治療

長期入院してしまったフリーランス | #3 生死を分ける歯磨き

急遽入院することとなったその診断名は、"感染性心内膜炎"でした。

心臓には血液の逆流を防ぐ弁がありますが、その弁に細菌がくっついて増殖し塊となり、血液を送り出すたびにひらひらと揺れている状態で、もしその細菌の塊がなんらかのきっかけで(あるいはきっかけがなくとも)血管内に飛んでしまった場合、脳梗塞や全身の塞栓症など重篤な合併症を引き起こしかねず、命に関わる非常に危険な状態、とのことでした。

正確な病状などについては以下のサイトをご参照ください。


この日病院に行かなければおそらくそのまま日常生活を続けていて、近いうちにぱたっと倒れていたかもしれません。本当に運が良かった。つい最近伊勢神宮にお参りしたお陰でしょうか。

この病気にかかった原因はまだ断定できていないのですが、一番可能性が高いのが"虫歯"ではなかろうか、というのが医師の所見です。

実は2018年末ごろに虫歯に気づき、しかししばらく放置して2019年2月ごろにやっと治療を開始しました。その放置した期間、もしくは治療時に口内の菌が体内に侵入し心臓の弁に付着、ゆっくりと増殖して今に至るのではないかと言うことです。感染性心内膜炎の原因として虫歯は例も多いそうです。つまり、確率は低いものの誰でもなりうるそうです。早めに歯医者、行きましょう。
僕もこれからもっと丁寧に歯を磨きます…。

診察後すぐにICU(集中治療室)に入院し絶対安静が言い渡され、ベッドから一切動いてはならない状態となりました。とても前日まで重い重い機材(図1)を担いで3階まで階段を上り下りしていたとは言えません。

図1. 重い重い機材


ICUでの厳重な管理が2日ほど続いたのち、すぐさま症状が悪化することはないだろうという判断で一般病棟に移ることができました。しかしそこでも絶対安静は続き、トイレは尿瓶か車椅子で移動、それ以外はベッドから動いてはなりませんでした。

この感染性心内膜炎の治療は大きく2つに分けられました。

①内科的治療:抗生剤の投与を続け血液内の菌を殺しきる。

②外科的治療:開胸手術を行い物理的に切除する。

入院した日から①の抗生剤の投与は始まっていましたがしかし、いつ細菌が飛ぶかわからない状態では②を行うのはほぼ必須でした。また、細菌の塊が弁に付着したことで弁の機能自体が損なわれ心不全状態となっていたため、弁を人工弁に置換する必要もあり、いずれにせよ外科手術は避けられない状態でした。

そこで、外科手術に備えて都内の大学病院に転院することになりました。転院して即手術というわけではなく、色々と検査をしたのちの手術ということで、7月中に手術を行うということがおおよその目安となりました。

もちろんなるべく安静に越したことはありませんが、転院後は行動の制限は緩和され、フロア内だと自由に歩き回れることになりました。おかげで気兼ねなくトイレに行けるようにもなったのが一番ストレスが緩和されたことかもしれません。シャワーも久しぶりに浴びることができました。

福岡から母が駆けつけてくれました。社会人になっても迷惑をかけてしまって申し訳ない気持ちでいっぱいです。着替えなんかは自分で用意しなければならず、また色々手続きもあるので、東京で独り頼る人もいなかったら入院するのも一苦労なのだろうなとひしひしと感じます。


転院後しばらくはCTだとかMRIだとか、より精密な状態を調べるために色んな検査を受けています。

続きます。


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