【コラム】夫婦別姓とピエトロ。

去年から「選択的夫婦別姓」を認める/認めないみたいな議論がまた再熱してるらしいけど、正直どうでもいい。どうでもいいってことは、賛成でいい。(ゲイは結婚すら不可だからね、一人で死ぬのよ。)

そもそも日本人は苗字に拘り過ぎ。ただの”ファミリー”ネームじゃないの。それは家族の名前であって、私の名前じゃない。

そんなことを思っていたら、ベルリンで通っていたドイツ語語学学校のクラスメートを思い出した…


ベルリンに移住してまだ浅い頃よ。最初の語学学校で出会ったイタリア人のピエトロ君。彼はたしかまだ20代前半とかだったわ。
初めて会ったとき「ピエトロ・・・?」と戸惑ったわ。Pietro。笑っちゃいけないけど、日本人なら「あの、ドレッシングの?」ってなるわな。もちろん、イタリアに”福岡出身のピエトロドレッシング”はない。(ちなみに博多のピエトロは天神でピエトロレストランもやってる。行ったことないけどよかったらドーゾ。)


「僕はYoshi、よろしく!(外国人にはYOSHIと呼ばせている)」と名乗ると、相手も「Yoshi?」となんかどっかで聞いたことあるような感じを察知した。

聞いたら、任天堂スーパーマリオの『ヨッシー』。あれは海外ではちっちゃい「ッ」と伸ばし棒「ー」がなくなって『Yoshi』と名乗っているそうだ。(ヨッシー自身が名乗っているわけではないが!←詳しく知りたい方はwikiって下さい)


そんな話で出会って早々盛り上がる「ドレッシング」と「ニンテンドー」。


ピエトロはいつも朝会うと「おはよう、ヨシ」って言ってくれた。プリントを渡すと「ありがとう、ヨシ」。何か言うと「それいいね、ヨシ」。帰るときも「またね、ヨシ」

必ず僕の名前を呼ぶのだ。しかもちゃんと目を合わせて!


そのうち「この人、僕に恋してんのかな…?」と勘違いしだした僕は、”ピエトロ”だけで約一カ月はメシが食えた。キュンキュンむしゃむしゃ。


そんな妄想メシはある日突然終わりを迎えたわ。ピエトロがイスタンブールから来たチャラそうなトルコ人女(クラスメート)と付き合い出し、授業にもあんまり来なくなったのよ。

(…ふんっ!不真面目なイタリア人め!ボスポラス海峡も渡れないような世界のちっちゃい男!こっちから御免だわ!!)

それでもピエトロはたまに会うと優しく「久しぶり、ヨシ!元気だった?」と言ってくれるし、結果、いいやつだった。

そう、あいつの魔法は「相手をファーストネームで呼び続けること」…!


田中さんとか、鈴木くんに恋するのもわかるけど、それは結果、アケミちゃんとか、マサトくんなのだ。


『名前で呼ぶだけで恋ってこんなすぐ始まるのね!』と感心した。そしてそれを”パクった”!気になる男にはひたすらファーストネームを呼ぶ。(※あだ名・可)魔法をかけてやる。

相手を好きにさせる魔法→恋愛に発展→結婚→出産→少子化問題一気に解決!


ファミリーネームばっかに拘ってるから、セックスレスにもなるし、結婚も遠のくのよ。不倫の時ぐらいなんじゃないの、「田中さん!そこはダメよ!」とか苗字で呼び合ってるのって!!知らんけど。

クスっと笑えたら100円!(笑)そんなおみくじみたいな言霊を発信していけたらと思っています。サポートいつでもお待ちしております。