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〜難病とはりきゅう〜その12「4/8 第6診 緊急事態宣言」

前日の緊急事態宣言を受け、キタムラさんの旦那さんから連絡があった。実際には電話を取れず、留守番電話だった。

「先生、この状況ですから明日は結構ですよ。ご無理はせずに。こちらよりも先生も大事にしていただきたいですし」

ととても気遣ってくれていた内容だった。

  


すぐに折り返し電話をした

「こんばんは、明日ですけれど私の方は構いません。もしそちらでご迷惑だったり、感染が怖いなどありましたら控えます。私としては対策を十分に考えた上で向かいたいと思っています。新型コロナウイルスも脅威ではありますが、病が止まってくれる訳ではありませんから。」

色々と考えながら伝えたので、うまくまとまらなかったが

今、この状況で医療がストップする事は

キタムラさんととても怖い事だろうな。と頭にあったんだろうとおもう




リスクを十分に考えていないといけない事は重々わかっていたのだが、しっかりと対策を取れば可能だろうと頭は働き始めていた。



厚生労働省の通達で

鍼灸院の自粛はない、という事だった。これは助かった気持ちが強かった。

正直言えば、当然なのかなとも思ったが「助かった」という気持ちが強かった。これでキタムラさんへの提供を削がれずにすむ。




今回も車で向かった。街は変わらず車が行き交っていたが

なんだか、寂しい空気が漂っていた。

でもこの寂しさは、戦いの最中だからなんだと思う。

世界が、一丸になって戦っているんだ。

有史以来初めての、世界が同時につながっていく感覚。


ここにも、声は小さくとも戦っているドラマがあるんだ。思うと

進みつつ、ここに記す事はやめたくないと思った。


「治療をギフトにする」という気持ちは、この瞬間にも確かにあるから。


だから進める。



キタムラさんは、横になっていた

いよいよ間近になった引越しの準備で、新居での打ち合わせなどをしたのだという。

疲れてしまって横になっていたのだそうだが、少しむせが強いようだ。



トイレからの立ち上がりはできたようだが

右手の動きが鈍くなっているのが気になるのだそう。

字が綺麗なキタムラさんだから、何とか残してあげたい。




治療を始めていくと

足の裏の痛みがだいぶ引いていた。関節のむくみも減っていた。

足首の痛みが強くあったので、ここはまた見ていかなければならないな〜。


今日は、頭のてっぺんの熱感やあご周りの痛みがあった。

これは【頭をよく使った証拠】だから、きっと何か考え事をしたんだろう。



お腹をみると

今日は胸骨周りが特に強かった。恥骨の周りにも痛みがあって

疲れもあったのだろうと思う。



治療をしていると、キタムラさんはスヤスヤと眠りはじめた。

寝息が心地よく響いていた。

何だか複雑な音だな、と思ったら旦那さんも寝息を立てていた。


引越しって疲れますよね。とってもよく分かります。



治療が終わった後、

「キタムラさん、少し頭を使いすぎているかもしれないですね」

なんて話をしたところから



「引越しで、私が頭を使って指示したりするんです。」

とキタムラさん。


家の中の事は何でも覚えているようで

これをしっかりまとめたか、とかこんな段取りでやった方が早いぞ

と旦那さんや息子さんの作業を見ていてヤキモキするんだそう。


「大工の棟梁さんみたい!」

なんて笑っていたんだけれど


そのうち

「いつか、こんなこんな事もできなくなってくるのだと思うと。。。」

と涙を流されていた。

本当に痛いほど伝わってきた。



そうだったんですね。

あの頭の熱感は、

家族のために、皆が少しでも疲れないように

一生懸命に頭を回転させていたんだねキタムラさん。


グッときました、その尊い思いに感動しました。



「でもね、キタムラさん。それって皆できることを一生懸命にやって、皆で戦っている訳じゃない。素晴らしいチームだと思います。皆が、それぞれにできることを一生懸命やるってすごいこと。」


「だけどね、キタムラさんは病と戦うっていう大きな大きなものを背負っているからね。気持ちはとっても分かるので、頭を使いすぎず回復した体力を、回復に使うのが大切ですからね」


「もし家族を思いたくなって、また頭が熱くなってきちゃったら、またこうやって治療に来て治しますからね。その場合は遠慮はせずにね。ただゆっくりしてくれたら嬉しいです(笑)」


そんな話をした。

 


今回、また本当に色々と感じたな


「治療をギフトに」というこのドラマは、想像以上に大きなものだと思う。


キタムラさんにも伝えたけれど

この、ドラマを知って

教え子が「先生。これ足しにしてください。」って直接支援してくれた。

本当に感動した。


彼女も、この時期戦っている。

戦いながら、思いを持ってくれたんだと思うと本当にありがたかった。



全ての人は戦っているんだ。

今も、この瞬間も誰かを思って。


その思いはわからないようでも、伝わらなくても、すれ違っているようでも

間違いなく思いを持って戦っている。



人が元気になる、ということは

この思いの方向性を増すことでもあるんだと思う。

すれ違った思いを、伝わらない思いのある関係性すら治療するんだ。



キタムラさんお治療に入らせてもらって

お互いを思う気持ちが、よーく分かる。

今日みたいに、考えすぎたんだな。とか分かることがたくさんある。

体から伝わってくる思いがある。



治療をギフトに。

ドラマを伝えることが、今後も自分のやるべきことだ。そう改めて思った。




ー支援についてー

閲覧ありがとうございます。
この活動は「治療をギフトに」というプロジェクトです。

安心して治癒に向けて専念していただくために
治療者は一切の費用をいただかず「サポーター」の方からの寄付のみで活動を継続しております。

治療者とその施術が「ギフト」になる。
そんなプロジェクトです。

本プロジェクトではALSという難病の治療を行なっています。
徐々に身体の動きができなくなるという難病で、いまだに治療法が確立されていません。
今回、その症状に対して「東洋医学」とくに鍼灸治療で治癒を狙っていきます。

積聚(シャクジュ)治療という治療法を行なっていますが、東洋的な発想に基づいて体系化された治療で、「古傷」も含めて治療をします。過去、この治療法でALSと向き合った症例は無いのでは無いかと思います。前例が無い挑戦です。
原因不明、治療不可となっている現代医学とは違ったアプローチで、何かしらの糸口を見つけるためにも「継続的な施術」が必要になります。ご本人やご家族にしか分からない負担も多いものです。

その為ご支援くださるサポーターの皆さんから私の治療を「ギフト」として送ってください。

ご本人:受取人
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太鼎堂鍼灸院 髙橋洋輔(タイテイドウシンキュウイン タカハシヨウスケ)


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【全て治療費に充てます】 ここで書かれる「難病患者」さんからは治療費をいただきません。皆さんのサポートは全て治療費に充てます。全て「ギフト」になります。 この記事では治療のドラマをリアルタイムでお伝えします。 サポーターとして継続的な難病への治療の為、応援してくだされば嬉しいです