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市内RPG 53 ほこらの奥

ぼくら、レベル11の、勇者、戦士、魔法使い、僧侶の高校生パーティー。子郡市役所で勇者登録をして、魔王討伐のために、子郡市内をうろうろしている。

1か月後に開かれる「小原合戦記念武道大会」では、優勝者に賞金10000円と退魔の剣が与えられることを知って、レベルアップのために修行することに決めたのだ。

僧侶カナのおじいさんのお兄さんの「天狗」の修行を乗り越え、試練のほこらに挑んでいる。

「メダルスライムが襲ってこなくなったわ。」僧侶カナが言った。
「ぼくらにかなわないと思ったのかな。」魔法使いヒラが言った。
「回復の泉に足を浸けて、無限回復しているしな。」戦士ヤスが余裕の表情を浮かべた。
「先に進みやすくなったね。」と勇者のぼく。

「行きましょう。」
「行こう。」
「行こう。」

暗闇の中を難なく進んでいく。
僧侶の呪文「ミエルー」で、ぼくらの目は暗闇でも見えるようになっているのだ。スライム以外の魔物もいないようだ。

しばらく進むと、ヒラが声を上げた。
「祭壇だ。」
暗闇の突き当りに、祭壇がある。左右に小さなろうそく2本。炎が灯されている。真ん中には、大きな銅像が二本足で立っている。
「なんだ、これ」ヤスも声をあげた。
「お尻ね。」カナはすぐに理解したようだった。
壁に埋め込まれたような銅像。よく見れば、牛のお尻の形をしている。両足でふんばり、お尻を突き出している。ちゃあんと、しっぽまである。
「馬なのか、牛なのか、わからないね。」ヒラは言った。
「たぶん、牛よ」カナが上を指差した。

『牽牛祠』

たしかに、上の方に額が飾っている。牽牛と書いてあるから、牛に間違いはないのだろう。でも、センス悪いな。牛の尻の像なんて。

ヤスが牛のお尻の足元に置いてあるものを見つけた。
「置き物ってこれかな。」
小石ほどの黒い牛を見つけた。石を彫っているみたいだ。牛のお尻に黒い牛。う〇ことまちがえてしまいそうだ。

「うんこみたいだなな。」ヤスが言った。
「・・・・言うと思ったわ。」カナは嫌そうな顔をしていた。

「おーーーーい、置き物を見つけたら帰ってこーーーい。」
ほこらの外にいる天狗の声が聞こえた。

はい、はい。
回復の泉から離れると、体が重く感じられた。

ぼくらは来た道をもどって、やっとほこらの外に出た。
泥だらけだ。帰ったら、母さんに叱られそうだ。

「置き物は見つけたか。」
「これでいいのかな。」
「そうだ、それでいい。」
ヤスが牛の置き物を見せると、天狗がそれを素早く奪った。

天狗の目が異常に青く光っている。
「青い。」ヒラもさけんだ。
これまでもボスは青いやつが多かったな。そして、カナのおじいさんのお兄さんはハーフじゃなかったはずだけど。

次の瞬間、突風が襲ってきた。

これまではこちら。

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