見出し画像

美しくないことに対する言い訳

この文章は、小林美香さんの「女性の身体で生きている」への返信2です。往復書簡みたいなかたちで続けていこうと考えています。マガジンの方もフォローしていただけるとありがたいです。

売れ残りギリギリのクリスマスケーキ

 美香さんの前回の記事で、「妊娠・出産・授乳時に女性の身体で生きてる(というか彼女が書いたのは哺乳類の雌)と感じたのは2年間」とあるのを読んで、自分はどうだったのかなと考えてみた。私の場合は、実家にいた頃は、兄と弟に囲まれ、父と祖父が電気工事の会社を営んでいたガテン系の家でしたのでどちらかというと、女性に生まれたことが大事にされていたのかといえば、確かに大事にされていたかもしれないですが、「女性は勉強しても無駄」「女性は嫁にいくのが幸せ」「女性は男性のいうことを聞くのが幸せ」みたいな感じでした。はい、昭和ですね。ええ昭和の生まれなもんで。

 どこの江戸時代か。昭和ってもうそんな昔なんだ。。こちらがびっくりしますわね。繰り返しますが、父親には、大事にされていたと思います。でも、それは男性の支配下にいることにおいて庇護を受けるみたいな、そんな感じでした。埼玉の群馬よりの田舎のせいもあったかもしれない。だからこそ、女性でいることはずっと前から意識はしてた気がする。

 つまり私は「女性として生きている」ことは初潮がきてから、ずっと思っていたのにもかかわらず、女性でいることを認めるのが嫌だったという何か複雑なものを抱えておりました。だからスカートも履かなかったし、髪もいつも短かった。兄や弟が母親に、愛されているのを悔しそうに指を加えてみていた思い出ばかりのような気がする。まあ兄と弟にしてみれば、私は父親から溺愛されていたように見えたかもしれませんが。

 結婚は25歳で婚約して、26歳でしました。あの当時は、「クリスマスケーキ」と言われていて、「25すぎても結婚できないのは”売れ残り”」と言われてました。どこの江戸時代なんんだ。ああ昭和でしたから。実は、父親がどうしても25までに結婚させたくて「お見合い」をいくつか持ってきました。私はそれを断ることができないであろうと予想していたので ( 父親の支配下から逃げられなかった) 「今、お付き合いをしてる人がいるので」とこわごわいうと、「家に連れてきなさい」と言われ、嫌がる今のオットを無理矢理連れて行ったら、寺内貫太郎みたいな私の父にこう言われました。

で、いつ結婚式だ?

ツレサマこと、今のオットはドン引きしたが、もう断れる状態でなかったらしい。。( 怖くて)

ええ、「巻き込み事故」しますよ。人生の。

カワイイ♡は正義なのか

 幼い頃から女性として生きてきたのなら、なぜ、逆に「女性」を武器として世の中を渡ってこなかったのか。バブル世代でありながら、ジュリアナで扇子を振りながら踊ることもなく、生きてきてしまった。幼い頃から、女性として意識していたものの、それは逆にコンプレックスとして心の中に溜まっていったのだと思う。スカートも履かなかったし、髪もいつも短かった。多分、「女性を武器」とするほどの「武器」(容姿)を持ってなかったので、いや、自分で判断したんだと思う。奇妙な価値観の刷り込みを元に「私は女性を武器にするほどの美しさがないからダメだ」というものでしょうか。髪を巻き髪にしてピンクハウスの服をきて街を闊歩することは、ダメだ。というよくわからない自分の価値判断で。
 美香さんは、子供の時から性別の2分化について疑問を持っていたみたいですが、私は、こう思ってました。「私は女性である。男性にはなれない。でも、女性としては器量が良くないのでダメな女性だ。」。。。。。なんだ、閉経する前から、「男性でも女性でもなかった」んじゃん。だからこそ、生理の苦痛がいらないオプションとしてあった。だから早く解放されたいと思ってたんだな。そのオプションは唯一の理由付けのために我慢していた

子供を産む その為に。

 ものすごい、努力とお金と苦痛と時間をかけて、とりあえずは一人は産めた。正直「よかった」と思った。これで女性でいることの理由ができたみたいな気がした。でも、その子は4年後事故で急逝してしまった。それからまた痛みと苦痛とお金を経ても、子供は産めなかった。なんだ、女性としてのオプション(月経) いらねえと思ったのはそれだと思う。

子供を産めない女は女性でない

そう自分で思っていたわけですよ。自分で。自分のこと。

 だから私は、閉経しなくても「女性」でない。もちろん「男性」でもなくて中途半端で生理だけあったわけですよ。。じゃあダレなんだアタシ。閉経関係ないのか。自分で自分こと書いてて泣きそうだわ。

 いつも自己肯定感がないどころか、マイナスなので、私の悪い癖で、いつも他人の評価を異常にきにするのですが、なんだ、これも原因か。う。
「生きてて申し訳ありません」 レベル
もう自分が情けなくて泣けてくる。つまんない価値観に縛られたわけだ。
だから 「閉経してほっとした」のはそのガチガチの価値感( しかも歪んだ)からやっと逃れられたからかもしれない。

指先から女性ホルモンがでてくる

 美香さんが私と話そうと思ったのは、「榎本さんとはおばちゃんだから話しやすい」というのと「女性としての部分を強調してない(=化粧、ファッション?短髪)」と聞きました。ええ、当たってますよ。幼い頃から、女性として意識していたににもかかわらず、私は自分自身で女性として認めてなかったわけですから。(その価値がないと)だから、一時期、狂ったようにマニキュアをしていたと言ったら、信じてもらえず、この写真を見せたら、ドン引きしていました。一時期、コールセンターで働いていた時に、服装、ヘアスタイルは相変わらず、男性の出来損ないみたいなものでありながら、マニキュアをものすごく凝っていた時期がありました。あほみたいです。その象徴がこれでした。私はどっかで女性としての何かを認めてあげたかったのか、私の中でいろいろな葛藤があったのかなと思います。(マニキュアは写真を勉強する時に全てやめました。シャッターを押すのに不便だったからです)


画像1

Stephen Gill: Anonymous Origami

最後に、写真の話。ええこのプロジェクトは写真のなので、最後くらいは。

 美香さんに「生理用品をモチーフにして写真作品を考えてる」と言った時に、Stephen Gillの写真集を参考資料としてあげてくれた。「匿名の折り紙」そう、この写真集はトイレットペーパーの写真集。

2004年から2007年の間にイギリスやフランス、スペイン、イタリア、ルーマニア、オランダ、ドイツ、ロシア、アメリカ、カナダ、日本などのホテルやB&Bで採集された、折られたトイレットペーパーを撮影した作品集(twelve books のHPから)

 オススメされたものの、もう恵比寿の写真美術館の図書館にもなく、あまり中古市場も出てこないもので、さて実物をどこでみればいいのか?と考えていたら、実はあっさりと、私が「コレクション師匠」と勝手に読んでいる72galleryのディレクターでもある鈴木雄二さんが可愛く「僕持ってる」と言って見せてくれた。かなり面白い。「どうしてこれを小林美香さんがあなたに勧めたの?」と不思議がってたが、そうこのプロジェクトなんですよ。はい。オリガミって言うのはいいネーミングかもしれない。女性の生理用品のあのデザインやら、羽根つきのテープやら、折りたたんでいるあの絶妙なしまい方など、確かに、「Origami」だよな。題名それにしようかな。

そういえば、美香さん 「使ってない生理用品」があると言ってたけど、榎本にください。自分も在庫ってほぼないので、写真作品のために買わないといけないかなと思ってました。そう、またこのnoteをご覧のみなさまで「もう使う予定がない」生理用品をいろいろお持ちの方は、私にいただけないでしょうか。いろいろな種類があると面白いだろうし。またそれは別途募集しようかな。考えます。さて、どういう風に撮ろうかな。

また書きます。今日は寒いです。

あ、カバー写真は生理用品の裏の模様。こんな模様が入ってたりするのですよね、使ってる時はほぼ気にしてないですが。

48歳からの写真作家修行中。できるかできないかは、やってみないとわからんよ。