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「治療をギフトに」難病とはりきゅう

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「全ての人を元気にしたい」 ▶︎キタムラさん(仮名)は国の難病難病No.2「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」を発症しました。 この病気は、全身が動かなくなっていくものです。 手足の… もっと読む
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#ALS

難病とはりきゅう

難病との出会い自分の挑戦について、残していきたいと思う。 治療家になって10年以上が経つが、毎年「その年を象徴する症例」があるように思う。 去年であればヨダレが止まらないつわりになり、昼夜眠れず、出かけることも出来ない状態で妊娠を諦めかけた妊婦さんが無事に出産できた物だった。 今思い出してもあれはかなり繊細な施術だったと思う。正直、危ないものだったしお腹の赤ちゃんもいた。それにお医者さんは「耐えてね」って感じだったそうなので、特に助けが無かった。 全てのアンテナとセン

〜難病とはりきゅう〜その2「指定難病2:筋萎縮性側索硬化症」とは

2020.3/4に出会ってから、この病気の事ばかり考えている。 筋萎縮性側索硬化症という病気は、改めて非常に恐ろしい病気だ。 この病気は体の電気の回路と言える「神経」が徐々に進行的に働かなくなる病気と言える。 ちょっとむずかしいのだけれど、神経の話をしておこうと思う。 ここがわかっていないと、あまりイメージができないと思ったから書き残しておきます。 神経の働きは少し複雑なのだけれど(私は学生時代から学習するのがとっても苦手だった。) この病気を理解する上で、大きく

〜難病とはりきゅう〜 その3「手紙」

手紙が届いた。患者さんからのお手紙だ。 ところで私は「患者さん」と呼ぶのが嫌いなので 「キタムラさん」と書かせてもらう。もちろん仮名だ。 1度目の治療の話を、振り返りながら書いてみるけれど 筋萎縮性側索硬化症には病気の進行具合で3つのパターンがある 麻痺が足から起こる「下肢型」、手から始まる「上肢型」 話したり、飲み込んだりができなくなる「球麻痺型」 私が診ているキタムラさんは「下肢型」 足から症状が出てくる つまづきやすくなったり、フラフラした歩き方から疑

〜難病とはりきゅう〜その4「書くチカラ」

いま、向かっている最中なのだけれど 電車に一時間ほど揺られて往診に向かう。往診に向かう時って不思議で、これだけの人の中にいれば、もはや自分は誰でもない気がするけれど 思いを持って、明確に道を行く自分を少し誇らしくなったりする。 今日は体調はどうだろうか この天気を気持ちいいと思うのかな 昨日はゆっくり休めたのかな、夢は見たかな そんな事をつい考えてしまう。 まだ乗り換えが慣れないから、スマホを確認しながら電車のアナウンスを聞いて 電車の自動ドア上にある案内とス

〜難病とはりきゅう〜その5「3/11第2診 青空」

今日は気持ちの良い晴れ ※この記事は前回↓を読んでからご覧ください。 電車を降りて、改札を出るととっても印象的な青空とおでんの具材みたいに色んな形の雲が浮いていた。 その中でも、青空を包み込むように囲む雲と、それに負けないように青々と主張している綺麗な青空が有って思わず写真を撮った。 駅前には、キタムラさん(仮名)の旦那さんが車で迎えにきてくれる。 人が乗り降りしやすいドアで、自動でひらく。 シートに座るのも少しゆっくり座ってコートを置いた。 「今日は暑いくらい

〜難病とはりきゅう〜その6「3/11第2診 足の冷えと滑舌」

治療家としてのようすけ先生 今日は昨日の続きで、具体的にこんな治療をしてきたよ。 という点について書きたいと思います。 この↓の記事です。この写真見るだけで涙出そうになる。 昨日は初めて臨床中、患者さんの前で涙を流した。 今日は、↑の記事の続きで 実際の治療について残していこうと思う 具体的な治療について述べるのは初めてなので、少しそこに時間を割きながら。 私がやっている「はりきゅう」はきっと世の中のイメージとは少し変わっていると思う。 もう1人の鍼灸師さん

〜難病とはりきゅう〜その7「治療をギフトに」

医療についてのジレンマ 何だか、書きたい気持ちが溢れて止まらないのは 今治療している全ての方に元気になってもらいたいな〜と思う気持ちと その方法について考えているからだと思う。 難病を治療しているキタムラさんをきっかけにとても強く考えるようになった。 「治療」のギフト化について。 そして、今日はこの話を遠回りしながらストレートに伝えようと思う。 私は「人を元気にする」という人生の目的があります これは全世界を指しているので、途方も無いので 当面の目標として「

〜難病とはりきゅう〜その10「3/25 第4診 カラダを読む」

ご挨拶 今日も良い天気の中、改札を出た。 キタムラさんの旦那さんは、今日も約束の時間に迎えに来てくれた。 いつも紳士的で、自動でドアを開けてくれる。障がい者シールが車に貼られている。 「こんにちは〜、お邪魔します〜」と だんだんと慣れた玄関の風景に声をかけると、 中から少し力のない声で 「こんにちは、ようこそ〜。よろしくお願いします〜」 と帰ってきた キタムラさんは今日は 右手が動きづらかったようだ 朝、お魚を食べた時に少し違和感が有って 両手でお箸を

〜難病とはりきゅう〜その11「4/1 第5診 病との攻防」

全世界を覆う新型コロナウイルスの影響 新型コロナウイルスの影響はここにも当然、及んでいて ご家族や、キタムラさんを治療するもう一人の鍼灸治療家の先生(実はとてもご縁の有る方でした)も悩みに悩まれていると思います。    本当に両天秤で ・感染のリスク(接触頻度を多くしない方がいい可能性) ・進行し続ける症状(急がなければならない) という事を考えました。 娘さんとやりとりをし、 ・本人への影響 ・ご家族への影響 ・私自身への影響 を加味し公共交通機関を

〜難病とはりきゅう〜その12「4/8 第6診 緊急事態宣言」

前日の緊急事態宣言を受け、キタムラさんの旦那さんから連絡があった。実際には電話を取れず、留守番電話だった。 「先生、この状況ですから明日は結構ですよ。ご無理はせずに。こちらよりも先生も大事にしていただきたいですし」 ととても気遣ってくれていた内容だった。    すぐに折り返し電話をした 「こんばんは、明日ですけれど私の方は構いません。もしそちらでご迷惑だったり、感染が怖いなどありましたら控えます。私としては対策を十分に考えた上で向かいたいと思っています。新型コロナウ

〜難病とはりきゅう〜その13「4/16 第7診 引っ越し」

緊急事態宣言が全国に広がった4/16 今日も車で往診に向かった。 ついた時、キタムラさんは部屋にはおらず 少しお部屋で待たせてもらった。 シューーーっと加湿器が鳴っている部屋 いつもより遅い時間で少し暗いし、キタムラさんもいなかったし 引っ越しのせいで、棚などもスッキリしたためか いつもと違う所にきたような気がした。 息子さんがノートを持ってきてくれた。 キタムラさんが来るまでの間にどうぞ。と。 近頃、お願いをして毎日ノートをつけてもらっている。 当日の

「〜難病とはりきゅう〜その20「6/8 第15診 ギフトと涙」

またまた遅刻してしまった。。。 (前回もそうでした。。) 今日は、随分混んでいた。 いつも大体1時間前に出て、早いと15分位前には着いて 近くに車を停めて少し休んでから行くのだが 今日は1時間15分も掛かってしまった。 外出自粛要請が空けて日が経つにつれ ドンドン車の量が増えていることが実感できる。 今は一般道だけの渋滞だが高速道路も混んできたら益々掛かってしまう。 これから、往復の時間が掛かるのを考えて行動しなければな。。 こんな事もあり、日頃の移動は全

「〜難病とはりきゅう〜その21「6/17 第16診 医療チームに関わる人」

更新が遅れてしまった。 もっとしっかりしないといけないな 娘さんとの対面今日もキタムラさんは横になっていた。 部屋の隅には、見慣れない女性が一人いらっしゃって 今日は長女がいるんです そう言われて、挨拶させていただいた。 本当に礼儀正しくて、いい方 こういう職業でたくさん人と会っていると だんだんと、初対面でもその人となりが分かってくる。 キタムラさんのお子さんたちは、皆一様に優しくて礼儀正しい方ばかり。 本当にいいお母さんなのだろうなぁと思った。

「〜難病とはりきゅう〜その22「6/24第17診 急変」

前回までの状況をぜひ、ご覧になってから先に進まれるといいです。 突然のメール 6/22にメールをいただいた。 いつも、土曜日に鍼灸治療で入られている先生からだった。 先生は、いつも治療の詳細などを丁寧に連絡してくださる 本当にありがたいメールなのだが、今回は様子が違った。 「結果からお伝えすると、6/20(土)は体調を大きく崩されていた状態だった為、バイタルや体調のチェックのみで治療は行いませんでした。 訪問時、トイレを済ませて車椅子からベッドへの移乗のタイミング