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市内RPG 39ゴーレムを倒す方法
ぼくら、レベル11。勇者、戦士、魔法使い、僧侶の高校生パーティー。
魔王を倒すために、子郡市内をうろうろ。今は、子郡市のエオンショッピングセンターの地下段ジョンを探索している。
そして、地下5階で、レンガ造りのゴーレムと戦っている。
「どうやら足は固定されてるみたい」戦士ヤスが言った。
「扉を守ってるのよ」僧侶カナがゴーレムの後ろを指さした。
確かにゴーレムの後ろには、大きな赤い扉があって、いかにも秘密めいた雰囲気をかもし出している。
突然、ゴーレムが言った。
「汝ら、許さぬぞ。何人たりともこの先の大事な扉は開けさせぬ。」
「大事なのか」ぼくはつぶやいた。
「扉の奥にあるトリップサークルは、使わせぬぞ」
「ふうん、奥にはトリップサークルというものがあるんだ」魔法使いヒラが後ろに下がりながら言った。
「トリップサークルは魔王様の部屋に通じる入り口。市内のいたるところに配置されているのだ」
「へぇー、市内のどこにでもつながっているってことね」
「おい、どうやってゴーレムをやっつける?」戦士ヤスがぼくの方を向いた。
「ちょっと集まって」僧侶カナがぼくらに声を掛けた。
「ゴーレムは近づいた者を攻撃するみたい。一人ずつ順番に近づいて、攻撃したら下がる作戦でいきましょう。大きな重い身体をしてるから、足を一点集中でねらいましょ。それから、、、おしゃべりみたいだから、情報をたくさん聞き出せるといいわね」
「じゃ、おれからだな」戦士ヤスが、マもの星竿をつかんで立ち上がった。
「次は勇者、僧侶、魔法使いの順で行こう」魔法使いヒラも立ち上がる。
「それでは」「では」「では」「では」
まず、戦士ヤスが一歩前に出る。ゴーレムが身体を向ける。ヤスは下がる。
ぼくが前に出ると同時に左足を勇者のカッターで斬りつける。ゴーレムが身体を向ける。ぼくは下がる。
僧侶カナが前に出ると同時に左足を木魚でたたく。ゴーレムが身体を向ける。僧侶カナは下がる。
魔法使いヒラが前に出ると同時に水の呪文メチャツメタで左足に水のかたまりをぶつける。ゴーレムが身体を向ける。ヒラは下がる。
戦士ヤスが前に出ると同時に左足をマもの星竿で打ち払う。ゴーレムが身体を向ける。ヤスは下がる。
ぼくが前に出ると同時に左足を勇者のカッターで斬りつける。ゴーレムが身体を向ける。ぼくは下がる。
ナイスコンビネーション!
単調だが、ゴーレムの足に明らかにひび割れが見え始める。
「トリップサークルを使ってわれわれは移動することができるのだー」
「魔王の部屋に行くためには、アイテムを集めねばならぬことを汝らは知るまい」
「汝らに7つのアイテムを集められるわけがない」
「図書館で調べねばアイテムには辿り着くまいぞ」
「アイテムがある花楯山には絶対に行かせぬぞーー」
「青き魔王が必ずや勇者たちを滅ぼすであろう」
「・・・・」
「・・・・」
「あれ!?しゃべらなくなった」魔法使いヒラが水の呪文を唱えて言った。
「もうネタがつきたんじゃない?」僧侶カナが挑発する。
「そんなことあるもんか。ぬぬぬぬ・・・・」
これはもうネタ切れだな。
「おーーーりゃーーーー」戦士ヤスがマもの星竿で、力いっぱい左足をなぎ払った。
バキバキバキ、ズッシーーーーーンンンンン。
レンガの左足が砕け、バランスを崩したゴーレムは、音を立てて倒れた。
そして、動かなくなった。しゃべらなくなった。
「勝った」戦士ヤスがつぶやいた。
「写メ、写メ」魔法使いヒラが写メを市役所に送った。
「経験値3000、4000円」返信はすぐに来た。
「レベルアップはまだだね」
「奥に行きましょ」僧侶カナは、レンガのかたまりを飛び越えて言った。
前回まではこちら。
おひまならこちらもどうぞ。
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