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飲食店アルバイトのトラウマ①

バイト面接連敗中の私は、絶賛求職中だ。毎日複数の求人サイトを見漁って、少しでも気になったものは片っ端からいいねしている。そんな私も飲食店のアルバイトは絶対にしないと心に決めている。数か月前までは飲食店で働いていたが、HSPの自分にはしんどすぎた。

昨年秋の私は、「個人経営のお店のほうが規則も緩いし、みんな仲良くて楽しいよ。」という友達の話を信じて個人経営の飲食店でのアルバイトを探した。食べるの大好きだし、賄いがあるところがいいな…なんて考えて、時給は最低賃金だけど賄いありの個人経営の洋食屋さんを見つけた。お店の公式Instagramに直接メッセージを送ったらやる気のある子だと評価され、面接した日に即採用が決まった。面接後すぐに若くて気さくな店長がオムライスを作ってくれ、これからこのお店で働けるの幸せすぎる!なんて浮かれていた。

そのお店は店長がシェフとしてすべての料理を作っていた。アルバイトは私含めても数名で、みんな大学生だったこともあり話しやすく、優しい人たちばかりで大好きだった。でもやはり人数が少ないとお店が回らないこともあって、忙しい日は店長のママが手伝いに来てくれた。アルバイトみんなのママみたいで、私たちをとても可愛がってくれた。すっごくお世話になった。

きっかけは何だっただろうか。思い出せないほど小さなことだ。店長がママに激怒していた。それもお客さんがいるランチ中に。カウンター席とテーブル席合わせても最大20名ほどしか入れない小さなお店であったうえに、客席から料理の様子が丸見えのオープンキッチンだったから店長の怒鳴り声は店中に響いた。

私が驚き戸惑っていると、もうひとりのバイトの子が「よくあることだから気にしちゃだめだよ。」と耳打ちしてきた。常連のお客さんも慣れている光景のようだった。ママはお客さんに気を遣って笑顔を取り繕っていたが、店長はランチ営業が終わるまでずっと不機嫌だった。

働いているうちに私の中でもこの光景は日常化したが、他の子のように割り切って受け流すことができなかった。ぴりついた空気に耐えられなくて、店長の機嫌が悪いと緊張してしまった。でも普段の店長は気さくで優しくて、年齢が近いからかバイトのみんなも意見が言えるような人だった。賄いはおいしくて、他のバイトもママも大好きだったから辞めようとは思ったことがなかった。

働いて1か月が経ったころ私はめちゃくちゃに怒られた。理由は忘れてしまったけれど、店長に「もう(働き)始めて1か月経つよね?そんなこともできないの?やる気がないなら辞めてもらっていいから。」と言われたことは覚えている。私はたぶんこの日を境によく怒られるようになった。

反省してないとかではなく、店長が怒るのはいつも唐突で理不尽だった。常連さんと店長の会話を聞いて、もう一度常連さんに注文変更の確認をしたら「今の聞いてたらわかるよね?いちいち確認しなくていいから。」と怒られたり、大皿料理を注文したわけでもなくお客さんから要望があったわけでもないが店長が「あの卓に取り分け用の小皿持ってって。」というので行こうとしたら、「言われなくてもやれよ気が利かねえなあ!」と怒られたり。結局そのとき持って行った小皿はいらないと断られた。

怒られる度に、「辞めたいなら辞めてくれていいから。」と言われた。毎回お客さんの前で泣きだしそうだったけれど、歯を食いしばって笑顔をつくっていた。クローズしてからほかのバイトの子やママがいつも慰めてくれて、励ましてくれた。だから頑張ろうと思えていた。

でもある日気づいたことがある。私はほかのバイトの子が怒られているのを見たことがなかった。店長が怒鳴るのはいつも私か、ママ。

(②へ続く)

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