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〜難病とはりきゅう〜その28「8/5第23診 暑中見舞いと治療のまとめ」

郵便受け

ある日、ふと郵便受けを見ると

「暑中見舞い」が届いた。

  

キタムラさんからだった。

少し、驚いた。なぜなら、とっても綺麗な字だったからだ。



前回の治療の時に

右手の動きが悪いんです。なんだか字もまともに書けなくって。

とおっしゃっていた。

そんな話を聞いたので、手を握って貰って握力を調べた。

握力自体はしっかりとあるものの、指を閉じたり細かく動かしたりする筋肉は落ちている感じがあった。親指と人差し指の間がとっても痩せている。「握力しっかりあるじゃないですか〜」と伝えたら


手紙、書きたいんですけどね。もうちょっと手が動けば。。

そう言っていた。



そんな背景もあるんだろうけれど、キタムラさんは暑中見舞いを送ってくれた。精一杯の思いがこもった手紙だと思った。




キタムラさんはもともと筆まめ。それでもってとっても優しい字。

たくさんの優しい言葉を綴ってきたんだろうなぁ。この手紙にもその綺麗さや文字に現れる優しさがたっぷり詰まっていた事が嬉しかった。




ALS(筋萎縮性側索硬化症)は「思いを伝える術を奪われる難病」で思いはあるのに(思考などは出来るのに)それを伝える行動が取れなくなっていく(話せない、動かせない)

この手紙は、ALSに罹患しているキタムラさんが思いを込めて書いてくれた。ペラっとしたハガキだけれど、とても重みを感じた。大切な宝物にしよう。



キタムラさんに手紙をもらうのは、これで2度目。

もっともっと手紙を、優しい言葉を綴れるようにするのが役目だから

これからももっと手紙を書いてもらえるように努力をしないといけないな。



ここまでのまとめ


ここで経過をまとめてみるが、キタムラさんに出ている症状は

①ALSの中でも足から萎縮が起こるタイプで、足の動きが弱い

 以前は歩行器で歩きもされていたが、現状は電動車椅子ばかり

②手の動きに力が入りきらない

 ペットボトルで飲む、字を書く、物を持つなどは日によって差が出て、治療時に体位変換(仰向け→横向き)時に自分の体を支えられる日と支えられない日がある

③首回りの動きが弱い

 座っていると段々と首が前に倒れてきてしまう感じがする。朝より夕方に強くなってくる感じがする(疲れてくると症状は強くなる傾向)

④ムセが出る

 体調によって咳き込みが強くなる。時には会話もままならないくらいにムセる。

⑤睡眠障害

 寝つきが悪くなることや、途中で起きてしまうことがある。

⑥だるさや食欲不振がある

 疲れが出たりすることで、1日中だるかったり、食事が食べづらく感じる事があり食欲に波がある。

⑦冷えや硬さがある

 体のあちこち(特に足)が冷えたり張る。最初に触ったときは「冷蔵庫から出てきたのでは?」と家族の方と冗談を言い合うくらい冷えていた。硬さに関しては、右足の指の関節や左足のふくらはぎなどに硬さが多い。

⑧気持ちが折れそうになる時がある

 キタムラさんは基本的に前向きだし、いつでも楽しんだり、喜ばせるような気持ちを持っている。だけれど、時として病に押しつぶされるようになる時がある


①〜③以外では体調によって全くなかったり、出ていたとしても治療後に回復したりと「波」がある事が分かっている。この「波」がある事が、可逆的に感じる事も出来ると思っている。



ALSというのは、世界で誰にも解き明かせていない問題だ。現代医学の医療先進国で先端医療をしている頭脳の最高峰でも解き明かせない。キタムラさんからの経験で言えば、日本では診断までも3年という時間が掛かった(それ位、判断すらつきづらい症状)


なぜ、そんな難病に対して鍼灸師が挑んでいるかというと、

この「治療をギフトに」プロジェクトには2つの大きな目的がある


①現代の医療で解き明かせていない難問に「東洋医学」からの目線で突破口がないか探る(キタムラさんをとにかく治す。)


②治療をギフトにする、という試みを実験する。

これまで治療家は「病んだ本人」から金銭などを受け取るシステムだった。だが、「極めて治る確率が低く命を落とす確率が高い」といわれる難病に対しても同じスタイルで良いのか?医療として継続性はあるのか?医療者や家族、周囲の人々の「痛み(病の進む人を前にしてその代償を頂く痛み)」について考えられているのか?そんな疑問があった。


その為、治療自体を「ギフト」とすれば

治療者 – 治療を提供し人を元気にし、その経過を「ドラマ」として伝える

患 者 – 自らの体と向き合い闘病し、その姿勢と成果で人を元気付ける

支援者 – 治療をギフトし、闘病者を元気付ける

治療をギフトに

言葉選びはまだまだ足りないけれど、こんな形にできるのではないかと思っている。これは「全員が当事者」になり、治療を継続できる未来の医療の形の一つだと思っている。(実際にすでに5ヶ月という時間が経った。)



2つの目的を同時に行なっている。今まで支援をくださった全ての人の思いを乗せて、今日も治療をしている。



今日の状態

今日はとっても調子がいいんです

キタムラさんはニコニコしながら話してくれた。何だかかったるさがないのだという。



この週は、点滴の1週目だった。(キタムラさんはALSの為の投薬を点滴にて行なっていて、1月の内2週間に渡って10日間点滴を受ける)


点滴の週はだいたい

1週目:やや冷えもありながら、ムセが出てくる

2週目:足の冷えが強くなってくると同時に肩周りの異状が強くなる


という体調の経過が観察されることが多い。

細やかな体調の変化を追っていくと、もっともっと細かく情報はあるのだがALSという難病は、「筋萎縮性」というように筋肉が痩せていく為骨の反応などが浮き彫りになってきたり柔らかさや硬さの状態をしっかりと追っていかないといけない。

(専門的な言葉でのまとめは、専門家に向けて今後どこかでしようと思う)




今日の状態は、大きな冷えもなく、先週のようなだるさもなかったようだ。

ムセも特になく、大きな異状は出ていない日だった。以前にあった「魔の土曜日」の頃からはグッと体力も出てきたように感じる。


今回は、胸の骨や恥骨の痛みは少なく足の裏も若干の張りはありながらも痛みはそこまで強くなかった。お腹を見た後に、横向きになる時にも「自分で」姿勢を変える事が出来たし力もいつもより入っているように感じる。

 

今回は、背中にお灸をして状態を見ることにした。現段階ではお灸の治療が功を奏する場合が多い。古傷の処置などもしていかなければならないが、しっかりと体力など見極めて行わないと逆に負担になる事があるから慎重に。




キタムラさんの治療は、ここまで一進一退ながら現段階では力の入りは悪くとも生活全般では気力も出てきた。という感じだ。


キタムラさんからは

深いところ、体の芯から力が出るんです。

とおっしゃってくれている。



車で1時間以上かかる場所の為、週に一度院の休みの日にしか行けていないが、医療のチームとしての仲間がいてくださる。

私もその1人として、ドンドン前に進んでいきたいと思っている。


ここから、ここから。



ー支援についてー

閲覧ありがとうございます。
この活動は「治療をギフトに」というプロジェクトです。

安心して治癒に向けて専念していただくために
治療者は一切の費用をいただかず「サポーター」の方からの寄付のみで活動を継続しております。

治療者とその施術が「ギフト」になる。
そんなプロジェクトです。

本プロジェクトではALSという難病の治療を行なっています。
徐々に身体の動きができなくなるという難病で、いまだに治療法が確立されていません。
今回、その症状に対して「東洋医学」とくに鍼灸治療で治癒を狙っていきます。

積聚(シャクジュ)治療という治療法を行なっていますが、東洋的な発想に基づいて体系化された治療で、「古傷」も含めて治療をします。過去、この治療法でALSと向き合った症例は無いのでは無いかと思います。前例が無い挑戦です。
原因不明、治療不可となっている現代医学とは違ったアプローチで、何かしらの糸口を見つけるためにも「継続的な施術」が必要になります。ご本人やご家族にしか分からない負担も多いものです。

その為ご支援くださるサポーターの皆さんから私の治療を「ギフト」として送ってください。

ご本人:受取人
施術者:ギフト
サポーター:送り主

としてそれぞれの役割の中で、全員が笑顔になっていければ嬉しいです。
ただ、読み物として共感した。という思いもとても嬉しく思っています。

ご協力下さる方は、下記の口座にお振込をお願いできませんでしょうか?
(note内でのサポート機能では手数料などで引かれてしまう為、継続性が減ってしまうと判断しました)

支援金の金額は皆様にお任せします。
※noteでは500円からサポートがあります。
※一度の往復で2,000円ほど交通費が掛かるので、2,000で一回の治療と思っていただいて構いません。今は、継続性を優先している為治療費ではなく交通費や物品代などに充てています。


三菱UFJ銀行 鶴見支店 (普通) 口座番号0184252】
太鼎堂鍼灸院 髙橋洋輔(タイテイドウシンキュウイン タカハシヨウスケ)


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どうぞよろしくお願いいたします

【全て治療費に充てます】 ここで書かれる「難病患者」さんからは治療費をいただきません。皆さんのサポートは全て治療費に充てます。全て「ギフト」になります。 この記事では治療のドラマをリアルタイムでお伝えします。 サポーターとして継続的な難病への治療の為、応援してくだされば嬉しいです