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【Original Love】ノンセクシャルかもしれない女子大生の「接吻」レビュー

長く甘い口づけを交わさなくても、
深く果てしなくあなたを知れる時代になってしまった。

焼けるような戯れをせずとも、
永遠に独りでいることなんて最初から知っている。

そんな世の中になっている気がします。


母がOriginal LoveのCDを持っていて、
私も小さい頃からよく聴いていました。
歌詞の意味も分からず、そもそも曲名「接吻」が読めない頃から。

メロディーもリズムも「大人」な世界。
でも「オトナ」な世界に聴こえなかったのは、
曲の上品さか、私の受け取り方か。

この曲は本当に愛されているから多くの名歌手にカバーされているし、
リスペクトあってのカバーだからどれも至極です。

例えば
藤井風の激しさはジンジャーエールのようで、
長岡亮介の薫りはウイスキー。
ハナレグミは昼下がりの麦茶のような親しみやすさで溢れていて、
Ovallからはグラスの中で氷が転がる音が聞こえます。

私は基本的に原曲しか好きになれない心の狭い人間だから、
こんなにカバーを聴けるのはこの曲だけかもしれない。


前回の記事は、好きだ!と断言できないことについて触れたものの、
今回は 好きだ!どころか 大好きだ!である。
(↓こちら前作↓)

なのに、なぜここまでだらだらと長く書けるのか。


それは私が「接吻」に違和感を覚えるからだ。



私は3、4年前くらいからノンセクシャルかもしれないと自分を疑っている。

数値で測れないものを自認する勇気もなければカミングアウトなんて
もってのほか。この記事だって、やっとの思いで書いている。

ノンセクの中にもグラデーションがあって人それぞれだが、

・自分から性的なことを「したい」という気持ちが無い。
・されるのは構わないこともあるが、死んでも絶対に嫌なこともある。

が私の感覚。これは断言する勇気があるほど確かだ。

だから、自分からは長く甘い口づけを交わしたいと思わないし、
焼けるような戯れなんて死んでも絶対に嫌だ。

なのに、この曲は自然に口ずさんでしまうし、共感できないのに大好きだ。

それはやはりこの曲のメロディーとリズム、コード進行など
歌詞以外にも魅力が詰まっているからではなかろうか。

少し前から、TikTokでこの曲に合わせたダンス動画が流行っている。
30年前の曲なのに。踊っている若者たちは、リリース時を知らないのに。

ダンスが流行っているということは、この曲のリズム、グルーヴが
ハマっているからだと思う。

歌詞動画だって流行っている界隈で、
共感を呼んで人気になる恋愛ソングが後を絶たない中で、
ダンス曲として愛される所以は、そこにあるのではないか。


自分の恋愛感情や性的欲求に目を向け、何かに気づき、言葉にしやすい時代になってきた。私と同じような人も、どこかにいる。

それでも私はこの曲が好きで、これからもこの曲を聴くし、歌うし、弾く。
恋愛ソングが共感を呼ぶのは歌詞だけな時代は終盤な気がしてきた。
これからは歌詞だけでなく、その歌詞が纏うビートやコードの空気感や温度も共感を呼んでいることにリスナーが気づく時代になってほしい。




ほか、Original Loveで好きな曲


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