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市内RPG

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福井丘県子郡市。市役所発の魔王討伐に、高校生勇者がゆるーーく挑む。不定期連載中。
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#スキしてみて

市内RPG ⑩勇者のレベル

コンビニの広い駐車場で、グリーンスライムを見つけた。白線の汚れをかじっているようだ。 戦士ヤスと魔法使いヒラがゆっくり近づく。 よく見ると、2匹。 「大丈夫かな」ぼくは言った。 「勇者のくせにチキンだな」ヤスが言った。 「アツッ」ヒラが突然、火の呪文を唱えた。 「オリャー」あわててぼくも飛び出した。スライムAをヒノキボーでぶっ叩く。 「オリャー」ヤスも攻撃する。スライムの核をバトルステッキで突き刺す。 スライムAの動きがみるみる鈍くなり、動かなくなった。 動かなくな

コラボ企画「市内RPG」10回記念

高校生がバイト感覚で魔王討伐を目指す。ゆる〜い冒険譚「市内RPG」。 第10回記念として、絵が大好きな方とのコラボ企画を行います。 連載中の「市内RPG」を読んでいただき、インスピレーションを受けたイラストやマンガを気軽に投稿していただけたら、うれしいです。 イラストのもとになった「市内RPG」を貼り付けて、コメコメントいただけると、マガジンにまとめて拡散させていただきます。 ⑥勇者誕生? ⑦火の呪文 ⑧会心の攻撃 ⑨スライム ⑩勇者のレベル  冒険は続く。

市内RPG 12強くなるパーティー

ぼくら勇者、戦士、魔法使い、僧侶のパーティーは、子郡駅から電車に乗って、1つ北の小保駅で降りて、アスファルトの道を歩いている。 「ちょっと遠くない?だから、明日にしようと言ったのに」 さっきパーティーに加わった僧侶のカナは、文句をたらたら言いっぱなしだ。 「明日、自転車でって言ったのに」 戦士ヤス、魔法使いヒラ、勇者のぼくはそれを聞き流しながら歩いた。 広い県道が真っ直ぐ伸びている。片側は住宅地、もう片側は田んぼが広がっている。風はあるのだけど、日差しが強い。目的地は運動

市内RPG 15決戦、蛙神社!

蛙神社に着くころには日が傾いていた。 蛙神社に飾られた風鈴の音は、蛙の鳴き声に少しずつ押されていくのが感じられる。 ぼくら勇者、戦士、魔法使い、僧侶パーティーは、蛙神社の鳥居をくぐり、石畳みを踏みしめながら奥に進んだ。 蛙が鳴いている。ゲコゲコ、ゲコゲコ。 竹林に挟まれた小道。右手に池があるらしい。蛙の鳴き声もそっちの方から聞こえてくる。 少し開けた場所にぼくらは出てきた。池も見える。太い木の柵で池は囲まれていて、「入るな、キケン」の看板が立てられている。 「どこ

市内RPG 20まおた?さばひら?

ぼくらレベル9の勇者、戦士、魔法使い、僧侶のパーティーは、何とかけた巨大ピンクアブラゼミをやっつけた。 動かなくなったアブラゼミは、次第に小さくなっていった。 ぼくは、そのアブラゼミをつまみ上げて、手のひらに乗せた。 「まおたをさばひらをかぱんにいけ」 アブラゼミは小さな声で鳴いた。 「まおたをさばひらをかぱんにいけ?」 「デカくなる⁉︎」 さっきは、この鳴き声を出すたびに巨大になっていったのだ。戦士ヤスは不安そうな顔をした。 しかし、今度は変化はない。弱々しく鳴

市内RPG 21平岡パンに行け

横熊山遺跡で、巨大アブラゼミを倒したぼくら、勇者、戦士、魔法使い、僧侶のパーティーはレベル9になった。 次の目的地は、小保駅そばにある平岡パン工場だ。 パン工場といっても古びた工場ではなく、カフェテラスのあるおしゃれな工場だ。ランチ時には、OLさんの姿も見られる。 ぼくらは二師鉄子郡駅に10時に集合した。 「ここからは1駅ね」僧侶のカナが言った。 「トベルーは使わないの?」魔法使いのヒラが言った。 レベル9でカナが覚えた空を飛べる呪文。 「あれはなかなかきついから

市内RPG 22あんパンくんとの戦い

ぼくら、レベル9。戦士、勇者、魔法使い、僧侶のパーティー。 今、魔王の手がかりを求めて、子郡市小保にある平岡パン工場にやって来た。 平岡パン工場、1階の奥の自動ドアをくぐり抜けて、進んでいる。 エスカレーターの前に看板がある。 『関係勇者以外立入禁止』 「オレたち、関係勇者だよな」戦士のヤスが振り向いて、そう言った。 みんな、うんうんとうなづいた。 エスカレータに乗って2階へ。 2階は小豆色のフロアーだった。絨毯も小豆色、壁紙も小豆色、カーテンも小豆色。こんな

市内RPG 23辛口カレーパンさん

ぼくらレベル9。戦士、勇者、魔法使い、僧侶のパーティーは平岡パン工場の3階を探索している。 2階で、あんパンが変化したあんパンくんを倒し、エスカレーターで3階に上がってきた。 3階は、黄色のフロアだった。絨毯も黄色。壁紙も黄色。カーテンも黄色。 「こんどは黄色か」戦士ヤスが言った。 「黄色。バナナ、カレー、、、、」 魔法使いのヒラが言ったとき、戦士ヤスが持っている紙袋が、ぐにゃぐにゃと動いた。 「またか」 ヤスは紙袋を放り投げた。 紙袋には1階で買ったあんパンとメロ

市内RPG 23メロンパンレディ現る

ぼくらレベル9。戦士、勇者、魔法使い、僧侶のパーティーは平岡パン工場の4階を探索している。 2階ではアンパンくんを倒し、3階では辛口カレーパンさんをやっつけて、エスカレーターで4階へやって来た。 4階は、一面黄緑色。絨毯も黄緑色。壁紙も黄緑色。カーテンも黄緑色。 「バッタか、河童が喜ぶな」 戦士ヤスが適当なことをつぶやいた。 「バッタですってーーーーーー。失礼なーーーーー」 「それ、また魔物になるんじゃない?」 僧侶のカナは心配しながら、ぼくが持っている紙袋を見た。

市内RPG 24酒店とポーション

ぼくらレベル9の勇者、戦士、魔法使い、僧侶のパーティー。 平岡パン工場で、アンパンくん、辛口カレーパンさん、メロンパンレディを倒した。そこで、魔王はエオンの方に飛び去ったという情報を得た。 エオンショッピングセンター。 子郡市の大型ショッピングセンター。全国的な経営で有名なあのエオンだ。 あのエオンが子郡市にできるなんて夢みたいだ。建設時にはそんな声も聞かれた。売り場は1階のみ。土地が安かったのだろうか、馬鹿広い。店内には汽車ぽっぽが走っていて、小さい子や老人が利用で

市内RPG 28キンタッケーチキンのカゲ

ぼくら、レベル9の戦士、勇者、魔法使い、僧侶の高校生パーティー。 エオンショッピングセンターで魔王の情報をもつ、子郡市役所環境推進課探索係のカゲを探している。 「なかなか見つからないね」魔法使いヒラが言った。 「どこかにヒントはあるはずなんだが」戦士ヤスも言った。 「早く見つけないと、あいつらに先を越されちゃうわ」僧侶カナも言った。 あいつらというのは、ぼくたちと同じ勇者登録をした同級生4人組、ライト、井上、馬場、ルミのことだ。 さっき、ラクーラクーザの前で、お互

市内RPG❎「ひとわけいぶき」さん

今回は、なんと、あの「ひとわけいぶき」さんに「市内RPG」のイラストを描いていただきましたーーーーーー🤩🤩🤩 連載小説「市内RPG」。福井岡県子郡市に住む高校生のぼくが、市役所で勇者登録をして、魔王討伐にゆる〜く挑む。戦士ヤス、魔法使いヒラ、僧侶カナの4人パーティーは、魔王を求めて、子郡市内を探索中。 いつもは「みんなのフォトギャラリー」で写真をピックアップさせていただいたのですが、今回は、コラボが実現したのです。 「ひとわけいぶき」さんによるコラボ記事がこちら。 す