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ついに、森達也監督が「劇映画」を撮る。『福田村事件(仮)』

関東大震災直後から飛び交った流言飛語――朝鮮人が武器を持って襲ってくる井戸に毒を投げ入れた放火して回っている等々。それらを信じた市井の人が自警団を結成し、「九月、東京の路上で」朝鮮人を虐殺した

そして、関東大震災から5日後、千葉県東葛飾郡福田村で9人の日本人が殺された。彼らは香川から来た行商団だった。讃岐弁を朝鮮語と間違えられたのだ。9人の中には臨月の妊婦もいた。彼らは被差別部落の出身だった

福田村事件」と呼ばれるこの虐殺を知る人は少ない。関東大震災の朝鮮人虐殺自体を知らない人も多い。否定する人もいる。小池百合子都知事が、歴代の都知事が続けてきた「関東大震災で虐殺された朝鮮人犠牲者追悼式」への追悼文の送付を止めた。コロナによる感染者への差別や自粛警察、他県ナンバー狩りも記憶に新しい。

こんな時代だからこそ、福田村事件を映画にしなければと思う。本作企画の荒井晴彦(『Wの悲劇』脚本)は、この事件を知った直後にこう言った。

「知った以上、伝えなければ」

そうして、「福田村事件」の映画化プロジェクトは始まった。

しかし、「負の歴史」どころか「政治」を描いてこなかった日本映画界。そんなに簡単にこのような企画に製作費が集まるはずがない。

来年は関東大震災から100年。すなわち福田村事件から100年。

それにあわせ、来年の夏、この映画を公開したいと思っている。そうなると、今年の夏(実際の事件と同じ時期)に撮影する以外手がない。

そこで、この映画の製作にあたり、皆様のご支援をお願いするためのクラウドファンディングを立ち上げた。

「過去に目を閉ざす者は現在にも盲目となる。」

これは、ドイツの大統領だったヴァイツゼッカーのあまりに有名な言葉。

どうか皆様のご理解とご協力を、よろしくお願い致します。

◆◇◆

『A』『A2』『FAKE』『iー新聞記者ドキュメントー』など、日頃、我々が無意識に線引きしてきた向こう側を描き、社会のみならず我々自身にも鋭い刃を突きつけてきた映画監督の森達也が初めて劇映画を監督する。その題材として選んだのは、誰も知らない、歴史から忘れ去られた事件――。


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