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入院でヒマな時間にたくさんの資料を読んでES書いたら内定取れた(就活記録_後編)

修士の頃、週8でラーメンを食べていたら膵臓炎(すいぞうえん)になって入院した。
そして研究から離れてヒマになった私は将来を考え直して、博士過程へ進学せずに就職することにした。
それが前編のお話。

今回はそんな私が入院先のベッドでやったこと。
※なお、私が新卒で就職活動をしたのは10年前で今と異なる面もあります。


入院で会社説明会をキャンセルし、残ったのは1社だけ

就職活動を本気で行うことを決めた私。
ただ、入院する前から主要な企業には一応エントリーしていた。
専門が化学だったので主な応募先は総合化学メーカーだった。

で、就活を始めるにしても今の私はベッドの上。
入院期間は1~2週間らしい。
なので予定を確認して、入院期間中の説明会をキャンセルする必要がある。

「まぁ1~2週間だし、一応10社ほど応募してるからなんとかなるだろう」
そう思っていた。
だけどその予想はすぐに裏切られる。

「えーと、A社の説明会は・・・明後日。あー、キャンセルだなぁ」
「仕方がない、B社の説明会は・・・4日後。こちらもキャンセルだ」
・・・
ん?1社しか残ってないぞ?

当時の就活では「会社説明会に参加→エントリーシート(ES)提出→面接」という流れ。
10年前なのでもちろんweb開催などなくて現地のみ。
そして会社説明会に参加しなければ選考に進めなかった。
つまり私は入院した時点で1社しか受けられなくなっていた。

いやいや、2次募集があるはず。
たぶん、きっと、なんとかなる。
そして各社の予定を確認した。

・・・学会と被ってる。
その学会で私は口頭発表をする予定だった。
さすがに外せない。

というわけで、私の就活は1社に対して一点集中で行うことになった。
本気を出しはじめたのに残機ゼロ。

ヒマな私は会社の資料をとにかく読みまくった

本気で就職活動をしよう。
そう決めたけど何をしたらいいかはわからない。

なのでまずはリクナビなどで就活の流れを知り、エントリーシートの書き方を学んだ。
どうやら会社のことを知ることが大事らしい。
当たり前か。

というわけで、私は会社の資料を読みまくった。
採用サイトの情報はもちろん、経営理念、会社情報、最近の業績や中期経営計画なども全部見た。
資料に載っている単語は研究漬けの私には分からないことだらけ。

だけど幸いにして入院中の私には時間がたっぷりある。
しかも1社しか受けられないので、その会社を知ることに集中できた。

現在の業績はなにか
稼ぎ頭の商品はなにか
中期経営計画から読み取れる、今後の注力対象はなにか
そのうえでどんな人材を求めているのか

とにかく思いつく限りの観点で資料から情報を集める。
ただ読むだけじゃ覚えられないので、会社情報をノートにまとめた。

ESを書く前の会社情報収集にとにかく時間をかけた。
ちなみに転職でも企業情報の収集は必須だったので、資料を読み漁る経験は転職活動でも役立った。

「自分が伝えたいこと」ではなく「企業が求める人材」であることをESで示す

企業情報を集めたら次にエントリーシートを書く。
幸いにしてESは手書きではなくwebフォームからの入力だった。
だけどwebサイトでの入力は慣れないので、記載項目を書き写してwordで作成した。

ここで意識したのは「企業が求める人材であること」に合わせた自己紹介、自己PR、研究紹介を書くこと。
そもそも私は「サークルの代表」でもないし「潤滑油」にもなれない。
幸か不幸か定番の経験をしていないから、自分で記載内容を考えるしかなかった。

例えば「協調性」を重視しているならチームで成し遂げたエピソードを書く(ひねり出す)。
このとき、ちゃんと「自分の役割」も書く。

「チャレンジ精神」を重視している場合は前例の無いことに挑戦した話を書く。
あと、「なぜそれに挑戦したのか」という意図も書いた。

他にもメーカーの技術職は技術力を重視しているので研究紹介の部分の記載にも気をつけた。
特に重視したのは文章の論理性や簡潔な記載など。

ひとつひとつの項目に時間を掛けていたら大変だ。
だけど何度もいうが当時の私はヒマだったのだ。
何なら「てにをは」などの助詞にまで気をつけた。

そして私は練りに練った渾身のESを提出した。
結果は見事書類合格だった。
首の皮一枚つながった(もともと一枚しかなかったけど)。

面接:学会発表で資料作っておいて良かった

ESが通った私を待ち構えていたのは面接。
面接では研究紹介、技術的な質疑応答のあとに通常の面接を行う。
そして事前に用意するものは「10分ほどの研究紹介スライド」だった。

幸いにして研究紹介スライドは学会発表資料を使い回せた。
学会発表の資料は研究室のスタッフのチェックをくぐり抜けており、我ながら質は高い。
しかも学会発表に向けて発表練習を何度もしていた。

また通常の面接で聞かれるであろうESについても、練りに練りまくったので中身を覚えていた。
なので何を聞かれても答えられると思った。

そして面接当日。
退院した私は慣れないスーツを着て会社に向かった。

正直に言うと、面接本番の内容は全く覚えていない。
ただ2時間以上掛けていたらしく、他の人よりも長かったらしい。
後から聞いた話だが、その会社は推薦入社がメインで一般で応募してきたのは珍しいらしく、それで時間を掛けたようだ。

帰り道、すぐに合格の連絡が来た。
その後は役員面接だけど実質もう内定らしい。

こうして1社に集中した私の就活は終わった。

人生なにがどうつながるか分からない

その後、私はこの会社で10年弱働き続けた。
幸いにして上司や同僚、同期には恵まれており、悪くない生活だった。
色々あって転職することになったけど、今でも1社目がここでよかったと思う。

ラーメンを食べすぎていなかったら入院していなかった。
入院していなかったら博士課程に進学し、全く違う人生を歩んでいたと思う。
もちろん今の会社にも転職していない。

そう考えると人生って必ずしも思うようにならないけど、その中でできることをやり続けることが大事だと思う。
今後も予期せぬことや腹が立つこともあると思うけど、もがき続けていくしかないのだろう。

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