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バリキャリを目指していたのに、気づけば無職になっていた

バリキャリ=バリバリ働くキャリアウーマンのこと。


昔から勉強も運動も苦手だった。学歴もないし輝く才能もない。

そんなわたしが「これなら人生逆転できるかも!」と思ったのが「仕事」である。


たしかに、学歴によって入社できる会社の選択肢も変わることはある。そもそもスタートの給与が違うとか、条件面でも差は出る。

それでも仕事で成果を出すことができれば、その場所に存在する価値になるし、相応の条件で働くことだってできるはず。

「過去だけじゃなくて今を見て判断してもらえる」というのは、人生逆転を狙うわたしにとって希望だった。最強の会社員になれたら、これから一生安泰だとも思ってたんだよね。



もちろん、最初に就職した会社でそんな簡単にうまくいく訳はなく。自分自身が未熟だったのもあるけど、理不尽な扱いやキリキリする人間関係は全部しんどかったし悔しかった。

会社で涙をこらえて、帰りの電車のホームでこっそり泣いた夜もある。

わたしの中には「この怒りや悲しみをすべてエネルギーに変えて、絶対に最強になってやる」と、少年漫画の第一巻みたいな想いが昔からずっとあるのだ。



そんな毎日を生きのびて、わたしのメンタルも鍛え上げられていく。ちょっとやそっとのことでは動じなくなり、出勤から退勤までを涼しい顔でこなすことができるようになった。

できる仕事が増えて少しずつ自信になっていく。転職を経験したのも大きいきっかけになって、「この世にはたくさんの会社があって、わたしの可能性って無限大なのかも!」とさえ思った。スーパーポジティブ期である。

アラサーになり「そろそろ40代・50代まで働ける会社と出会いたい」と考えるようになり、最後の転職を決意する。次に入社する会社は慎重に決めよう。一生の居場所になるかもだから。



そんな気持ちで時間をたっぷりかけて転職活動をし、新しい会社への入社を決めた。

そして入社から半年後、メンタルを崩し、身体の調子がみるみる悪くなり、まともに働くことができなくなる。人生が終わったんだ、と本気で思った。


慎重に時間をかけて選んだ会社で、まったくうまくやれなかった。会社や上司に求められることがうまくできず、仕事に対するすべての自信が消滅した。

同期入社の子があっという間に会社になじんでいくのを見て、うらやましかった。自分に足りてないものばかり数えてしまう。

転職前のスーパーポジティブ期のわたしは「これからバリキャリ人生が始まるのだ」なんて思っていたので、落差が激しすぎたのだ。気持ちと環境が合わなかったとき、人は簡単に心を病むんだなと知った。



結局、働き続けることはできず、就職活動をする気力はなく、無職になってしまった。「自分には仕事しかない」なんて思っていたのに。なにもなくなってしまったのである。

「人生には3つの坂がある。登り坂、下り坂、まさか、だ。」なんて言葉があるけど、下り坂とまさかが一気に来て、しかもこんなに急な坂だとは思わなかった。90度くらいで、ほぼ垂直に落ちた。



なにを言いたいのかというと、どんなに慎重に考えていても、どんなにポジティブな人でも、人生や生活が突然ひっくり返ることがあるということ。

いま思い返してみても、事前に自力で防げたか?というと難しいと思う。当時は当時で、自分の考えうるベストな行動を選択してきたから。




わたしは、バリキャリを目指すのをやめた。やめざるを得なかった。

今でもたまに、叶わなかったもうひとつの人生を考えることはある。最強の会社員になった自分のことを。


でも現実のわたしは、複業フリーランスとして生きていく覚悟を決めた。考えてもいなかった道で、まだ具体的なイメージはついていない。人生がひっくり返らなかったら、いまの選択は絶対になかったと思う。

たとえ消去法の選択だったとしても、最初に目指した姿とは違くても、自分だけは自分を全肯定していきたいと思う。選んだほうを正解にしたいです。

またね。



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