営業職からのキャリアチェンジ

先日、Twitterで以下のように呟いたところ、意外にも多くの方からDMを頂いて、びっくりました笑

(DM頂くのに、いいねとRTが多くないのはなんでだろ・・・)

世の中の多くの営業マンが、過去の自分と同じように「いつかは経営企画とかやりたい!」「新規事業とかやってみたい!」と思っているのだということを再認識しました

ぼく自身、新卒から7年間の営業生活を送りましたが、実はみなさんと同じように2,3年目あたりから「将来は営業以外の職種も経験したいなぁ」と考えていました。

特に「経営企画」や「事業開発」のような、会社全体の業績にコミットする仕事や、新たなビジネスを創造する仕事に、ものすごく興味があったのです。

みなさんからご質問頂くことで、30歳まで営業経験しかなかった自分が「なぜ、今の仕事をさせてもらえているのか?」について振り返りをする機会を頂戴することができました。

今回、ぼくが考えてきたことをまとめ、「心構え(スタンス)と方法(行動)」に分けて述べていきたいと思います。

が、その前に何よりも重要なことがあるので、先に記載させて頂きます。

1番重要なのは「自分には営業のキャリアしかない」と自分自身で可能性を狭めるのではなく、「この仕事もやってみたい」という気持ちを常に持ち続け、諦めないことです。

この気持ちがないと、全ては机上の空論で終わってしまいますので、自分の気持ちに正直になり、諦めない姿勢を持つことが、最も重要であることを頭に焼き付け、お読み頂ければと思います。

それでは、心構え(スタンス)方法(行動)について、それぞれ書きます。


営業からキャリアチェンジするための心構え


【心構え3ケ条】
①自分は営業と企画の両方ができる唯一の存在だと自己暗示する
②自分の数字ではなく、3年後の組織の数字を追う
③賛同者が少ない方法に勝ち筋がある



自分は営業と企画の両方ができる唯一の存在だと自己暗示する

いきなり宗教っぽいですが、非常に重要な心構えです。

営業マンとして、自分に与えられた目標を達成することだけを考えていたり、営業成績だけで周囲と競争していると、会社や労働市場からは「営業人材」としてしか求められません

もちろん、自分の成績を出したり、目の前のことを一生懸命やることで、次のチャンスを与えてもらうことはありますが、その状態でキャリアチェンジしたところで、新卒のように0からのスタートになってしまいます。

かといって、営業マンとしての性質を弱め、企画職のように物事を考えたりしても、毎日ずっと企画の仕事をしている人には到底敵いません。

一番のポイントは、「営業現場に頻繁に顔を出している自分だからこそ見えるもの」を大切にすることです。

そして、「会社でこの役割しているのは自分だけだ!」と毎日毎日、自分に言い聞かせるのです。

単なる営業マンでもないし、単なる企画職でもない。

自分は会社で唯一のポジションである「企画営業マンだ!」という役割を勝手に自分に与えることが最も重要なことなのです。(営業企画は企画職っぽいネーミングなので、”企画営業マン”にしました)


自分の数字ではなく、3年後の組織の数字を追う


ぶっちゃけ、営業で成績を出すのは意外に簡単です。

誰よりも提案して改善して、また提案して行動量を増やせば、”自分の数字は”上がります。

簡単というのは語弊があるかもしれませんが、要は自分のメンタルブロックさえ解除すれば、誰にでも出来ます。

行動量が多い人=営業が出来る人という方程式は、ほぼ真実であるので、頑張れば、一定の営業数字は誰でも上げられるということです。

しかし、このような営業手法も同様に「君は営業できるね、じゃあ将来は営業部長ね」と言われてしまう”営業実績の出し方”です。

将来、営業以外の仕事もしてみたいのであれば、1人の営業マンとしてではなく、部や会社が継続して数字を上げられるようなマーケットを見つけてきたり、仕組みを作ることに注力すべきです。

ぼくはリクルートの営業時代に、自分の目標はギリギリ100%くらいで調整をし、2年後に部の売上が2倍になる方法ばかりを考え、行動していました。(個人成績に興味がないといって何度も怒られました)

与えられた環境で実績を出すことは重要ですが、「どんな数字の出し方か?」によって、習得できる自分のスキルやキャリアの選択肢が変わるのです


賛同者が少ない方法に勝ち筋がある

自分の数字ではなく、組織の数字を上げることは簡単ではありません。
なぜなら、企画職の人が常に頭を悩ませ、試行錯誤をしているにも関わらず、正確な打ち手や戦略は中々生み出されないからです。つまり、それだけ難易度の高いことなのです。

そんな状況で、いち営業マンであるあなたが思いつき、かつ周囲のたくさんの人が「それいいね!」と思う方法は間違いである可能性が高いのです。

おそらく、そんな方法は企画職の人が、とっくの昔に試して、何らかの理由で頓挫した方法である可能性が高いからです。

しかし、反対に、周囲の人が「なんじゃそりゃ!」という方法にこそ、勝ち筋があったりします。

それはそうですよね、先に述べたように、あなたは会社で唯一の「企画営業マン」なのですから。

あなたの仕事の可能性をあなた以上に知っている人はいないはずなのです。



営業からキャリアチェンジするための行動

【行動3ケ条】
①1人で実験する
②1人だけ味方を作る
③1人のお客さんにP/Lを見せてもらう


1人で実験する

何か良い方法や仕組みを考えた時に、いきなり、優秀な企画職の人や上司の人に相談するのはオススメしません。

なぜかというと、「それって〇〇じゃない?」とネガティブな意見を言われるか、「面白そうだね」と言って賛同はしてくれるものの、自分がやりたいことが大きく進展することは少ないからです。

先ほども記載した通り、今自分がやろうとしていることは自分しかわからないので、最初の段階で相談する意味がないのです。

まず最初にやるべきことは、自分1人でたった1つ、どんなに小さくてもいいので、成功事例を上げることです。

ぼくがリクルートの営業マン時代に行なった取組みも、売上が0から2年間で15億の事業になりましたが、最初は1人で実験した、たった5万の売上からのスタートでした。

しかし、もしその5万の売上がない状態で人に相談したところで、何も起きなかったはずです。

まずは小さな一方の実績を作ってから、人に話すことが大切なのです


1人だけ、社内に味方を作る

とはいっても、会社の中で1人だけ違うことをするのは簡単なことではありませんよね。特に営業部であれば、「みんなで営業成績がんばろう」という空気があるので、1人違った行動をするのはとても難しいことでしょう。

そこで重要なのは「1人だけ味方を作る」ことです。

自分がやりたいことが、いかに組織にとって良いことか?を語れば、最低でも1人は味方になってくれるはずです。

もし1人も味方になってくれる人がいなければ、あなたの伝えるスキルや熱意が足りないか、劣悪な環境のどちらかです。

後者の場合は転職を考えてもいいかもしれません笑


1人のお客さんにP/Lを見せてもらう

いち営業マンとして目の前の数字だけを追うのではなく、もっと広い視野でクライアントへの提案を行うには、クライアント自体を広い視野で観察しなくてはいけません。

そのためには、クライアント会社全体への業績や定量での現状理解が必須です。つまり、財務的なスキルですね。

ただ、財務といってもお客さんの売上がどのくらいで、コストがどのくらいで利益がどのくらい残るのか?を見ることが出来ればそれで十分です。

ぼくが銀行からリクルートに転職して驚いたことは「営業マンの財務知識のなさ」でした。

営業なので、目の前の売上ばかりを追っているあまり、会社の業績や状況を定量で見る機会がないのだろうな、と強く感じました。

おそらく、他の会社の営業マンも同じだと思います。

しかし、これでは与えられたノルマを達成するだけの営業にしかなれません。

例えば、ぼくがリクルートで営業をしていた当時は、クライアントの広告費が予算ターゲットでしたが、過去のリクルート営業マンの努力やブランド認知の高さによって、予算の限界くらいまでシェアを頂いてました。

そこで、「広告費以外に無駄なコストってないんだっけ?」と考え、過去に営業マンが提案してこなかったような提案を行うことで、全く異なる予算から発注してもらい、新たなマーケットを見つけることができたのです。

目の前のクライアントが持っている予算だけをターゲットにする営業スタイルは、営業の道を突き進む人の営業手法です。

もっと広い視点で根本の課題を見つけ、適切な打ち手を打つような営業こそが、幅広いビジネスを行うことのできる営業だと信じています。

そのためには会社全体を把握するための最低限の財務知識は必須です。


まとめ


営業力をつけたい」「あの人みたいに営業ができるようになりたい」という言葉を若いビジネスマンの方からよく聞きます。

社会人の基礎の段階では、がむしゃらに営業を頑張ることは素敵なことですし、一番重要なことかもしれません。

しかし、少し営業の仕事に慣れてきたら、自分が将来どうなりたいか?を自分に問いかけ、今の営業では足りないものを理解することは、とても大切なことです。

もし仮に、ぼくが歴史に残るようなとてつもない営業実績を銀行で上げたとして、今の仕事につけることはなかったでしょう。

それくらい、営業の実績よりも「自分は何ができるか?」の方が100倍重要なのです。

だからこそ、目の前の営業実績に囚われたり、営業ができる人のことをぼーっと眺めていても意味がありません

もし、今の営業職の延長線上に自分がなりたい姿がないのであれば、転職や異動をするのもいいですし、今いる営業の現場で工夫してみるだけでも違った世界が見えてくると思います。

自分もみなさんも悔いのない仕事ライフを送られることを祈っています。