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 空を見上げると月が見えた。
 高齢出産で授かった男の子は大きくて、明るく元気に育ってほしいという願いから『たいよう』と名付けられた。そして翌年続けてやって来た女の子の名は『るな』。ラテン語で月を意味するらしい。

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「子供ができたら『そら』って名前にしようね」
 学生の頃にした口約束をなんとなく思い出した。その彼の子供の名前は『そらちゃん』で、もう二十歳になる。


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 今か今かと待ち望み、生物たちが活発になると、出会いと別れはピンク一面に咲き誇る桜の中で繰り返される。


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 雨の日は少し憂鬱になるけれど、大地は潤い自然には生命力が宿る。


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 若葉の緑は日に日に濃くなり、夏の明るい日差しを浴びて元気いっぱいアピールする【あなただけを見つめる】という向日葵の花言葉が好きだ。


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 そんな情熱的な言葉を怖くも羨ましくも思い、秋になって気温が下がってくると木々は真っ赤に燃え上がる。寒い冬を乗り越えることができますようにと、そっと願いを込めて。


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 そして冷えた私の手を握りしめ自分のポケットに導いてくれるあなたの手は温かく、白い息混じりで毎年繰り返される「今年もよろしく」という台詞を美化しよう。


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 この世にあるべき形で存在したものは祝され葬られるのに、姿を見せなかった小さな勇者は命日さえもないから、あの日みた最初で最後のあなたの涙と一緒に私の心に埋葬した。


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 私は巡る季節の中『しき』を感じ生きている。

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