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飲食店アルバイトのトラウマ②

思えば、私以外のアルバイトの子達は暴虐無人な店長の扱いが上手だった。

もちろん経験の差もあるかもしれないが、みんな店長に怒られたことはないようだった。店長も、「俺○○ちゃんには怒ったことないよな?いつも気持ちよく仕事できて助かるわ〜。」なんてデレデレしながら言っていた。私なんて見えてないみたいに。

みんなは明るくて、気が利いて、ノリがよくて、店長の求めている返しができる子達だった。店長と普通におしゃべりができて、普通に意見が言える子達。甘え上手で、でも仕事覚えが早い子達。私と正反対。

私がいつも怒られたときに「辞めたいならいつでも辞めていいから。」と言われるのは、私がやる気がないように見えているかららしかった。怒鳴られてもお客さんの前では歯食いしばって仕事を続けていたのに、「怒られて落ち込む奴1番嫌いやねん。」と言われた。

やる気ってどうしたら表現できるんだろう。昔からそうだった。運動部に所属していたとき、試合中自分に精一杯の声を出していても、「声が聞こえない。やる気あるのか。」と言われた。高校生の頃やっていたファミレスのバイトでは「とにかく元気がないね。」と言われた。結局、やる気がある子は元気な子ってことなのだろうか。

店長に怒鳴られて1番辛かったことは、店長の常連のお友達を接客したときのことだ。いつもと同じように席に案内して、注文をとって、料理を運んだ。「ごゆっくりどうぞ。」と言ってキッチンに戻ってきた時、店長が「おい!」と怒鳴った。

「今料理出す時何も言わんかったやろ!」そんなことはない。料理の説明をして、きちんとマニュアル通りのことをした。私が戸惑って言葉を詰まらせていると、「おい聞いてんのか!」とすごい剣幕だった。

客席も凍りついた。私は「言いました!」と涙声で反論した。やってもないことで怒られるなんて理不尽すぎる。「言ってないやろ。何お前がキレとんねん。」と返された。聞こえなかったと言って何も信じてもらえなかった。私は例のお客さんが助けてくれるのを待ったが、何も言ってくれなかった。

「もういいわ。」と言って店長はお友達とタバコを吸いに外に出た。怖かった。泣きそうだった。我慢していたけど、ママに慰めてもらって涙が溢れた。その日はバスに乗らず、泣きながら歩いて帰った。

次の日シフトが入っていたのは最悪だった。気が重かった。いつも通り入ると、「昨日はごめんな。」と軽く謝られた。「ちゃんと言ってたんやな。連れから聞いたわ。」遅いよ、言うの。謝られても嬉しくなかった。「俺はまだ(私の名前)ちゃんと働きたいと思ってるから。これからも頑張ろうな。」なんて調子のいいことを言われた。正直、気持ち悪いと思った。この時私は辞めることを決心した。

辞めると伝えてからお給料だけ貰いに行った。気まずかったし、「大学頑張ってや」なんて絶対思ってない不機嫌な顔で言われた。ママにも他のバイトの子達にも挨拶できなかったのは少し申し訳なかった。よくしてもらったのにな。すぐにグループLINEを退会させられていたのに気付いて、やっぱりあの店長気持ち悪い、と思った。

こんな経験から私は飲食店で働くことが嫌になった。食べることは大好きだけれど、自分が働くのは合っていなかったみたいだ。所詮バイトなんだから、辛かったら辞めた方がいいってお母さんの言葉に救われた。次は飲食店じゃなくて、元気がなくても働ける職場がいい。

こんなこと言ってたらまた面接で落とされそうだけど。

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