東洋医学・養生指圧・臨床心理 ②
養生の指圧
指圧師のすすめ
前回は、鍼灸院として開業した私が、鍼灸ではなく指圧に傾倒していく気持ちを書きました。
中年すぎてこの世界に入り、指圧を業として生きてきて、一瞬たりとも迷ったり後悔したりしたことはありません。誰が何と言おうと(言われたことはありませんが)、指圧が私の天職であり、指圧を中心に世界が回っていて、本人的にはとてもとても幸せな状態が続いています。
だから是非指圧を受けてみて・・・というのはもちろんなのですが、是非指圧師になってみて・・・というのも、私がここで声を大にしてお勧めしたいことなんです。
世の中には、お仕事が辛い、合っていると思えない方がたくさんいらっしゃいます。当院にも、教師、看護師、心理師、介護士といった、志高く誇り高い専門職の方が数多くいらしていて、ベッドの上は弱音を吐くための場所なので当然のことなのですが、本当に過重な責任に押しつぶされそうになりながら働いて擦り切れそうになっていらっしゃる。
人生100年時代、転職も当たり前になり、定年も年金もゴールがどんどん先に延びて、働ける時間も長くなり、20代で選んだ就職先が身の丈に合わなくなるのは、当然のことと思います。
そのまま耐えて全うするのがいいのか、新天地に飛び移るのがいいのか。
もちろん、答えはわかりませんし、すぐに出る答えでもありません。
でもそんな彼女たちに、私は指圧師になることを勧めます。
突拍子もない、冗談とお思いですか?
とんでもない。私は真剣です。
私は指圧師が第二の人生を歩む選択肢として、最高のものだと信じています。時代の波にのって、リスキリングの選択肢といってもいい。
どんな経歴のどんな挫折も、もれなく肥やしになります。
丸ごと生かすことができて、一片の無駄にもなりません。
自分自身が元気になり、目の前にいる人が元気になります。
家族も元気になり、人生が楽しくてしかたなくなります。
どうして?
指圧師とはそういう職業だから。
指圧師は医療系資格といわれますが、私には対人援助職というのが一番ぴったりきます。目の前にいる人のお役に立つこと。
困りごとに耳を傾け、そのお悩みが解消するよう伴走すること。
私は、自分の仕事をそんな風にとらえています。
看護師さんも、学校の先生も、介護士さんも、本当に心の優しい誰かのためになりたいと職業選択をされた方ばかりです。
でも現実の職場は、目の前の方の役に立つための時間よりも、雑務や事務手続き、保護者とのやりとりなどの感情労働にへとへとになられている。
対人援助にご自分の情熱を注げなくなっている。
そんな悩みは指圧師になれば全部解消するよ…、会いたくない人に会わなくていい仕事なんだよ…と私はいつも情熱をこめて勧誘します。笑ってまさか…と思われる方も、なんとなくその気になって、専門学校の資料を請求したり、オープンキャンパスに行ってみたり。
もうすぐ、続々と女性指圧師が誕生するはずです。
最近は、新しくお勧めできる方がいなくなってしまったので、それができなくてさみしくて、noteでもはじめてみました(笑)
詳しく聞きたい方は、いつでも個人的にご相談下さればいいのですが、まず指圧師にはどうすればなれるのか?をお話しますね。
あん摩マッサージ指圧師
あん摩マッサージ指圧師という国家資格があるのをご存知でしょうか?
きっと、私もこの世界に興味を持つまで全く知らなかったので、認知度は恐ろしく低いと思います。
鍼灸師もマイナーな資格ではあるでしょうが、あん摩マッサージ指圧師のマイナー度にはとても及ばない。
類似というか、医療系の国家資格には看護師、柔道整復師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などがありますが、開業権があるのは、柔道整復師と鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師だけです。
柔道整復師が開業しているのが、接骨院、または整骨院。
よく似た名前で整体院という言葉がありますが、整体院は国家資格の有無にかかわらず開業できる業態です。
私が卒業した専門学校は、鍼灸師、厳密にいえば、はり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師の三療と呼ばれる資格を同時に取れるコースがあったので、そこであん摩マッサージ指圧師の取得資格の過程を取りましたが、三療同時に取得できるのは、関西では三校しかありません。
全国にまたがって調べてなくて申し訳ないのですが、鍼灸師だけのコースは、専門学校でも大学でも色々な選択肢があるのですが、あん摩マッサージ指圧師のコースというのは本当に少ないのです。
それには、ちゃんと理由があって、もともとこの資格は視覚障がい者のためのものとして、職域保護の観点から、新しく認可が下りないようになっているのですね。
鍼灸師や柔道整復師のための学校は、規制緩和の折に新設校がたくさんできて、それはそれで問題もあるのですが、それはおいておくとして、あん摩マッサージ指圧師の資格に関しては規制緩和されず、増設されなかったのです。
なので、さきほど関西に三校と申し上げたのは、晴眼者のための学校の話であって、盲学校さんや、視覚障がい者センターにおいて、あん摩マッサージ指圧師のコースは都道府県ごとに完備されていて、人材は輩出されています。
というわけで、あん摩マッサージ指圧師の取得のためには専門学校に入学して3年間の課程を学んだ後、国家試験があり、それに合格することが必要です・・・というお話でしたが、次回は、その授業内容などをお話して、あん摩、マッサージ、指圧の違いについても触れたいと思います。
なかなか養生のための指圧というところまでたどり着きませんが、今日はここまでに。
お付き合いくださって有難うございました。
最後まで読んでくださって有難うございます。読んでくださる方がいらっしゃる方がいることが大変励みになります。また時々読みに来ていただけて、なにかのお役に立てることを見つけて頂けたら、これ以上の喜びはありません。