【ハンセン病をテーマにした傑作】豊田四郎監督「小島の春」【キネ旬一位】

【1940年キネマ旬報日本映画ベストテン 第1位】
『夫婦善哉』『恍惚の人』などの豊田四郎監督が小川正子の同名手記を映画化した作品。

まずこれがハンセン病についての映画だということを全く知らなかったので驚いた。

一旦この映画が持つテーマ的危うさは置いといて映画としてみると、元の手記をどの程度脚色しているのか分からないが、よくできていると思う。夏川静江演じる医師とらい病患者とその家族の交流、村人たちとの関係を上手く描いている。

島の美しい景色や文字の表現、モンタージュなどの技法を用いて飽きさせない映画になっている。

一方でこの元の手記やこの映画自体、無らい県運動に加担したという批判もある。無らい県運動とはらい病患者を故郷や家族から引き離し、専門の病院に隔離する政策のこと。

実際この映画でも病院はユートピアで、行かないのは我儘だという価値観があるようで背景を知らない人が見ると間違った先入観や差別意識を持つ恐れがある。今ではハンセン病は特効薬があり治る病気であり、感染力自体も非常に弱い。

ただ、豊田監督はらい病患者の家族の哀しみに焦点を当てているようで、隔離政策万歳!という姿勢ではないように思える。

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