。
また、特筆している訳ではないが中堅層に当たる選手もまとまってバランス良く安打を放っているので、近年の横浜の選手層のバランスの良さを物語っている。
~巨人~
巨人のトップは絶対的主砲、岡本和真選手。安打でも通算857安打と抜きん出た結果となった。
また、巨人の中心選手の吉川尚輝選手、大城卓三選手がトップ3入りを果たしている。
かつての正捕手小林誠司選手が通算359安打となっているが、以降の選手らが一時期レギュラーとなるも定着には至らなかった結果、さらにチームの補強選手の余波を受けた結果、中堅層の選手は似通った安打数となっている。
~ヤクルト~
ヤクルトは令和の三冠王、村上宗隆選手がトップに。チーム内でも特筆する安打数となった。
また、中堅層の年齢ながらも遅咲きだったためか、現在一軍主力である塩見泰隆選手、山崎晃大朗選手は通算300安打台となった。
また、若手選手の台頭も目立つ反面、10年間のドラフトでの中堅選手層の薄さも少し目立つ結果となった。
~中日~
中日のトップは京田陽太選手となったが、2022年オフに横浜へトレード移籍、さらに2位となる阿部寿樹選手も2022年オフに楽天へトレード移籍となり、チーム通算安打数トップ2が揃って放出される異例の事態となってしまった。
さらに戦力外通告となった選手も3人おり、さらにさらに通算150安打未満の選手が12球団最多の6人もトップ10入りとなってしまった。
結果として中堅層の生え抜き選手が木下拓哉選手以外皆無となり、プロ4年目以内の若手選手が12球団最多となる4人もトップ10入りするという、歪なドラフトの成果となってしまった。
それでも岡林勇希選手は高卒4年目にして通算341安打となり、驚異的なペースで安打を量産している。
~オリックス~
オリックスはメジャー移籍を果たした吉田正尚選手が日米通算1039安打(NPB通算884安打)となり、12球団最多となった。
また、全体的にもハイレベルかつ高卒3人、大卒4人、社会人3人とそれぞれバランス良くトップ10入りを果たしており、2021年~2023年のリーグ3連覇を果たしたチームの地力の強さを物語る結果となった。
とくに恐ろしいのが通算300安打以上の選手が12球団最多の9人、10位の頓宮裕真選手(2023年首位打者)
すら通算230安打とオリックスのスカウト能力、育成力の凄さを物語る結果となった。
~ロッテ~
ロッテは中村奨吾選手がトップ。同一球団で放った通算安打は12球団最多の959安打と圧巻の結果となった。
また、2017年~2019年ドラフトで指名した野手が多くトップ10入り。
年齢的にもまだまだ若い選手が多いため、将来的にハイレベルな選手層を予感させる結果となった。
なおロッテは12球団で唯一トップ10の選手が移籍せず、全員在籍しているチームとなった。
~ソフトバンク~
ソフトバンクはトップは上林誠知選手となったが、2023年オフに戦力外通告となり、中日へ移籍となっている。
また、チームが毎年優勝争いかつ毎年有名選手の大型補強を繰り返し、さらに高卒中心ドラフトの影響のため、若手選手の出場機会が限られており、12球団で最も安打数が少ない結果となった。
~楽天~
楽天はチームトップが茂木栄五郎選手に。
また、12球団最多で大卒選手が7人もトップ10入りとなった。
とくに2018年ドラフトの大卒野手が4人もトップ10入りとなっており、2018年ドラフトが当たりドラフトであったことが伺える。
~西武~
西武は森友哉選手がトップとなったが、2022年にオリックスへFA移籍となっている。それでもNPBのみでの通算安打数は森友哉選手がトップである。
さらに2018年、2019年リーグ連覇の主力である源田壮亮選手、外崎修汰選手も含め通算800安打以上の選手が3人もおり、ドラフトの上手さ、育成力を示す結果となった。
しかし森友哉選手、さらに山川穂高選手がFA移籍と選手流出が止まらない問題もある。
~日ハム~
日ハムは岡大海選手がチームトップであるが、2018年にロッテへトレード移籍。さらにトップが通算389安打であり、これは12球団ワーストの記録となった。
また2位の渡辺諒選手も2022年オフに阪神へトレード移籍となっているため、中日と同じくトップ2の選手がトレードという異例の事態となった。
それでも全体的に見ると200安打以上の選手は現在在籍している中で5人ランクインしているため、特出している選手がいない代わりに着実な育成力を見せている。
~12球団総合トップ10~
過去10年間でのトップはメジャー移籍を果たした吉田正尚選手。2023年WBCで侍ジャパンの4番も務めた男の実力を知らしめる結果に。
NPBトップは森友哉選手。2013年ドラフトでドラ1指名で鳴り物入りでプロ入りを果たした男は2年目にして早々に打撃が開花。首位打者も獲得するなどNPB屈指の強打者として現在は吉田正尚選手の後任として、オリックスの主軸を務めている。
あまり打撃は注目されていないが、源田壮亮選手が既に通算929安打。まさに源田たまらん状態である。
そして異彩を放つのが近本光司選手。5年間で773安打という驚異的すぎるペースで安打を積み重ねており、このペースでいけばプロ10年目には通算1500安打の可能性も視野に入ってくるだろう。
~感想~
私はドラゴンズファンなので、ドラゴンズの結果を見るとやはり案の定な結果だと思いました。
10年間でのトップ10の内5人が退団。そして今シーズンの圧倒的貧打。本来チームの柱になって欲しい生え抜きの20代半ばの選手が全くいないのでは、そら打てないよと思いました。
そもそもこうなった原因も、2010年~2015年は大卒・社会人選手中心のドラフトから2017年~2020年まで高卒選手中心のドラフトに方針転換した結果、2015年までの高卒野手が皆無。さらに2017年以降の大卒・社会人野手が皆無となり、結果現在の20代半ばに当たる生え抜き野手がそもそもチームにいないという編成の失敗にあるので、今回のような結果となりました。
ただ岡林勇希選手、石川昂弥選手、龍空選手はドラゴンズの柱になる選手なので、これからも成績は伸びるでしょう。
一方で敵ながら心配になったのはソフトバンクです。
ソフトバンクは圧倒的な資金力で大補強を繰り返しチームの強さを維持しているとはいえ、育成ドラフトでの大量指名もある中、近年なかなか生え抜き野手が台頭してきていないのは深刻でしょう。
それでも4軍まである育成環境は驚異的すぎます。もしかしたら今後に台頭してくるかもしれません。
そして敵ながら天晴れなのが阪神とオリックス。
両チームは2023年に優勝を果たしましたが、その優勝の原動力がそのままドラフトの結果に反映されました。
今回は2013年~2022年という期間でまとめましたが、時が経てばまた違った結果になることでしょう。
今後どうなるか期待したいですね。