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シンウルトラマンを見た話

はじめに

これは「どちらかというと良くなかった」という感想文です。
シンウルトラマンを叩きたいわけではありません、率直な感想です。

なので、シンウルトラマン面白かった!と思った方は不快に感じる可能性があります。
あくまで一視聴者としてこういう意見がある、という程度のメモ書きであり、あなたがそれを怖いもの見たさで覗いてしまったということを念頭に置いて読んでください。

あと、わざわざ面白くないと思ったって感想なんて書かんでいいやろ!という人がいますが、僕は書きます。
「面白かったと感じたときに生まれる原動力」と「面白くなかったと感じたときに生まれる原動力」はどちらも等価です。
面白かった時にだけしか感想を言ってはいけないというのは言論統制のそれだと思います。

上記2点をご理解の上、こちらの記事をお読みください。

期待100%

巷で話題のシンウルトラマンを観に行きました。

SNSを見ると、

「シンウルトラマンが限界人間オタクすぎておもろい」
「制作陣がウルトラマンを好きすぎる」
「米津玄師のウルトラマンに対する解像度が高すぎる」

といった称賛の声で溢れかえってますよね。

聞くところによると初代ウルトラマンを観ていなくても楽しめるらしいじゃないですか。
諸事情により映画を観るのがあまり得意でない僕ですが、ここまでいい評価が多いとさすがに気になってしまいました。

加えて僕は「シン・エヴァンゲリオン」がアニメ映画の中で一番好きです。その総監督である庵野さんの脚本ならもう観るしかねえよなあ!!と期待に胸を膨らませて映画館に足を運びました。

満足度50%

…結論から言うと、普通でした。

いやまあ面白かったんですよ?
面白かったんですけど、全体的にめちゃくちゃ駆け足で中途半端だなと思いました。

例えるなら「直線でアクセルを踏んでトップスピードを出す前にカーブが来る」ような感覚をずっと味わっていたような…いわゆる寸止めですね。

部分部分を切り取って見ると面白いんですよ。
何点か掻い摘んで説明します。

ウルトラマン大回転

作品中で2度めにウルトラマンが怪獣(敢えてこの表記にします)と対峙するとき、初撃で普通に蹴らずに全身大車輪で攻撃するシーン。

後で調べたんですが、ウルトラマンには「回ればなんとかなるシリーズ」という伝統お家芸があるんですね。
敢えてそれを入れるリスペクトは素直にいいと思います。
この事実を知らなかった上で感想を書いています。

普通ならならいわゆるライダーキックでダイナミックエントリーしていたと思います。
それを敢えて、僕らからすればかっこ悪い、滑稽ともとれる攻撃をしたのか。
僕は「ウルトラマンが人間じゃない」ことを表現する手法の一つだと思いました。

僕ら人間とウルトラマンの価値観は違います。もしかしたらあの攻撃がウルトラマンの出身「光の星」ではかっこよかったり、効率的な攻撃として確立しているのかも知れません。そんな想像を掻き立てられるワンシーンでした。

瀧くん尊い…

瀧がゼットンに一度は絶望して折れた後、ウルトラマンの信頼に応えるように打倒ゼットンの数式を開発するシーン。

ウルトラマンが心の底から人間を信頼し、人間の可能性に期待していることが見て取れることと同時に、人間という存在が無力であると同時に可能性の塊であること、ウルトラマンと人間が完全に同列の存在として描かれているのがとてもよかったです。

それまでの異星人が人間を、まるでハチのような害虫や家畜としてしか見ていなかったことと対比されて非常にエモいシーンでした。

情報量200%

他にもいろいろありました。

初代の変身ムービーのオマージュ(あれ元のやつ使ってるんかな)。
最後の作戦で30秒のタイマーが突然表示されるシーン。
異星人との接待居酒屋。

どれもいいシーンなんです。
本当に、どれももっと観たいと思ったシーンでした。

ただ、全部短い。

味わう間もなく次の場面に展開する。
情報量と技術力で考える間もなく殴られ続ける。

結果、不完全燃焼な割にもう観なくていいかな、となりました。
映画館で観たのはいいとして、BDは買わないなあ…ぐらいの作品だなと思ってしまいました。

制作陣がめちゃくちゃウルトラマンが好きで、本当に愛が詰まった作品なのはウルトラマン素人の自分でもわかりました。
だからこそ、上から2時間枠で作ってと言われたから仕方なく削った部分がきっといっぱいあったんだろうなと感じざるを得ませんでした。
本当に残念でなりません。

あと、もはや単体で話題になっている米津玄師さんの「M八七」ですが、映画の内容にめちゃくちゃ合った歌なんだろうなあと思いつつも歌詞のテンポが早いのとアレンジがちょっとうるさいので全然歌詞が聞き取れなかったんですね。
いい悪いの前に作品の内容にたどり着けないのでよくわからんかった、という感想になっちゃいました。

これは映画館が悪かった可能性もあります。スクリーンもあんまり大きくなかったですし、音響バランスもそんなに良くなかった気がするので。

それにしたって「映画館で観た直後のカタルシスに浸った瞬間に初めて聴きたい」と思ったが故にspotifyで聴くこともせずに映画館に向かうぐらい期待していった僕の感情は一体なんだったのか。
悪い意味で裏切られてしまいました。

基本は米津玄師さんの曲が好きなんですが、今回に限ってあんまり響きませんでしたね。
改めて曲単体でも聴きましたが、映画館よりはマシとはいえやはりなんとも言えません。
歌詞は大事だけど、曲は歌詞だけじゃだめなんだな〜と反省する一件でした。

消化不良でお腹を壊したようだ

そんな自分にとって良くない要素が重なり合ったためか、なんか微妙な映画だな〜という後味の悪さだけが残りました。
せめてあと2時間、いやあと1時間だけでもいいから長い尺でもっと作り込んでほしかったな、と思います。

帰りに一緒に観た人と感想戦をしましたが、おおよそ同じ感想で安心しました。
一緒に観てよかった…

また、別の機会に数人とシンウルトラマンの感想戦をやった時に出た意見として、

「ギターソロを飛ばしたり切り抜き動画で満足する現代人向けのチューニングとしては最適」

という知見を得られました。
言われてみればそれはそう、僕が作品作りで一番苦手な部分です。
これを聞いて、そもそもシンウルトラマンのターゲッティングとして僕が外されていた可能性に行きつきました。

それだったらこの感想が出ても仕方ないね…

さいごに

とある友人Sくんに「シンエヴァまじでおもろいっすよ」と勧められたので序破急を含めた4作品を1日かけて観たときは本当に心が無になるぐらいの衝撃と感動がありました。

今回もそれを期待して観に行きましたが、信頼できる筋以外のおすすめは当てにならないということを改めて痛感しました。

裏社会で情報の信頼性が重要視されるのはこういうことなんだろうなあ…
裏社会と関わったことないけど。


それでは、また。

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