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9つの「階段のある神社・お寺」プラス1 登るのが大変だった池上本門寺と愛宕神社

 2023年2月から3月にかけて9か所の「階段のある神社・お寺」を紹介しました。そして、6月に1か所を追加しました。

紹介した9か所プラス1の神社とお寺

 タイトルを短く「階段のある神社・お寺」としましたが、私としては「東京都区内で長い階段のある神社・お寺」のつもりで続けてきました。この9か所プラス1だけではないでしょうから雑誌風に「長い階段のある神社・お寺 9選 プラス1 in東京都区内」が正確かもしれません。
 一回目の湯島天神で紹介しましたように、私が生まれ育ったところでは神社が高いところにあり、急な坂道や階段を登っていく場所でした。そのことが深層にあるのか、階段の前では気持ちが引き締まります。これから神聖な場所に入るのだという覚悟が生まれるからでしょうか。そんな場所が東京都区内にあるのだろうかと神社やお寺を巡り、まとめたのがこのシリーズでした。
 

長い階段のある神社・お寺

「階段のある」とは、本当は珍しくもない、とも思っています。平地でも社域を区切るために本殿や境内を高くしているのですから。お寺には山の名前がついていますし、神社でも自然を神様として奉る日本では起伏がある場所に置くこともあり、階段ができるのはごく普通のことです。
 では長い階段は何段からか。段数は決めないでまわってみました。20段ぐらいでも高いと思うかもしれませんし、すぐに登り切れてしまうと思うかもしれません。実際に階段の前でどう感じるか。引き締まった気持ちになるかを自分の基準としていました。


 紹介した9か所プラス1の段数です。それぞれの神社やお寺で男坂と称されるようなメインとなる階段です。本殿の正面にある階段が多いのですが、湯島天神の場合は横にあり最寄り駅からの近道になっていましたし、代々木八幡宮は社殿からだと途中で直角に曲がっているなど、パターンはいろいろでした。

 また、カウントの仕方も難しい。一段目の高さまで歩道がアスファルトで埋められている場合はそれを一段としていいのか迷います。湯島天神の男坂がそうでした。すぐ横の案内板に38段と書いてあり、実際に登ってみたら歩道と同じ高さの一段目を数えていると確認できました。
 日枝神社は階段の手前の歩道が横に坂道になっており、判断が悩ましい神社でした。男坂は鳥居の手前が、向かって左側は段は無いものの右側は1段の段差になっています。ここは調整のための段差として段数には加えませんでした。メインの坂とはしませんでしたが山王橋でも、鳥居の手前は交差点の正面側は8段でしたが、横からだと6段です。ここも坂になっていて階段が斜めにカットされていたためです。地形によって変わってきますので状況に応じて判断しました。ちなみに日枝神社は山王男坂が52段、稲荷参道、山王坂が約130段でした。山王男坂は手前まで坂道になっていて登り始めがすでに高いのでこの段数の違いになっているのでしょう。ここでは本殿の正面の山王男坂の段数としました。

 比較すると50段前後が多かったことに気がつきます。護国寺は緩やかで楽に登れましたが、上目黒氷川神社は傾斜が急で昇り降りが怖いと感じるほどでした。愛宕神社と池上本門寺はそれぞれ86段、96段もあり、実際に登ってみると息が切れ、体が落ち着くまで時間がかかりました。私がゼーハーしている隣をおばあさんが普通に通り過ぎていくのにも感心しました。急な階段に慣れているのでしょうか。

 池上本門寺此経難持坂しきょうなんじざかは法華経の偈文げぶんの文字数と同じ段数と説明がありました。長い階段ですが5つの踊り場があって、そこで休憩できるよう配慮されていました。何度も昇り降りする人たちも見かけます。お百度参りのように願掛けをしているのでしょうか。すごい人たちです。

 愛宕神社は踊り場がなく一気に登らなければなりません。自然の地形としては東京都区内で一番高いところであり、その元々の地形から急な階段になっているようです。出世の石段 は運動のための上り下りは禁止されています。傾斜が急で幅が狭い階段です。走るように上っていくのは本人も危険ですし、周りの人への恐怖感もありそうです。転んだり踏み外したら大変なことになるでしょう。気をつけて登りましょう。

 逆に9つの中で段数が少ないのが代々木八幡宮の28段。二の鳥居の手前にも4段ありましたが離れているで一の鳥居の手前だけとしました。段数は少なくても森の中を歩くような自然な雰囲気は私の地元の神社に似ていると感じました。


 神社の場合、ご神体が直接見えないようにと参道が斜めになっていたり、道が曲がっていたりします。自然を生かしてそうしているのかもしれません。私の場合、それによって自然に戻っているような感覚になり、もう一度来てみたいと思う要因になっています。

 ここで取り上げたような階段はありませんが、明治神宮の原宿駅からの南参道は大鳥居をくぐると緩やかに右に曲がる道になっています。さらに二番目の鳥居とその先で直角に曲がるクランク状になっています。伊勢神宮もそうでした。外宮げくうも二番目の鳥居から先が緩やかに右へ曲がっていました。内宮ないくうも本殿に近づくと曲がった道が続き、手前では直角に階段を登るようになっていました。人の目が直接届くことを遮る神秘的な要因が、逆にさらに人を惹き付けているようにも感じられます。ここで取り上げた 9つの神社プラス1 でも階段はそのような要素の一つになるのでしょうか。私はこれからもそんなことを考えながら神社やお寺を巡っているかもしれません。


今回は東京都区内に絞りました

 東京都区内に限定しなければ、長い階段の神社・お寺は覚えているだけでもたくさん出てくるでしょう。鎌倉だと鶴岡八幡宮を例に上げる人は多いでしょうし、北鎌倉の円覚寺だと路線バスどころか、JR横須賀線が境内の中を通っているのですから。さきほどの伊勢神宮の内宮もそうです。正殿の手前が階段になっています。
 東京都区内であれば平らなところが多いはずで、その中から階段の長い神社やお寺で、さらに特徴的なところを探してみたかったのです。



 二日程度の間隔で公表してきた「階段のある神社・お寺」ですが、いったん区切りにします。
 東京都区内に階段の長い神社やお寺が他に見つかれば別の機会にまとめるかもしれません。 

 noteでは、小説に戻るか、別の形に変えて更新を続けるかは、いま考えているところです。何かが始まったら、また読んでください。

 このシリーズの前に更新していた小説「ジュプ・エ・ポァンタロン」は主人公の孝子が大学入学のため上京する準備をしているところから始まります。3月下旬のことで、そろそろその時期に差し掛かります。マガジン「novel ジュプ・エ・ポァンタロン」としてありますので、よろしければご覧ください。

 
2023年3月12日
和泉佑里


(追記)

「階段のある神社・お寺」は2月から3月にかけて紹介しました。その後、6月にもう一か所追加しました。王子稲荷神社です。実はテレビの散歩番組で紹介され、その映像をみて居ても立ってもいられなくなり、来てしまった神社でした。
 代々木八幡宮は元々の地形が小高い丘になっていてその上にある自然な印象を受けた神社で、私が生まれ育った場所にある神社に雰囲気が近いと感じた神社でした。そして、この王子稲荷神社も関東ロームの高い場所から、大昔には海であったであろうところが陸地になったちょうど境目にあってその崖を利用して本宮やお穴さま(狐の穴跡)が作られている…というように自然を利用した神社になっていて、不思議と懐かしい感覚になる神社でした。
 そして、この王子稲荷神社は江戸幕府第11代将軍徳川家斉が社殿を寄進したほどの格式のある神社ではありますし、実際に来てみると稲荷信仰の対象としても多くの人たちが大切にしている神社であることもわかりました。ぜひ紹介したいと思ってnoteに投稿し、そして、この「9つの『階段のある神社・お寺』」にも加え 地図や階段数の表にも書き込むことにしたのです。ご了承ください。

2023年7月7日に追記しました
和泉佑里


9つの「階段のある神社・お寺」


追加した「階段のある神社・お寺」番外編



 


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