モラルと損得をテクノロジーで紐付ける時代
SDGsが2020年代のキーワードのひとつになるのは間違いないと思う。
SDGs(持続可能な開発目標)とは、“2030年までに達成すべき17の目標” を指す。2015年9月に国連で開かれたサミットの中で世界のリーダーによって決められた、国際社会共通の目標である。
環境問題などにも大きく関係する。ビニール袋はタダでもらえるけど、エコバッグを使ってプラごみを減らしましょうとか。
企業にとっても、個人にとっても、高いモラルが求められる時代。
なのだけど、単に「良識ある行動を」と呼び掛けても、「便利」とか「損得」には割と簡単に負けてしまうのが人間である。
たとえば昨日、テレビ東京の「カンブリア宮殿」でメルカリの特集をやっていた。メルカリのヘビーユーザーである主婦が紹介され、細かい数字はうろ覚えだけど、
「950円で買った本を、読んだ後、1100円で売った」
というエピソードが出てきた。
これをやると、「著者や出版社への配慮がない」「モラルに欠ける」という意見は必ず出てくるだろうし、事実そうなのだけど、人間のモラルというのは、簡単には変わらない。
良くないとわかってはいても、バレなきゃいいだろ、とか、罰則もないからいいだろ、とか、私だけじゃなくみんなやってる、とか。
要するに、「やめろ」と言われて「はい、やめます」という正直な人間だけではないということだ。
ぼくは、もう単に「モラルがない」と指摘するだけでは人を動かせないと思っている。便利な方、得な方を選んでしまうのが人間。これだけプラごみの問題が浮き彫りになっていても、レジ袋の有料化に不満を漏らす人はたくさんいる。
面白いなと思ったのは、中国の配車アプリDiDi(Uberのようなもの)の評価システムの話だ。
タクシーで不快な思いをした経験を持つ日本人は少なくないと思うけど、それがなくならないのは日本のタクシーにドライバーの評価システムがないからだと思う。
しかし中国の配車アプリDiDiには、もちろん評価システムがある。
それどころか、GPSとジャイロセンサーで安全運転しているかどうかさえも測定。速度超過や急ブレーキ、急発進などで評価が下がる仕組みになっている。評価が下がれば、稼げる度合いにも影響が出る。だからドライバーたちは必死で良い行いをするし、安全運転も心掛けるようになる。
中国では、
・良い行い・・・(相対的に)得をする
・モラルに反する行い・・・損をする
→良い行いをしよう、という流れに変わる。
しかし日本では、
・良い行い・・・当然のものとして考えられている
・モラルに反する行い・・・批判は受ける(しかし罰則はない)
→何も変わらない。
イタチごっこを繰り返すだけでは、モラルを変えることはできない。
2020年代は、モラルと損得をテクノロジーの力で紐付けられた企業が、結果的に勝ち残っていくのだろうな、という気がしている。
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