【本のまとめ】Chat GPT VS 未来のない仕事をする人たち
序章 ChatGPTは世界と未来の何を変えるのか?
私たちはすでに未来の世界に生きている
生成AI=GenerativeAIとも呼ばれる
AIはほとんど全知全能の神
→どんな天才にもできなかった、世に存在するすべての文書やデータにアクセスできるから
AIに支配される世界をユートピアとみるのか、ディストピアとみるのかの選択はあなた自身
AIにチャットというインターフェースをつけたことで、世界中の知識を駆使して会話ができ、自分のレベルに合わせて話し相手になってくれ、寄り添い、拒否されることもなければ裏切られることもない。つまり、すでにドラえもんを手にしていると言える。
→仕事に疲れた人が癒しを求めてペットショップに立ち寄るのに似ている。
ChatGPTの登場で「ホワイトカラーの9割以上の仕事がなくなる」
何に使うのかわからない「謎資料」や見返すこともない「議事録」など意味のない仕事をChatGPTが代わりに行ってくれるようになる
ChatGPTはプログラムのコードを書けるし、デバック(バグを見つけて修正すること)も得意。
レベルの低いエンジニアはChatGPTに淘汰されてしまう可能性がある。
米ゴールドマンサックスがAIの影響を予測した資料では、「事務管理サポート」といった職業の半分近くがなくなる。
ホワイトカラーの仕事の中には人間がわざわざやらなくていい仕事(無駄な資料作成など)もあるのでそんな仕事なら無くなっても問題ない。その分やってみたかったことに挑戦したり、楽しく思えることを始めることでより人生を謳歌できるようになる。
新しいテクノロジーが出現すると、「自分の仕事がなくなるのではないか」と不安になる人が多いが、人類の労働不可は下がり続けている。
200年前から農業人口は激減している。つまり、テクノロジーのおかげで重労働から解放され続けているということ。
サム・アルトマンは「仕事がなくなるというより、タスク(作業)がなくなるだろう」と言い、今後生まれるであろう新しい仕事の中に、「銀河を散策する仕事」を挙げている。
100年後の未来人からしたら、デスクワークを勤しんでいる現代人は私たちから見た昔の農民と同じであろう。
生成AIに関しても、初期はプロンプト・エンジニアリングなどに精通した一部の層が活発に活動していき、一気に生成AIが民主化していく。
この時期にするべきことは、情報を集めること。そして動くこと。
【ビジネスを起こしたい人】
生成AIを使えばそれなりのビジネスがサクッと作れるようになる。
例えば、老人の相手をしてくれるChatGPT搭載のワイヤレスイヤホン、子供の話し相手、語学学習。
生成AI×コミュニケーションの分野はアイディアが出やすい。
【今は会社員だが、何か始めたい人】
まずはChatGPTを使って不要な仕事をなくす。
自分の時間と他人の時間はトレードオフのため、自分の時間を有意義に使う。
【何もしたくない人】
幸福の基準は下がっているので、当たり前の幸福に目を向ける。
無料のゲーム、サブスクで世界最先端の作品を楽しめるなど、今後は労働が必要なくなるのでほとんどの人は遊んで暮らせる。
第1章 結局、ChatGPTで仕事はどう変わるのか
優等生のChatGPTは、私たちの仕事の何を変えるのか?
テキスト関係の仕事の自動化と簡単なプログラミングに使える。
○○についてどう思うか?などのつかみどころのない質問や本の帯を書くのにも適している。
本のデータをChatGPTに入れたうえで、要約させる。
ChatGPTでできることの幅広さを知り、その能力を理解すると、人間なんてChatGPTに毛が生えたようなものだと気付く。
ChatGPTの上手な使い方を教えてください!
ChatGPTは検索ツールではなく、仕様書を書いて作業を代行してもらう秘書のようなツール。
ユーザーインタビューなどでも使える。
例)「あなたはブログサービスのユーザーです。」「ブログを使っているときの悩みは何ですか?」や「〇〇と△△の比較について教えてください。」と言うと、意見を言ってくれる。
ChatGPTは平均的な答えを出すという特性を生かして、ユーザーの声を推論したりすることができる。
ChatGPTの本質は、続きを書くマシーンなので与える情報が具体的であればあるほど質のいいアウトプットが返ってくる。
絶対に外せないものを決めてから(=アンカーを置く)命令を出すと、質が高くなり、逆質問させることも可能。
しかし、一度の出力では完璧にはならない。
生成AIが発達した未来に、何が起こりますか?
プログラミングの知識がなくてもコンピュータに命令ができるようになり、コンピュータが自力で新しいコンテンツを作れるようになったことが、生成AI革命。
今後はチャットだけではなく、ブラウザやロボットなどに実装されていく。
最終的にはディズニーのように人間ではないコンピュータやモノと会話する世界観が達成される。
ChatGPTでなくなる仕事は?メディアは?
機械で処理できる単純作業のうち、人間のトレーニングコストや学習期間が長いもの(弁護士や会計士)ほどAIと入れ替えられやすい。
漫画家やイラストレーター、ユーチューバーはかなり高い確率で共同作業もしくはライバルになる確率がある。
ラーメンの食レポや土下座して謝るなどは人間にしかできない。
しかし、フェイク映像の精度も高まっているため、本物と見分けをつけるのが難しくなっている。
最終的に人間に残される仕事は、「決めること・選ぶこと」と「責任を取ること」に集約される。
これは究極論でもあって、コンビニ飯がどれだけ進化しようが料理する人もいるし、電子レンジを好む人もいれば自然解凍を好む人だっている。
技術が進歩して過程をスキップできるようになるが、それは選択肢が増えたというだけに他ならない。
今はまだ変わらないが、「気が付いたら、いつの間にか世の中が変わっていた」という風になる。
今までの世の中の変化を追うと、数年単位で劇的に価値観や生活様式は変わっている。
自分のやりたい表現をどういう形で実行するかを「選ぶこと」こそ芸術の本質であり、それは生成AI時代にも言える。
平均的な合格点を出したいのであれば、真っ先にChatGPTに頼ってしまう方が良い。
・スライド資料の作成
生成AIのほとんどがホワイトカラーの仕事に影響を与える。
パワポ曼荼羅、ロケット事業で役所に提出する書類など大企業のビジネスパーソンが従事している仕事のほとんどが影響を受けざるを得ない。
・裁判官
ChatGPTは大学入試や専門職試験を次々と突破している。
知識とロジックだけが問われる分野は代替されやすい
・テレビの仕事
AIに音声合成技術を組み合わせればナレーションやMCは不要になる。
ギャグとしての面白さや突拍子のなさをChatGPTに学習させれば、絶妙なコメントも返せるようになり、漫才やコントのようなコンテンツすら作れるようになるかもしれない
・編集者やライター
タイトルやコンセプト、章立て、カバーの写真まですべてAIで本を作成しても違和感なくできる。
写真集もAIで実はよくなっている。
今後は人が書いた本とAIが書いた本のカテゴリーが分けられるかもしれない。
・プログラミング
すでに半自動でプログラミングのコードを書いてくれる。
・介護
空間再現ディスプレイで高精度の3DCGとチャットボットを実装することで、バーチャルの孫を作り、話し相手にさせることでボケ防止、アンチエイジングに活用できる
・先生
AIと音声合成技術があれば、生徒それぞれに合わせた対話と授業ができるようになる。
しかもAIは世界中の知識を備えているので、誰よりも知識が豊富で何だって的確に答えてくれる。
・食レポ
高性能のカメラで撮影することで、含まれるアミノ酸料なども測定でき、そこからネット上にある画像や映像から学習させれば、それっぽいレビューを書くことは可能。
生成AIの登場で、コンテンツはどこに向かうのでしょうか?
ChatGPTは多様なコンテンツを作成できるツールです。以下のように活用できます:
コンテンツ作成:
ビジネス書:堀江さんがChatGPTを使って作成。
小説やゲーム、映画のシナリオ:AIの進化により、これらの分野でも活躍が期待されます。
AIの特性:
理性的:情緒よりも論理的な側面が強い。
学習能力:ネット上の文章を基に、一般的なスピーチやプログラミングコードの生成が得意。
プログラミング:
実用性:ほぼ半自動でコードを生成し、実際の仕事での使用例もある。
動画との組み合わせ:
利便性向上:動画内容を文字に起こし、ChatGPTで要約。これにより、学習者の理解を助けます。
テキストとメディアの組み合わせ:資料性の高い動画をより有効に活用。
ChatGPTの応用範囲は広く、将来的にはテキスト、画像、音声、さらには高品質のゲーム世界の生成も可能になる見込みです。この技術の発展により、コンテンツ作成の方法に大きな変革が起こるでしょう。
SNS上の文章理解の問題:
X(旧ツイッター)の使用者の中には、日本語の文章を正しく理解できない人が多いです。結果として、クソリプ問題があります。
SNSの普及により、書く言葉と話す言葉が混在し、文章を読むスキルがさらに求められるようになっています。
異なるメディアへの適応性:
Xは、140文字という制限があるもの、文章が苦手な人でもなんとか利用できるようになっており、誤解を招きやすいが拡散力は高いです。
noteは長いテキストを扱うサービスであり、より文章を読む能力が求められるため、全ユーザーにとってアクセスしやすいわけではありません。
漫画と宣伝(ラノべ)の消費:
漫画は、絵と文字を使って情報を伝えるため、独特の文法があり、これを理解できる人は限られています。
ラノベは比較的簡単な内容で、読者に選ばれず、飲むようにすんなりと読めます。そのため、多くの人に受け入れられています。
ラノベを活用したビジネスモデル:
ラノべの製作コストは漫画に比べて低く、ストーリーを伝えるためには扉絵だけが必要です。これにより、テストマーケティングがしやすく、成功すれば漫画化やアニメ化でさらに上昇することができます。
KADOKAWAは、ラノベを基にしたこのビジネスモデルで業績を伸ばしており、夏野剛氏が推進しています。
AIの活用方法:
講演や声の仕事では、自分のアバターを動かすことができます。
「VOICEPEAK」などの音声合成技術を使って、自分の声で読み上げたコンテンツを配信できます。
自分の代わりにアバターが動画に出演する「D-ID」などのサービスがあります。
AIの学習:
自分の声や顔、動きをAIで学習させ、リアルに近いアバターを作成できます。
「LORA」という技術を使って、皆さんの画像から新たな画像を生成します。
AIの応用:
AIを使ってオーディオブックを読み上げたり、講演会を行うことが可能です。
「ホリエモンAIサブスク」のように、自分のAIをサブスクリプションサービスとして提供することも考えられます。
創作活動でのAI活用:
ChatGPTを使ってラップの歌詞を作成することもできます。
小説やデザイナーの作成にAIを活用することは可能ですが、まだ日本語の細かいニュアンスを完璧に理解するのは難しいです。
これらの技術を利用することで、人間が直接行う必要のある作業をAIが代行し、より多くの創作活動に集中できるようになります。 AIの進化は日々進んでおり、将来的にはさらに多くの可能性が考えられるでしょう。
ChatGPTで教育は変わりますか?
ChatGPTを外部脳として活用することで、暗記をする必要がなくなる。
生まれたときから教育の一切をAIに任せることで、あり得ないような知性を持った子供が育つ。
親目線だとしても、子供を見てくれるAIの需要は高い。
上記の教育の未来は急進的かもしれないが、大人が学ぶスクールは実現する。
自動生成するためのプロンプト・エンジニアリングスクールなどのニーズは高まるだろう。
大学で先生が教える内容は、座学から実技へ移行していく。
単なるレポートの提出から、
「駅前にある売上不調の店に行って再建してきなさい。その結果をレポートにまとめなさい。」
という形に変わる。
ネット上にある教材で自習するのが効率が良いのであれば、究極的にはそれで学位が取れてもおかしくはない。
人間の先生は特殊な状況への対応と生徒一人一人の心のケアなどを行い、万人が学ぶものはAIや動画を活用しながら、それぞれの生徒に最適化されていく。
ChatGPT以後、必要なスキルにどんなものがあるのでしょうか?
まずは生成AIに慣れる。
どう命令を出すのか?そんな生成AIを使うのかをわかり、認知能力、推進能力、決定力などの本質的に仕事に必要なことも重要になる。
ChatGPTやLLM(大規模言語モデル)の仕組みも知っておいた方が良い。
ChatGPTは英語の方が性能が高いので、使えないよりは使えたほうが良いが、すぐに答えが必要な場合は英語は勉強したほうが良いかもしれない。
人とAIの違いはどこにあると思いますか?
「AIは人間のような感情がない」
という意見が多いが、悲しいニュースを読み込ませ、
「この文章を読んでどんな気持ち?」
と聞くと、
「悲しみ7、怒り3」
と感情をアウトプットする。
人間もそのアウトプットした感情が裏ではどう思っているかはわからない。
ホルモンバランスが崩れれば、感情的になったり性格が変わったようになる。
人間は高度で知的な活動をしているようで、以外と何も考えていなかったり、思考のいらない言葉のキャッチボールをしている時間の方が多いかもしれない。
→ChatGPTと何が違うのだろうか?
人間とのAIの大きな違いは、「短期記憶の容量と更新性」。
記憶容量に限界があり、トークンを十分に記憶しておくことができない為、受け取れる単語や句の数に限りがあった。
→アップデートされるごとに記憶されるトークンも増えているので、それが本1冊程度の記憶まで拡張されれば、ほとんど人間と区別がつかなくなるかもしれない。
データストレージと処理速度が改善されれば、AIは記憶容量を順調に伸ばしていき振る舞いも人間に近づき、知性の面で人間と区別するのは難しくなっていく。
ChatGPTは続きを書くマシーンと言われるが、人間も「むかしむかし」と言われたら「あるところに」が出てくるように、反射的に会話を組み立てている。
→2~3年以内には、slackやメールのレスポンスにAIが入り込んでもそれに気づかないという状況が生まれてくる。
Vチューバーの世界ではアバターの向こう側にいる人がどんな人かを問うてはいけないというマナーが確立しつつあります。
そうなると中身の人間は誰なのかわからなくなり、すでにAIが自律的に動いている可能性もある。
アバターの中身がわからなければ、年齢や性別、その他あらゆる属性に関係ないコミュニケーションが当たり前になってくる。
昔、人工知能を搭載したしゃべりかけてくる車に乗り、難事件を解決していく「ナイトライダー」というアメリカの特撮テレビドラマがあったが、その世界観に近くなるかもしれない。(肩にずっとGoogleHomeがある感覚)
AR(拡張現実)は一般的に風景の中に3D映像やキャラが出てくるのが想定されるが、耳元で情報をささやかれた方が、ゴールに到達できる。
第2章 ChatGPT後の社会と、生き方について教えてください
ChatGPT後の生き方はどのようなものになるでしょうか?
ChatGPTがない世界とある世界では、「何が変わるのか」を明確にしていく。
今まで以上に多くのデータを処理しながら、あらゆるものを自動的に解析していく世の中になる。「リアル」と「バーチャル」の世界は2つにパキッと分かれているのではなく、緩やかにつながっている
※テレビで引退試合を見て一緒に涙を流す、YouTubeでゲームの実況動画を見る
自分の人生だけでなく、いわゆる推しもリアルとバーチャルの曖昧な境界の中で多様化している。
生成AIでより精巧なキャラクターが作られれば、「リアルの世界ではブサイクで生きづらいけどバーチャル世界の自分はイケメンになれる」「人間のアイドルは結婚しちゃうからAIの方が良い」となり、バーチャルの世界がより活発化していく。
今までは、三高(高身長・高収入・高学歴)や「勝ち組・負け組」という言葉が流行ったように、「頑張って成長することが求められる世界(=努力が求められる生き方)」だった。
→バーチャルの世界の出現により、リアルの世界でしんどさを感じていた人に、居心地を見つけやすい世界が到来した。
→頑張らないと幸せになれない社会から頑張らなくてもそれなりに幸せになれる社会ができた。
「努力しないと将来食べていけない。ろくな人間にならないぞ」と叱られていた人も「いいよ。バーチャルの世界で快適に暮らしていけるから」と言える世界が訪れようとしている。
誰もが最低限の幸せを享受できる世界になっている。
「食」
人間がおいしいと感じる食の方程式の構成要素は、糖質・脂質・アミノ酸であり、すでに確定している。
代表例)バター、砂糖、味の素
コピー食品によって多くの人の食は豊かになっている。
例)カニカマ、トリュフ塩、マツタケのお吸い物
「衣」
ファストファッションが広まり、デザインも機能も高度なものが増えたので、切るものにお金がかからなくなっていった。
例)ユニクロ、ZARA
「住」
リモートワークの普及により、都心に住み続ける理由が減っていて、地方には家賃の安いところはいくらでもある。
どんな人でもそれなりに幸せな生活を送ることができるようになっている。
「幸せ」は安くなっているので、お金の心配をするよりも思い切って自分のために行動したほうが良いと思う。
大学生へのヒアリングの中で「一番欲しいものは?」という問いに対して、少なくない人たちが「安楽死」と答えた。
バイトのお金の半分を「推し活」に使っている人もいる。
→誰も自分とデートをしてくれないし、1万円を使っても楽しいことがないから推しに投げ銭して「ありがとう」と言われるのがうれしい
ある意味で自分の人生を諦めて、推しの人たちが「自分の人生の代行業」をしている存在になっている。
「阪神タイガースは自分の人生みたいなもの」と言う人がいるように、人生の楽しみを外注しているしている人は意外といるのではないか。
どんな仕事が残りますか?新しい仕事は生まれるでしょうか?
多くの人が食いっぱぐれる。しかも、今まで「食いっぱぐれない」と思っていた仕事ほどなくなる。
エンジニアがコードを書く→マネージャーがチェックする
というのが今までのプログラミングの作業だったが、ChatGPTがコードを書いてくれるので、エンジニアは不要になる。
「人間性」を強みにする。
人の心を動かすコーチング、リーダーシップが求められる仕事、高額なサービス業、インフルエンサーなどは今後も必要。
高級店→人間が接客
安い店→タッチパネルや機械が接客
に二分される。
メタバースの中に人間が唯一持ってきているのは「声」。
アバターを着ていても声だけは最後に「人間味」として残る可能性が高い。
皿洗いやゴミの清掃などはその仕事のために機械を作るまでもないと考えられるため、なくなりづらい。
経理事務や資料整理、データ解析は厳しくなる。
ネットフリックスの作品の制作では、ビックデータが活用されている。
→場合によっては人間より的確な判断をし、人間のプロデューサーや監督と同じかそれ以上の作品を作る可能性はある。
ミッドジャーニーを使って架空のアパレルブランドを作ることもできる。
プロンプトさえ工夫すればハイクオリティの画像を生成できるので、人間のモデルやクリエイターは不要になる。
ある日突然、広告モデルがAIに変わっていても気付かない瞬間が訪れるかもしれない。
AIによって新しい職業が生まれるというよりかは、今までの職業を「AIで」やるようになる。
「今あるサービスをAIで行ったらどうなるか」という思考が大事。
→今まで人がやっていたことをAIが簡単にやってくれるサービスはあり。
例)高齢者の相手をするサービス
「ひとり○○」のビジネスやサービスは増える。
→少数精鋭+AIでできるようになるから。
AIでデータ分析やマーケティングを行い、案を出してもらい、最後に人間が意思決定する。
孤独を癒すサービスもAIで作ることができる。
例)AI占い
細木数子さんのような有名な占い師のデータと話し方をAIに覚えさせて悩みに答えさせる。
例)特別な人と話す
アインシュタインのような過去の偉人など
例)友達がいなくて話ができない、会話が苦手な人に会話のアシスタントをしてあげる
結局、AIとどう付き合っていくのがよいでしょうか?
AIを使いこなすことである領域のスキルが飛躍的に伸び、人間側の機能も進化する。
例)藤井聡太さんは小さいころからAIを相手に壁打ちをしていた、不調に陥った羽生善治さんはAIを使った研究で再び強くなった
幼少期からAIに触れているほど、今までとは全く異なる思考回路を持つ可能性はある。
AIの進化の波は変わらないのでどうAIと付き合っていくかが大事。
➀AIをうまく使う
→ビジネスを始める、仕事に取り入れる
➁AIと戦う
→最悪の選択肢。自分にしか出せないクリエイティブや知的生産はほとんどあり得ない。AIに学習される。
➂AIから逃げる
→飲食業や介護サービス、手作業が必要なものは残りやすい
AIの影響はほぼすべてのジャンルに及ぶので、競わない方が良い。
ウサイン・ボルトが自動車に勝てないように、「人間カテゴリー」の中で最強を目指せばいい。
近い将来、あらゆるジャンルが細分化され、いくつもの部門が作られる。その中で自分が得意そうな分野を見つけ、価値を発揮すればいい。
AIの使い勝手がよくなるので、人間はますます自分勝手になる。
→「人間対応能力」が大事になる。
誰とでも穏やかに接することができて、自分の周りに100人友達を作るような、マネジメント力やリーダーシップを磨く。
「人間性」という面倒くさいものをマネジメントしたり、調整する人になれれば生き残る。
AIの影響で格差は広がるのでしょうか?
たとえAIが稼いでくれたとしても、そのお金は多くの人には入らない。
AIを使いこなす人とそうではない人の間では、間違いなく格差は広がる。
50年前は40億人だった地球の人口が今では80億人になっているため、一人当たりの富や幸せのパイは絶対的に少なくなっている。
AIを活用することで人件費は大幅に削減され、収益が上がる可能性があることから、AI税がかけられることもあるかもしれない。
暴動が起こらない程度の豊かな社会が訪れる。
多くを望まなければ、今でも不自由なく生きていくことができる。
今後の世界はとにかく遊んでいる人が強くなる。
※遊び=好きな仕事で自分が楽しいと思っていればそれは遊びの範疇になる
AIがアシスタントをして、本当にやりたいこと、自分が楽しいと思えることだけをする社会ができつつある。
人生100年時代の生き方も変わりますか?
「我慢して真面目に働いていれば生活は豊かになる」と言われながら高度成長期を過ごした親に育てられた子供ほど、新しい世界への移行につまずいている。
テクノロジーのおかげでやりたいことだけをして生きていく社会は準備できているが、将来への漠然とした不安に意識が行き過ぎて前向きな選択肢に気づけない人もいる。
「老後=仕事・活動しない」という価値観が間違っていて、「生涯現役」を基本にする。
それもボランティアで良いから活動することで、社会の中で役割を与えられ必要とされ、承認欲求を得られる活力は大きい。
見栄を張ったところでそれは過去の正解。やりたい方向にかじを切る。
AIが社会に入ってくることで心配な点はありますか?
いしけっていすらAIが行う社会になる。
AIによっておすすめされたものではなく、自分の意志で商品を選びたいと思っていても、もはやそれが自分の意志なのかAIによるものなのか見分けがつかなくなる。
AIへの信頼感が上がれば、受験校選びや志望校のリストアップなど人生における重要度の高い意思決定にもAIが介入していく可能性はある。
AI依存が進むと、人の心の弱みにアルゴリズムがつけ込んでくる可能性はある。
買う気のなかった商品を買ってしまうなど。
ライバーサービスの投げ銭でうまくいってる人たちの共通点は、大体1クラス15人程度であるということ。
→隣の人が投げ銭しているとつい自分もしたくなる。
そのうち、その店舗が持つストーリーも含めて、顧客の思考とマッチングして、同じ商品でもここで買った方が良いと勧めてくるようになる。
第3章 生成AIによってビジネスはすでに変わりつつある
これからの時代、どんなところにビジネスの芽があると思いますか?
フォートナイトは2023年3月時点で全世界で5億人がプレーしているヒット作。
フォートナイトの中で仮想の新宿を立ち上げ、そこでゲームができるようにするのにかかった開発期間はたったの3日。
フォートナイト上であれば、サーバーやチャットシステムなどは運営元であるエピックゲームズが負担してくれるため、栗栄太0はゲーム内で自分が作りたいと思った空間と仕組み作りに集中できる。
近い将来、テキストに打ち込むだけで3DCG空間が生成され、フォートナイト上でアップロードできるようになる。
仕様の変更により、外部クリエイターが作った空間で売上が発生した場合、収益の4割をクリエイターに還元できるようになった。
世界中の誰もが、一人で数百億の報酬を稼ぎ出すことができるようになる。
ゲームの根本となる仕組み自体もChatGPTのような生成AIに任せることで、モブキャラに話しかけたときに返ってくる会話のパターンも無限通りに生成できるようになるため、物語自体がプレイヤーごとに半自動で変更されていく。
→これまで考えもつかなかった生産性と創造性が実現される。
ゲームをプレイしているのは子供に他ならないため、多くの大人はこの革命に気づいていない。
大人がまだ気づいていない世界で生まれる現象から、次の時代の当たり前が作られていく。
フォートナイト上の多くは「ディスコード」というチャットサービスを使っている。
世代が変わればコミュニケーションツールが変わっていくことにも注意が必要である。
若い世代は親世代が使っているサービスを使いたがらない。
→30~40代のFacebook利用率が40%を超えるのに対し10代は13%ほど。
メタバース領域のトッププレイヤーはFacebook(Meta)ではなく、エピックゲームズ。
さらにエピックゲームズはオープン化を発表したため、多くの外部クリエイターはフォートナイトを使っていく可能性が極めて高い。
AI×メタバースでビジネスはどんなふうに変わりますか?
旧来通りの、技術を非公開にすることで自社の優位性を保ち、上場を目指してお金を稼ぐ方法ではなく、プログラムの構造さえも公開して誰でも改変できるようにできるようになる。
→OpenAIも当初は非営利団体で技術者は100人程度しかいなかった。
つまり、数名の天才さえいれば世界を獲れる世界である。
自社の技術をオープンにすることで世界中の人に使ってもらうことで想像を超えるアイデアも出てくる。
→個人で「君の名は。」レベルのハイクオリティなエンタメを作り、YouTubeで1億回以上の再生数をいだり、被害やテロの対策を練ったり、都市開発や戦争のシミュレーションに使われる可能性がある。
ゲームやSNSを開発するコストが著しく下がるので、ここからの3年間はチャンスだらけ。
今後お金よりも「知能」や「知性」が求められるようになる。
AIは人のコミュニケーションに影響を及ぼしますか?
多くの業界で生身の人間からAIアバターへのシフトが起こりつつある。
画像生成AIにVR技術で没入体験を実現することができれば、リアルな世界で苦労して恋人を探さなくてよくなる。
同棲していない限り、実際に会う時間よりラインをしている時間の方が長いので、VRをチャットのセットによってつくられる仮想彼女にひっくり返されてもおかしくはない。
→バーチャル上では、返信しているのが人間なのか、AIなのかの区別はつかなくなる。
会話が得意でその人の好みに合わせることができるのであれば、キャバクラやバー、介護や医療まで応用範囲は広がっていく。
OpenAIを立ち上げた創業者たちは、「人間はそもそもそれほど賢くない」ということを知っていた。
→世の中のほとんどの人たちの会話は、それほど正確ではなくなんとなく両者の間でキャッチボールが成り立っているだけで満足。
ChatGPTは会話における正確性や読解力に合わせて適度に手を抜いている秀逸な作りになっている。
今後AI同士が会話を始めたら1%のトップオブトップの頭脳を持つ人しか理解できなくなり、残り99%は理解が追い付かなくなる。
AI技術が発達していくと、エネルギー問題や食糧問題などがあり得ないアイデアで解決していくと予想される。
この速度でテクノロジーが進化していけば、今の世代とその下の世代で倫理観の分断が起こる。
今までとは全く別の思考の仕方をする若者が出てきて、今まで価値があると思っていたものがひっくり返される瞬間に恐怖を感じることになる。
ポストChatGPT時代に人間に残されるものは何でしょうか?
特に仕事においては人間の価値はゼロに近づく。
今の職業に別の付加価値がないと生き残れない。
「コミュニケーション」と「遊び(=趣味)」が残る。
趣味に生きがいを見出すことは、ChatGPTにはできない非論理的な感情がつきものなので自分なりの喜びを見出すことができる。
趣味も得意もないのであれば、とにかくいろんなことを試しながら得意なことを見つける。
その中で自己承認欲求が満たせるものを見つけると毎日が充実する。
何が起きても大丈夫な自分を作ること、仕事以外の居場所を作ることが今後も大事になる。
第4章 人とAIの違いってどこにありますか?
AIは人間の脳をすでに超えていますか?
脳は「推論」によって物事を認識していて、AIも計算による「推論」によって答えを出している。
例)見る
まず目の前のものを、脳が「こういう風に見えているはず」と暫定的に作り出した映像があり、それを「実際に見えているもの」と照合しながら、推論と実像のブレを少なくして、「見る」という行為を行っている。
→幻覚やお化けはこの視覚プロセスに歪みが生じて起きるとされている。
だとすると、私たちが見えている現実が果たして本当に現実なのか。みんな見ているものが同じなのかどうかは実際は定かではない。
推論を立て、仮説を送り、フィードバックを返す。その繰り返しで学習していく。
→ディープラーニングとほとんど同じ仕組み
AIも経験によって学習して、性能を向上させ、学習した知識や経験を新しい状況やデータに当てはめて考える適応能力を持っている。
脳は省エネルギーで済むためコストパフォーマンスが高い。
1日当たりご飯1~2杯のエネルギーで働き通すことができる。
昔のAIはルービックキューブを解くのに原発3基分が1時間に出力するのと同じだけのエネルギーを必要としたとされている。
マトリックスでは人間がAIによって飼い慣らされているが、人間がAIを使いこなすより、エネルギー消費の少ない人間をうまく使った方が効率的にはいい。
ただし人間は無限にエネルギーを使えるようにはできていない。
細胞内のミトコンドリアでATPというエネルギーを作っているが、その際に活性酸素を出している。
活性酸素は癌化や細胞死のリスクを高めてしまう。だから無尽蔵にエネルギーを作ることができない。
AIは電力さえ供給し、ローコストで無尽蔵に作れるようになれば、IT革命とは比較にならないほどの変化が訪れる。
人間の脳と人工知能のどちらが優秀かを考えるよりも、両者で協働する可能性を考えた方が良い。
人間には、他人のことを推論したり理解したりする能力(=心の理論)がある。
心の理論は幼児期から発達していくが、その発達を評価するための課題の一つに「誤信念課題」というものがある。
最近のLLMは、この誤信念課題などの「心の理論」のテストを解けるようになっている。
また、長年にわたり人間とコンピュータの区別をするための「チューリングテスト」にChatGPTが合格している。
なぜここまでChatGPTがうまくいっているのかを実は最高責任者でもわかっていない。
「次にどんな言葉が来るのか」の確率が高いものを選んで返答しているだけなのに、これほど高度な会話ができるようになっているのに世界中が驚嘆している。
人間にとって、AIはどんな存在と考えればよいでしょうか?
AIは、人間の大脳の機能拡張である。
→車は運動能力の機能拡張
「AIは間違うことがあるから」「AIは人間の真似事をしているだけ」とバカにする人がいるが、私たち人間も同程度かそれ以上のひどい間違いをすることがある。
子どももよくウソをつくが、本人はウソをついているつもりはなく、生半可に知識があるからこそ一生懸命考えた末に嘘になってしまうこともある。
こうした挙動はAIも同じ。
ハルシネーション
=事実とは異なる内容や文脈とは無関係な内容を出力してくること
ネットの7割がAと言っていて、3割がBと言っていると、ChatGPTはそっくりそのまま結果に反映する。
このプロセスがハルシネーションを起こす。
→ハルシネーションを普通の発想からは生まれない創造の源泉としてポジティブに捉え、クリエイティビティに結びつけることもできる。
よく人と人が「言った言わない」を争っているが、客観的な事実としては自分が間違っている可能性が高いのにも関わらず、願望や希望によって事実がねじ曲がってしまうことはよくある。
このゆがみや不完全性こそが人間らしさとも捉えられる。
→ChatGPTのハルシネーションは機械が人間に近づいているからとも思える。ChatGPTを今までのコンピュータと同様に扱うことはできないかもしれない。
AI時代にはどんな人が価値を高められますか?
そもそも人間がやるべきではない仕事があふれているのも事実。
DJが既存の音楽をセレクトしてリストを作りパフォーマンスを行うように、「何かを複合的にアレンジしてプロデュースする能力の方が付加価値を生みやすい時代」になってきている。
「プレイヤー」に価値があった時代から「アレンジ」に価値を見出し、「英語が価値の高かった」時代から「Google翻訳で何とかなる」時代へと、何が付加価値になるかは次々と変わっていく。
多くにピボットできる能力が求められる。
教育の場でChatGPTは使ったほうがいいですか?
便利なテクノロジーは積極的に利用するべき。
ChatGPTを使うと「自分の頭で考える力が養われない」という人は、「自動車を使うと運動しなくなるので足が退化する」と言っているのと変わらない。
知識はすでにAIに敵わなくなっている。
どれだけ高学歴を目指しても、自動車と人間が陸上競技でタイムを競っているのと本質的には変わらない。
「価値」は時代によって変わる。
すでにアメリカの一部の大学では、学生がChatGPTを使って志願書を書くのが当たり前になることを前提に考えている。
→不可逆的な世の流れに反するより、プロンプト・エンジニアリングを教えるべき。
回答を間違えることもあるが、それは先生がデタラメなことを言っているのと同じ。
情報を鵜吞みにしないリテラシーを養うという意味ではChatGPT以前も以後も変わらない。
ChatGPTは最大公約数的な文章を出してくるだけですが、人間はそれぞれの人生の中でいろいろ経験してきたことを味わいや個性として出すことができる。
統計的な平均値から偏って外れていくことが人間の付加価値になっていくことを教育で教えていくべき。
AIの今後の進化はどうなるの?
賢すぎるAIは人間の理解を超える
→ヴィンジの不確実性という概念があるように、「全知全能に近づいた賢い人やモノの振る舞いは予測ができない」
例)イーロン・マスクやホリエモンがやっていることが理解できないのと同じ
→XAI(=説明可能なAI)という、「なぜそのようにアドバイスをしたか」を教えてくれるAIが必要になる。
人工知能の3つの段階
1、オラクル型
→「私にぴったりの洋服を教えて」と尋ねると想定外のスタイルを提案されたが3か月後に流行の最先端だったと気付く
2、ジーニー型
→「昼食を買ってきて」と頼んだのにパズルを買ってきた。これは依頼者が肥満であることを気にして、昼食を抜いてもイライラしないようにパズルを買ってくる。ようなこと。
3、ソヴァリン型
→一見不親切に見える師匠の行動には実は裏の狙いがある。ということ。
人の意識を機械に移植できる可能性もある
これが実現すると不老不死の初期モデルができるかもしれない。
あと10年くらいで猿で実験する目途が立つ。
ここまでのAIの進化から、シンギュラリティはすでに訪れていると考えられる。
→想像できないレベルの知能を獲得したAIに残る興味は、宇宙の謎を解き明かすことと、証明されていない問題を解決してしまうことになるのかもしれない
生成AIの危険性はあるのでしょうか?
海外のソフトウェア開発では、チームを攻撃する側と防ぐ側の2チームに分け、最悪の事態を想定して危険性を検証し安全性の高いシステムになるように改修を重ねている。
プロンプト・インジェクション
=悪意を持ってAIチャットボットを攻撃すること。全く関係ないアウトプットを返してきたり、噓をつくようになる。
ガスライティング
=心理的虐待の一種。故意に誤った情報を提示することで被害者自身の認識を疑うように仕向けること。偽情報によって自分が悪いと思わせる。
アルファ・パースエイド
=人間を説得する人工知能。これが進化して悪意を持つと、振り込め詐欺やフィッシング詐欺が自動で行われるようになる。
知識として知ることと実際に犯罪を犯してしまうことは別問題。
→知識がなかったために、大事に至ってしまうこともある。
わからないから規制するのではなく、民主主義のコントロール下に置いた方が良い。
下手に規制をかけることで、地下でダークAIを作る人が出てくる。
なのでただ規制をかけるのではなく、ダークAIに対抗できるようなホワイトハッカー的なAIを進化させたり、既存の犯罪者を取り締まるような枠組みを作るべき
GPT-4が3月に出てから、海外では凄まじい勢いでAIの議論が進んでいる。
日本は蚊帳の外で、一つの市場としか考えられていない。
企業だけではなく、国家間でも動きが出ている。
日本は新しい技術に対する好奇心が重視されてこなかったので、かなり遅れている。
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