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OLYMPUS Pen FV ハースサイズ一眼レフ


「OLYMPUS Pen F」というカメラ

 「OLYMPUS Pen F」は、ハーフサイズカメラとしては、世界初の一眼レフシステムカメラです。
 一眼レフなので、レンズ交換可能で、20本モノ交換レンズが用意された立派なシステムカメラです。
 他のハースサイズカメラは、レンズとファインダーの光学系が別系統ですので、見た目の構図とフィルムに映る構図に若干のずれがでるのは仕方の無いことですが、Pen Fシリーズは一眼レフなので、レンズから入った光がミラーとプリズムを通って、ファインダーでフィルムに当たるのと同じ画を見ることが出来ます。
 シリーズは3機種で、初代の「Pen F」、「Pne FT」、「Pen TV」があります。
 Pen F   1963年発売
 Pen FT 1966年発売 露出計内蔵、セルフタイマー追加
 Pen FV 1967年発売 「FT」から露出計を省略
 「FT」にのみブラックペイントモデルがあります。また、「FT」のみ露出計内蔵のためミラーがハーフミラー(マジックミラー的なヤツ)になっていて、内蔵露出計に光を当てているので、その分若干ファインダーが暗いそうです。

OLYMPUS Pen FV +G.ZUIKO Auto.s 40mm f1.4


「Pen FV」のレンズマウントとミラー

レンズマウントの奥にミラーが見えます。

 レンズマウント(レンズをつける円形の部分)の奥、向かって左手にプリズムがあります。
 35mmライカ判の一眼レフだと軍幹部(カメラ上部)に三角屋根の様なペンタプリズムがあるのが、ザ・一眼レフですが、このカメラはハーフサイズカメラで一眼レフを実現するために、ミラーやシャッター機構、光の通り道に工夫をした結果、軍艦部はフラットによりコンパクトになりました。

「Pen FV」のフィルム室

カメラ後部、フィルム室。チタン素材のロータリーフォーカルプレーンシャッターが見えます。

 フィルム室の独特です。他の多くのハーフサイズカメラ同様、「Pen F」シリーズも35mmライカ判(24mm×36mm)の半分(24mm×17mm)で、縦長の露光窓になっています。なので、ファインダーもカメラを正位置で構えると縦構図になります。縦構図が好きな方には、ハーフサイズカメラはお勧めです。
 シャッターもこのカメラの特徴です。このカメラ専用設計のチタン素材の半円形の薄い板が回転してシャッターの開閉を行う「ロータリーフォーカルプレーンシャッター」というモノが付いています。

 先にも書いたように、ハーフサイズカメラは露光面積が通常の35mmライカ判の半分なので、画質が落ちてしまうのがふつうですが、「Pen F」シリーズはレンズが専用設計で交換可能なで、設計の自由度が高く構成のレンズがそろっています。さらに、発売当時からフィルムの性能も格段に上がったので、このカメラに現代の超微粒子フィルムの組み合わせで撮影すると、フィルム特有の柔らかさと繊細な描写の両方が楽しめます。

以下、数種類のフィルムでの作例です。


作例

Kodak PORTOR160

 コダックのポートラシリーズは、自然な発色となめらかな描写が特徴で、子供や女性のポートレートに最適です。特に160は超微粒子で繊細な描写です。

はるさんと小さい頃のゆうさん
冬の柔らかな日差しを味わうハルさん
積み木を叩く小さなゆうさん
カフェの天井と照明
焙煎機
メニューの見る妻。ローライトでも繊細でやわらかな描写
「Pen F」用のレンズ「G.ZUIKO Auto.s 40mm f1.4」はとても描写力が高くボケ味も自然です。


Rollei RPX 25 (モノクロ)

 「ローライ RPX 25」ISO感度25という低感度・超微粒子、高コントラストな白黒フィルムです。
 描写が非常に繊細で緻密で、ハーフサイズカメラで撮っているので、多少は画が荒れるのですが、このフィルムと「Pen FV」組み合わせでは驚くほど繊細な描写が得られました。

低く咲いたマーガレット
マーガレットの雄しべや花びら、手前の御影石の表面の質感などとてもよく再現されています。
葉っぱの一枚一枚。重なりの陰影が良く写し出されています。
夕陽
太陽自体は白く飛んでいますが、雲の暗部や樹木のシルエットのディティールは残っています。ラチチュードが広いのは、さすが白黒フィルムです。
白樺林
幹や陽を受ける葉の表情が描写されています。
青空を背に電柱
ウチの猫「なつさん」
ISO感度25では、さずがに室内はきびしいですねぇ
イチョウのトンネル
奥のピント面付近の枝葉の描写が緻密ですばらしいです。
藤の花
陽の光を受けた藤の花一つ一つのディティールが繊細に描写されています。
日向の真っ白な花の花びらの表面の質感がしっかり表現されてきれいです。
夕暮れ後、日陰のタンポポ
暗い場面ですが、タンポポの種の綿毛の一本一本がきれいに写っています。
高い空の薄いすじ雲のディティールがよく再現されています。
古い市営住宅
建物のディティール、草の様子が繊細に写し出されています。
木漏れ日を受けるタンポポ
陽を受けるタンポポの花と日陰の葉っぱの対比が、広いラチチュードと緻密な描写でしっかり写っています。
白樺の幹
逆行で白樺の幹を撮っていますが、暗部の白樺の幹の質感もしっかり表現されています。


Kodak PORTOR 400

 ポートラシリーズは、自然で優しい色味となめらかな描写が魅力のフィルムです。ポートラシリーズには、ISO感度の違う「160」、「400」、「800」の3種類があります。ISO感度800のカラーネガフィルムは、現在殆ど生産されておらず貴重な存在です。
 さて、作例は「コダック ポートラー 400」です。「160」より少し粒状感が目立ちますが、その分より優しい写りのように感じます。こちらも繊細な描写です。日中屋外なら「160」、暗い時間や屋内なら「400」、さらに暗いようなら「800」という感じでしょうか。 

カボチャのモンブランとチョコレートロールケーキ
夜の屋外f1.4解放です。かなり柔らかい描写になっていますが、色味はとても自然です。
あきちゃんとりんさん
ピントが浅いですが、ピント面は毛の一本一本が分かります。
クリスマスの朝
プレゼントのウクレレで遊ぶゆうさんと妻
ウクレレの弦や服のディティールが自然に再現されています。
りんちゃん
夜の室内で条件が厳しいですが、毛や絨毯の質感はしっかり表現されてきれいです。
振り返るはるさん
髭や瞳がきれいに写っています。
はるさんとのりこさん
上の写真よりしっかり髭や瞳、体毛の質感が表現されています。
ゆうさんとのりこさん。お出かけ出発
こういう日常の優しいスナップにとてもよく合うフィルムです。高価いけど、、、。


FUJIFILM ネオパン ACROS 100

 「ネオパン アクロス 100」は、富士フイルムの定番白黒フィルムです。このフィルムも超微粒子で繊細で線の細い描写が特徴だと思います。「ローライ RPXシリーズ」ほどコントラストが高くなく、穏やかでなめらかなトーンで優しい仕上がりになりやすいように想います。
 以前は「ネオパン プレスト 400」というISO感度400の白黒フィルムが会ったのですが、現在日本メーカーの白黒フィルムは、この「ネオパン アクロス 100」のみとなっています。残念です。

飛行機雲
雨の日、水玉。非常に繊細な描写です。暗部から明部へのが階調がとても豊かですね。
ピント面はピシッとボケは柔らかく
スナップにとても良い素直な写りですね。
ビルの壁のディティールがしっかり表現されてきれいです。
「盛岡さんさまつり」ISO感度100で夜のお祭り撮影はきびしいですが、明るいレンズとショックの少ないミラーとシャッターで何とか撮れてます。被写体ブレが臨場感を出しています。
「盛岡さんさまつり」輪踊りの様子
可愛らしい祭り男


Lomo graphy CollarNegative 100

 トイカメラの開発、製造、販売などで有名なロモグラフィーは、様々なフィルムも売っています。
 「ロモグラフィー カラーネガティブ 100」は、ISO感度100で他メーカーのフィルムであれば超微粒子で繊細な描写となるのですが、このフィルムはよく言えばフィルムらしい粒状感がありざらざらとした描写です。色の出方は暖かめでフワッとした印象を受けます。いかにもフィルムで撮ったというような懐かしい画に写ります。

夏の夕暮れ、西日射す通り
夕陽に染まるアパート
顔みたいな影
国産ライカコピーNICCA 暗所では粒状感がより顕著です。
大好きな飲み物
フィルムで撮ると益々うまそう
日中の薄曇りだとピシッと写ります。
レール
青いアジサイも暖色よりに写っている気がします。
百合の花
ゆるい描写がこのフィルムの持ち味で良さなんですな。


Kodak EKTAR 100

 「コダック エクター 100」は、超微粒子、高精細な高性能カラーネガフィルムの代表みたいなフィルムです。
 とても、ビシッと精細にコントラストも高く写ります。同じコダックの「ポートラ シリーズ」に比べると堅い感じの写りになります。このあたりは使い分けや選択は被写体や撮影者の好みでしょうね。

夏雲
擬宝珠を登るカミキリ虫
残照を受ける欄干と擬宝珠
日没後の川面
超微粒子とはいえここまでローライトだと粒状感が出てきますね。
カジカの石像
石の表面の質感がとても良く描写されています。
沈んだ日の光を受けて光る飛行機
百合の花に付いた滴の描写がこのフィルムの真骨頂って気がします。
夕焼け空とシルエット
盛岡天満宮の名物「狛犬」さん
石の表面のザラザラとした手触りが伝わってくる様な描写です。


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