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トラウマとグリーフ(深い悲しみ) ①

こんにちは。
日本初のIAOTRC認定トラウマ回復コーチのEri Blueです。
(プロフィールはこちらから)


はじめに

グリーフ(Grielf)の日本語訳は、「深い悲しみ。悲嘆。嘆き。」

このコラムは、グリーフのエキスパートDavid Kessler先生の講義アーカイブを見て気になった部分をかいつまんで要約&一部解説したものになります。

講義は6時間あり、今回はその最初1時間分をまとめてみました。

トラウマとグリーフ

David Kessler先生を知ったきっかけは、内的家族システム(IFS)とトラウマエキスパートのFrank Anderson先生とのコラボセミナー。

セミナーの中で、両方の先生が

「グリーフの背景にはトラウマがある場合があるけど、
 トラウマには、必ずグリーフが必ず存在する」

とおっしゃられていたのが、今でも印象に残っています。

グリーフは死別だけじゃない…

グリーフというと、誰かの死別を指す言葉であるけれど、誰かが亡くなった時に起こるグリーフ以外も実は常に何かとの死であると… 

失恋:ロマンティックな関係の死
離婚:結婚の死
失業:安定した収入、仕事仲間との関係、そして仕事場の死

「Finding meaning in Loss: The Sixth Stage of Grief
(喪失に意味を見出す: 悲しみの第 6 段階)」
 David Kessler Feb 07, 2024 @Psychotherapy Networker

サバイバーが経験しうるグリーフ

グリーフは死別だけじゃないいうことを踏まえ、トラウマ回復の過程で、私自身がこれまで感じたグリーフをまとめてみました。もちろん、ここに書いてあるのが全てではなし、どんな時にグリーフを感じるかは人それぞれ。

  • 身体が限界を迎えこれまでのサバイバル的な生き方ができなくなったとき

  • 自分にもトラウマがあったと理解したとき

  • 過去の真実に思い出し、それを事実として認めざるえなくなったとき

  • 本当の意味での安心・安全がそもそも存在していなかったと気づいたとき

  • 人と最もつながりたい時に殻に閉じこもったり、壁を作ってしまう生き方をして、多くの機会を失ってしまったことに気づいたとき

  • トラウマによって失われた時間、幸せ、選択肢が理解できたとき

  • 加害者が背負うべきであったもの恥、トラウマ、責任などを、自分が背負いこまされていたことに気づいたとき

  • (回復が進み)サバイバーとしての生き方から自由になり、本来の自分としての生き方にシフトしていくとき

グリーフからの回復

グリーフからの回復は、
・直線的ではない
・1つの方法があるわけではなく、人それぞれの道を通っていく
・そこに明確な地図(過程)はない
・急性期の状態を抜けるのに、どんなに早くても2年はかかる
・(多くのアメリカ人が)グリーフについてカウンセリングに通ってしゃべれるようになるまで5年ほどかかる
・ドラマで観るように、サッと乗り越えられるものではない。

「Finding meaning in Loss: The Sixth Stage of Grief
(喪失に意味を見出す: 悲しみの第 6 段階)」 
David Kessler, Feb 07, 2024 @Psychotherapy Networker

トラウマからの回復も同じ!

トラウマにも色々なアプローチ(トップダウン、ボトムアップ)があって、そのアプローチが合うかはその人の状態、タイミング、相性次第。

どんなトラウマ療法があるか気になる人はこちらのリンクからどうぞ。

そして、トラウマの回復にかかる時間も人によって様々。
早く回復したから偉いとか、時間がかかっているから私はダメだってものではないです。

だって、そもそも回復は競争ではないですからね!

他人と比較してしまう人間のサガ

例として
結婚式がコロナでキャンセルになったくらいでグリーフなんて・・・。
2年で離婚したケースと、30年以上連れ添った結果で起こるグリーフはレベルが違う。

という声を聞くことがあります。

だけど、私が「何が最も辛いグリーフですか?」と聞かれた時には、必ず「最も辛く最悪なグリーフは、アナタが経験するグリーフです」と答えます。

「Finding meaning in Loss: The Sixth Stage of Grief
(喪失に意味を見出す: 悲しみの第 6 段階)」 
David Kessler, Feb 07, 2024 @Psychotherapy Networker

私たちは、学校教育、競争社会の中で、常に「比較」されてきた経験を持っている。だから、どんなことでも無意識で比較してしまいます。

因みに、比較されることが、家庭内、学校、塾等で教育虐待、精神的虐待という形で行われていたとしたら、比較に付随する毒性(恥、悲しみ、自己否定、完璧主義、他人の足を引っ張る・貶めようとする癖 など)はもっと深刻になります。

トラウマにおいても、それは同じ。

テレビやSNSをみて

「私のケースはこれほどじゃなかったから、辛かった/毒親だった/虐待されたなんて思ってはいけない」

って自分を言い聞かせてしまっている人はどれだけいるのでしょうか?

私自身も、子どもの頃「世界で一番いのちの短い国 シエラレオネの国境なき医師団」を読んだり、「世界がもし100人の村だったら」を見て

「私はなんて恵まれているのだろうか?それなのに、こんなに辛いと感じるなんて罰当たりだ。。。」

と、自分の悲しみや痛みを感じることを悪として、今の状況に対して感謝をしなければならないと自分を説得し続けていました。

真実

トラウマに対する理解や知識が深まり、トラウマとは

  • その時、アナタが何を感じていたのか

  • その時、アナタがどれだけ圧倒されていたのか

  • その時、アナタは逃げることができたのか

  • その時、アナタの周りには助けてくれたり、信頼できる人は居たのか

  • その後、アナタが安心・安全だと感じられる場所はあったのか など

自分があの時感じて、押し殺そうとしていた感情や感覚は、

「私にとっては本当は最も大切な心、そして身体からのSOSだったんだね」

と言えるようになりました。

ただ、頭で理解することと、実際に自分の中で知識を使い込むところまで落とし込むことはまた別次元の話。

内的家族システム(IFS)の基本コンセプト

「悪いパーツは存在せず、全てのパーツたちは良い意図を持っている」

を知らなかったら、きっと知識を自分の中で消化するのにもっと時間がかかっていたかもしれません。

最後まで読んでくださってありがとうございます。

感想&いいね励みになります!
そして、もし補足が必要な部分とかありましたらコメントいただけると嬉しいです!

それではまた!


Eri Blue  (エリ ブルー)
1983年生まれ。イタリア・ミラノ大学大学院卒(生化学博士)。管理栄養士。日本初IAOTRC認定トラウマ回復コーチ。外資系企業勤務を経て独立。ACE*スコア7のACEサバイバー。(詳しいプロフィールはこちらから)
*ACE(逆境的小児期体験)についてはこちらから

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