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東京結界

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術師たちが東京の結界を守るお話。
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#東京

【断片小説】東京の術師達の物語13

「それはできない。」
 四戸は一言だけ答えた。
 この捜査から降りることはできないと言うか。
 今回の事件は四戸にとってかなり危うい。自分の父親がどういう立場かはまだ不明だが、もしかしたら容疑者になるかもしれない。
 そんな状況で私情が入った捜査でもされたらこっちはたまったもんじゃない。俺がコイツの都合に振り回されることは避けたい。
 それに、ここまで頑なに捜査に参加しようとしているのを見ると逆に

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【断片小説】東京の術師たちの物語12

「人の魂魄だ。」
 留火人は随分と落ち着いた声で一言そう言った。
 対照的に紅炎は額に嫌な汗を浮かべている。
 どちらの反応が正しいのか、俺にはさっぱりわからない。
 それよりも、留火人の言葉を正しく処理できていない俺がいた。
 魂魄…。魂魄って、あの、魂ってこと?
 人間が死ぬと1グラム軽くなったから魂の重さは1gだって有名な、あの魂?
 この魂魄には元々肉体があって、そこから抜け出したか取り出

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【断片小説】東京の術師たちの物語11

 柘に着いてきた俺と四戸は、応接間であろう座敷に通される。俺たちにここでしばらく待てとの指示を出した柘は火焔宮の主を呼びに出ていった。
 俺は部屋をぐるっと見回した後、どうしても気になっていたことを四戸に聞いてみる。
「お前、本当は宵業じゃないのか?」
 四戸は俺の問いに眉間に皺を寄せる。
「いや、ほら、さっき言ってただろ。空宵宮に仕えるとかなんとか。」
「さっきの柘だって火焔宮に仕える術師だろ。

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【断片小説】東京の術師たちの物語⑩

 スピード超過に信号無視の危険運転をしてたどり着いたのは火焔宮。いきなり核心をついていくのか?宮殿が絡むならもっと外堀から攻めていかないと。もし間違いがあれば俺たちは後がない。立場どころか命がかかってしまう。
 車を降りて火焔宮の扉へ向かおうとする四戸を俺は呼び止める。
「四戸!待て!待て待て待て!」
「なんだ?」
 鬱陶しそうにこちらを振り返った四戸は腕を組んで俺を見てくる。一応、話は聞いてくれ

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【断片小説】東京の術師たちの物語⑨

 俺が係長の言いつけを守らず、しかも四戸に正式に依頼されたわけでもない。いや、お願いされたが断った。その後何故か俺の車に四戸が乗っていて、いつの間にか一緒にスカイツリーまで来てしまった。完全にやらかした。経緯が有耶無耶すぎる。言い逃れができないと思うと俺は何も言えなくなった。俺は何を言うのが正解なのか考えようと重い思考回路を起動させていると四戸が沈黙を破る。
 「石留警部、申し訳ありませんでした。

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【断片小説】東京の術師たちの物語⑧

【断片小説】東京の術師たちの物語⑧

 殴り合いにはならなかったが、一触即発のムードで四戸と言葉でやり合っていたところを多くの人間に目撃されてしまった。これは何とも恥ずかしい上に特にゴシップ好きな同僚に見られていたことに後から気づいた俺は頭を抱える。
「派手にやりますね〜。」
 林はニヤつきながら俺を見てくる。男のくせにゴシップが好きななのはコイツの術式によるものか。
「派手なのは俺じゃない。アイツだ。」
 ダメだ。今ので完全に悪目立

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【断片小説】東京の術師たちの物語④

【断片小説】東京の術師たちの物語④

 宵月と呼ばれた男は跪き頭を垂れる四戸を黙って見つめる。ひんやりとした空気が張り詰めるのがわかった。宵月が発する気だろう。だがその矛先は俺ではなく四戸だ。
 顔を伏せている四戸の表情は分からないが、手がかすかに震えている。俺のソファで優雅に図々しくも自分で珈琲を淹れて飲んでいたあの四戸が震えてるなんて、この宵月と言うか男はどんなに恐ろしい人なんだ?というか、そもそも人間か?人間にしてはあまりにも神

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【断片小説】東京の術師たちの物語③

【断片小説】東京の術師たちの物語③

 睡魔に抗えずにそのまま眠ってしまったらしい。カーテンの隙間から陽が入り込み顔を照らす。眩しくて起きた。時計を見るとまだ6時。あと1時間は寝られる。再び目を閉じようとした時、式神が出続けていることに気づいた。一度解除しようと人差し指と中指を立てて薬指と小指を親指で押さえて空中を横一文字に切ろうとしたその瞬間。
「待て、まだ読んでいる。」
 読んでいる人がいるのか、じゃあもう少し出しておこう。手を納

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