ようすけ先生

「治療をギフトに」という活動をしています。 太鼎堂(たいていどう)鍼灸院の高橋と言い…

ようすけ先生

「治療をギフトに」という活動をしています。 太鼎堂(たいていどう)鍼灸院の高橋と言います。 はりきゅう治療で「ALS(筋萎縮性側索硬化症)」と戦う患者さんと共に戦います。 本人から治療費は戴かず、全てサポートで戴いた費用でまかなう医療のムーブメントを起こしていきたいと思ってます

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  • 「治療をギフトに」難病とはりきゅう

    「全ての人を元気にしたい」 ▶︎キタムラさん(仮名)は国の難病難病No.2「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」を発症しました。 この病気は、全身が動かなくなっていくものです。 手足の筋肉がやせ細り、食べられなくなり、話すことも出来なくなります そして呼吸が出来なくなる。 最終的に残存する機能は ・目の動き ・排尿と排便 ・五感(見る、聞く、嗅ぐ、味わう、触れる)です 最短で3ヶ月で亡くなる方もいます。 平均的な生存期間は2~5年とされています。 機能が無くなりながら、感じるのに何も動けず話せもしなくなる。 原因は不明で、現状維持しかないと言われる病気です。 そんな筋萎縮性側索硬化症に診断されたキタムラさんに、出会いました。 「治療をしてほしい」とご家族から連絡を受けたのです。 今回の挑戦は2つ 「原因から改善する」鍼灸治療で何が出来るのか そして「治療をギフトに」することです

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〜難病とはりきゅう〜 その3「手紙」

手紙が届いた。患者さんからのお手紙だ。 ところで私は「患者さん」と呼ぶのが嫌いなので 「キタムラさん」と書かせてもらう。もちろん仮名だ。 1度目の治療の話を、振り返りながら書いてみるけれど 筋萎縮性側索硬化症には病気の進行具合で3つのパターンがある 麻痺が足から起こる「下肢型」、手から始まる「上肢型」 話したり、飲み込んだりができなくなる「球麻痺型」 私が診ているキタムラさんは「下肢型」 足から症状が出てくる つまづきやすくなったり、フラフラした歩き方から疑

    • 息子がはじめて触れた「いのちの話」

      人は何歳ごろから「いのち」を理解するんだろうか。 生命が誕生し、死ぬ。その当たり前のサイクルである「いのち」を、 いつ、どのように考えるのだろう。 今年、2歳になる息子が 「公園でちょうちょをとった!」と大喜びで帰ってきた。 母親と公園に行って、はじめて虫取りをしてきたんだそう。 息子の興奮と喜びとは裏腹に、小さな虫かごに入ったキチョウは、激しくばたついていた。外に出たかったのだろう。 「きいちゃん、言うの」とちょうちょに名前をつけていた。 母親の自転車の前に座り

      • 〜難病とはりきゅう〜その37〜「2021年12/1 第80診 月のウサギ」

        前回の記事から1年以上が経ってしまった。 言い訳をいっても仕方がないが、少し思いを残しておきたいので書かせて欲しい。 ①日々の臨床に影響が出てしまった。 ②正直、心苦しところがあった。 日々の臨床への影響2021年に入り、自分の鍼灸院の移転を考えながら臨床に立ち 夏に移転を終えたのだが、体力などほとんど残らないほどの時期だった。自分自身で決めた事なので、こんな事をいっても「サブいやつ」に見えるかもしれない。 けれど、往診で感じた全てを文章に起こすのはそれ相応の体力

        • 〜難病とはりきゅう〜その36「10/7 第32診 絶対に決めにいく。」

          調子の悪さが続いていた。 今日も、キタムラさんは調子が悪く ずっとムセが続いているようだった。 しかしながら前回の治療後に受けたインフルエンザの注射は影響もなく問題は起きなかったという。 昼寝すると、むせて起きたりもするそう。 キタムラさんは、横になる事が大半なのでムセてしまってしんどくなるため、ムセのあるなしは生活の水準に非常に大きく影響がある 今回は、きっちりとムセを止めていきたいなと思った。 しっかりとムセを止めていくためには背骨の異常を止めていかないとい

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        〜難病とはりきゅう〜 その3「手紙」

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        • 「治療をギフトに」難病とはりきゅう
          38本

        記事

          〜難病とはりきゅう〜その35「9/30第31診こういう時にこそ笑顔でいく」

          調子が悪い日が続いている。 鍼灸治療をしていて、自分自身がどういう状況にあるのか? これはとても大切な事だったりする。 元気な時 落ち込んだ時(ここ10年くらい無いけれど) 前日に楽しい話の有った時 仕事に追われている時 などなど 自分自身が、どんな状態であるかによって治療の良さが変わってくる。 患者さんの状態に波があるように、自分にだって波がある。 今でこそ、自分の波を理解して その波を事前に捉えて、いつでも自分自身のコントロールをすることを覚えたけれ

          〜難病とはりきゅう〜その35「9/30第31診こういう時にこそ笑顔でいく」

          〜難病とはりきゅう〜その34「9/23第30診 調子の崩れ」

          前回は、謝っておりました。 今日のキタムラさんは 調子が悪いんです。 とおっしゃっていた。 2日前はとっても調子がよかったのだそうです。 何だか、このまま元気になるのではないか!と思うほどに調子がよかったのだそう。 隣でみている旦那さんも「本当に調子がよかった」とおっしゃっていました。 今日も、声量や発音も大丈夫だが 2日前は、字をしっかりと書けたのでとてもよかったと思ったそう。 さらに、、【立ち上がり】も調子がよかったのだといいます。 時折、こういった日

          〜難病とはりきゅう〜その34「9/23第30診 調子の崩れ」

          〜難病とはりきゅう〜その33「9/16第29診 すらんぷとごめんなさい。」

          すらんぷ ずっと、記事を書けずにいた。 なんでなんだろうか。すでに数週間が経過した。 何かが変わったわけでもなく、ただただ忙しかったからなのかもしれない。 でも、「動けていない」という時は必ず何かが変わったのだと思う。 それが何だかは分かっていないが、もしかしたら、、少しだけ疲れたのかもしれないと思った。 この文章を書く時は、いつも本気で思いを込めて書いている。 毎週、治療に行く時だって本気で治療に向かっている。 キタムラさんや、その家族に対して一生懸命に捧げ

          〜難病とはりきゅう〜その33「9/16第29診 すらんぷとごめんなさい。」

          〜難病とはりきゅう〜その32「9/10第28診 封筒」

          先日、首の古傷の治療をした。 古傷の処置は、体に大きな変化を与える。 キタムラさんの場合は、今回点滴の間ということもあったので 色々と考えたが踏み切った。 今日は、どんな状態だろう?と考えながら車で移動していた。 前日が月に一度の長野への往診だったので、今週は木曜だった。 そのため、朝からだったのだけれど 道路もとっても混んでいて、すこし焦った。 つくと、キタムラさんのご主人は優しく迎えてくださった。 キタムラさんも、労いの言葉と感謝を伝えてくださった。

          〜難病とはりきゅう〜その32「9/10第28診 封筒」

          〜難病とはりきゅう〜その31「9/2第27診 首の古傷治療再び」

          今日はなんだか不思議な天気だった。 高速道路を走りながら大きな大きな雲を横目に走っていると 突然とザーザー降って来て、視界が悪くなった。 キタムラさんは、急な天候変化に弱かったりするから大丈夫なのかなぁと思いながら車を走らせた。前回は安定していたけれど、どうだろうか。 今日は、綺麗なお花が飾ってあった。 元気になるようにって送ってくれたんです なんだかとっても嬉しくなった。 顔も知らないキタムラさんの知人の方は、一緒に「ギフト」でキタムラさんを元気にしようとして

          〜難病とはりきゅう〜その31「9/2第27診 首の古傷治療再び」

          〜難病とはりきゅう〜その30「8/26第26診 調子が良くなった日」

          相棒 前日に和らいだ暑さが戻った今日、再び往診の為に車に乗って高速道路を走った。 そういえば、今乗っている車は実家の物で乗り始めてもう10年以上経つ。 高校生の時にバイトして貯めた18万円で、ダイハツミラを買った。当時は嬉しくてあちこち行ったな〜。高校生活で普通に車に乗ってる感じが何とも面白かった。 3年くらい乗って、今の車に乗り換えた記憶があるので、もう15年近く経ってるかも。 物欲の無さが生み出す代物なのかもしれないけれど、あの車を替えようってあまり思わなくて。

          〜難病とはりきゅう〜その30「8/26第26診 調子が良くなった日」

          〜難病とはりきゅう〜その29「8/19第25診 魔の土曜日?」

          往診で車に乗るのは、この水曜日くらいなのだけれど 窓からジリジリ暑い日差しがきていて、何だか本当に夏なんだなぁと感じる。 キタムラさんは、どうかなぁ。大きな窓があるお家だから夏の日差しが伝わっているかなぁなんて思いながら向かっている。 前回は、最近思っている事を書いた。 この「治療はギフトに」をしていると、(多分)未だ誰も歩んでいない道だあら少し考えながら進んでいることもあっているよ。というところ。 前回は思いの感じだったから今日は、治療についてしっかり書いてみたい

          〜難病とはりきゅう〜その29「8/19第25診 魔の土曜日?」

          〜難病とはりきゅう〜その28「8/13第24診 右手の動き」

          前回からの更新がすっかり遅くなってしまいましたが、しっかりと治療には行っておりました。 暑中見舞いをもらったことからも、何だか手の動きがとっても気になっていた。 ALSは自分の動きを奪われる病気 不可逆的に見えるその症状は、波を打ちながらも消えていくものもある。 喉の詰まりや、ムセなどはまさしくそうで 何だか変化をしてきている。 右手の動きは、だんだんと落ちてきてしまっていて 全体的な筋力低下は止められていない。 なんとか出来ないものかを考えながら 古傷の処

          〜難病とはりきゅう〜その28「8/13第24診 右手の動き」

          〜難病とはりきゅう〜その28「8/5第23診 暑中見舞いと治療のまとめ」

          郵便受けある日、ふと郵便受けを見ると 「暑中見舞い」が届いた。    キタムラさんからだった。 少し、驚いた。なぜなら、とっても綺麗な字だったからだ。 前回の治療の時に 右手の動きが悪いんです。なんだか字もまともに書けなくって。 とおっしゃっていた。 そんな話を聞いたので、手を握って貰って握力を調べた。 握力自体はしっかりとあるものの、指を閉じたり細かく動かしたりする筋肉は落ちている感じがあった。親指と人差し指の間がとっても痩せている。「握力しっかりあるじゃ

          〜難病とはりきゅう〜その28「8/5第23診 暑中見舞いと治療のまとめ」

          〜難病とはりきゅう〜その27「7/29第22診 葛藤」

          活動を始めてから、すでに5ヶ月近く経とうとしている。 治療をギフトに出来ないかと思って模索しながら5ヶ月が経過する。 前回の状態はだいぶ落ち着いていた。 今日の状態今日はキタムラさん、 だるいんです とおっしゃっていた。    ご家族の方からもお話を伺うと 「座っていても首がもたれていってしまうんです」 見ていても、わかるくらいの変化だそうだ。 筋肉が萎縮していく難病、ALS。 難病と言われるだけあって、当たり前にあった「何か」を確実に奪っていく力が働い

          〜難病とはりきゅう〜その27「7/29第22診 葛藤」

          〜難病とはりきゅう〜その26「7/22第21診 重続する」

          前回、治療で出た変化があった。 今日の状態キタムラさんの今日の体調は、まずまずと言ったところだった。 前日、前々日は体調が悪く なんだかだるさが有ったのだという。 そして、当日はとってもムセが強かった。 話しながらも、ムセていてかなり強い方だった。 先週まで点滴をしていたからか 足の先の冷えがあり、右足の腫れもやや出ていた。 頭の熱感や肩こりは特になかったのだが 冷えが強い印象だった。    ただ、とっても笑顔が多く 旦那さんとふざけて話す姿が、とても

          〜難病とはりきゅう〜その26「7/22第21診 重続する」

          〜難病とはりきゅう〜その25「7/16第20診 右足指の付け根の腫れ」

          前回までの内容はこちら。 今日の状態今日は、かなり落ち着いた状態だった。 むせは出るんですけれど、調子はすごくよかったんです そんな風に話してくれた。 体調の具合によって、疲れ方が違うのは当然だが ここまで「一週間調子がよかった」と言われるのもまた大きな変化だなと思う キタムラさんの状態を支える 医師、看護師、ヘルパー、ケアマネ、鍼灸師など医療を含めたチームは こういった瞬間がとても嬉しい。 他の方と共有できる機会は少ないのだが、いつか話をしたいなぁと思った

          〜難病とはりきゅう〜その25「7/16第20診 右足指の付け根の腫れ」