AI 泣かせのひとになれ ④

早速、ヒロさん、ジョージさんとボクの3人で中学生2人に会いに行く。横浜みなとみらいの事務所から藤沢市湘南台の中学校まではクルマでそう遠くない。仕事では、運転はヒロさんが自分でする。アメリカにいたときに、向こうのプロゴルファーたちは、周りのスタッフたちでなく、何でも自分ですることを知って、コピー1枚でも自分でするようになったと言っていたことがあった。そして、負けず嫌いのヒロさんは、初めての人と会う時は、勝負服がスゴい。ラッキーカラーのイエローを使った服や小物はもちろん、それ以外の色もイエローとうまくバランスを取ったコーディネートにしている。ただ、さすがにボクは勝負下着までは聞けない。セクハラで訴えられる以上のしっぺ返しが浴びせられるのは目に見えているから。ヒロ怨念に一生怯えさせられるかも?

待ち合わせ場所の学校の近くのコメダ珈琲にクルマを止め、3人は中に入って2人が来るのを待った。天井の高いこの店は、創造力が働くらしくヒロさんのお気に入りだ。
15分くらいすると、頭の軸はそのままに目だけキョロキョロさせながら中学生らしき2人が入って来た。
「ヘェ~イ、ヘェ~イ!」
とジョージさんが呼ぶ。2人はこちらのテーブルにスタスタスタッと歩いて来た。
「ハァ~イ、ジョージさん、久し振りです。」
とモリミーの高音の美声。
「キャッ、ジョージさん、お洒落ぇ」
とアサミーのノーテンキに明るい声が響いた。
「ど~~お、アサミー、モリミー、ハゥアーユー(How are you)?」
「グッ、グッ(Good, good)」
「ファイン(Fine)」
「よかった。アサミー、そんなにお洒落かしら?」
「イケてる、イケてる。さすがのジョージ。」
「ホイ、ホイッ。こちらが、偉い人、社長のヒロさんで、男の方がデータ・サイエンティストのUヘイ君。」
「ウオッ、ヒロさん、歳の割に派手めだけど、センスいぃ、私好きよ。」
とさらにノーテンキさがグレードアップした感のあるアサミー評。
「ねぇ~、オバさん、私たちに用って何?」
すかさず
「オッと、ヒロさんでした。私たちが何かお手伝いできますか?」
「ナノセカンドの切り替えの速さ、さすがです。これも一つの才能でしょ。」
とモリミーが心の中で呟いた。
「ヨォ~し、2人とも。タメ口でいいから、何でもオープンに行きましょう、これから。呼び方もヒロ、Uヘイって呼び捨てでいいわ。」
「えっ、まだ何にも聞いてないし、やるともやらないとも返事してないんですけど。」
今度は、モリミーが突っ込む。
「大丈夫、モリミー、アサミー。私、イエス(YES)しか相手に言わせないリサーチ・ファーム代表ですから。」
「どこかで聞いたことのある決め台詞にどこかしら似ている」
と感じるのはオレだけ、と心の中で今度はUヘイが呟いた。
「私も自己紹介していいかなぁ?」
とUヘイが切り出した。
「OK, Googleならぬ、OK, Uヘイ。」
と2人からのハモリ。
「はじめまして、小谷雄平です。皆んなUヘイって呼びます。」
英語の
“Nice to meet you. My name is Yuhei Kotani. Please call me U-Hey.”
をそのまま翻訳したような硬い日本語やな。
「あっ、Uヘイね。」
と2人から軽い扱い。
「帰国子女のサーベイをするんだけど、協力してくれないかな?勿論、チャンと報酬は払うわよ。どう?、アサミー、モリミー。」
「詳しくは、あとでメールするけど、先ずどんな感じか意思を知りたくて。お二人自身については、ジョージさんの紹介だから全然心配してないんだけどね。」
「Two OK Rockね!2人とも大丈夫。」
「えっ、オレの意思はどこ言った。アサミー、オレに聞いてないし。」
「それこそ、えっ、ダメなの?」
「いや、OK。」
「なんだよ、会話一往復分無駄しただけ。」
「ということは、引き受けてもらえるということだね。」
とUヘイも何だか楽しそうな表情に見える。
「パッパカパ~ん、これにて一件成立ぅ~~~う!」
と、ジョージさんも嬉しそう。


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