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gallery fu 「MOTHER展」に出展します

横浜にあるgalley fuにて「MOTHER展 -私たちはどこから来たのですか? 私たちは誰ですか? 私達はどこに行くの?-」が本日より始まりました。

ゲノム編集に衝撃を受けた代表の鈴木智惠さんが、テクノロジーによって人間の定義が書き換えられようとしている今だからこそ、一度「人間」について考えようというコンセプトで始まった本企画。

森美術館特別顧問の南条史生さんや、立正大学で哲学を教えている田坂さつきさん、東福寺住職の増田真祐さんなど、芸術や哲学、宗教という多方面から、人間についてディスカッションする機会をいただき、それぞれの作家が1年くらいかけて作り上げてきました。

僕としては、専門分野の方々とのディスカッションが大変面白く、作家をやってて本当によかったと思いながら、作品を作り上げてきた次第です。

■人類史の革命を前に

巷では人工知能(AI)の話題がだいぶ一般的となり、テクノロジーによって社会が変わっていくことは誰もが認知するようになりましたが、それと同時進行的に、バイオテクノロジーやゲノム編集によって、人間自体も大きく変容していきます。

200年生きる人や、病気にならない人、超人的な能力を手に入れる人が出てくるのは、SFの世界ではなく、もはや時間の問題でしょう。それは人類史において、農業革命や出アフリカと同レベル、またはそれ以上の「革命」であると主張する人もいますが、僕も同意見です。

人間の定義が拡張され、書き換えられる時代に僕らは生きています。そんな時だからこそ「人間とは何か」をちゃんと認識しておくことは、作家のみならず、現代を生きる全ての人が一度やっておかねばならないタイミングであると、常々思っていました。

■作品について

僕は下記作品を出します。

まず「空っぽの宴 -我々はどこからも来てないし、どこにも行かない-」というタイトルをつけ、コンセプト的なコピーを考えました。

我々の肉体は無数の細胞によるネットワークの総合体であり、無数の粒の塊であって、常に破壊と修復を繰り返す流れの上に成り立っている現象にすぎない。数年前の肉体はすでに消滅しており、現在の肉体も数年後には何も残っていないだろう。そして肉体という総合体は、いずれ数字とコードの総合体として管理・維持される時代がやってくる。

おそらく我々はどこからも来ていないし、どこに行くこともないだろう。我々の存在は、宇宙というエネルギー体の一部にすぎず、まばたきの瞬間に残る、刹那的な残像のようなものだ。我々がいかに進化した気になろうとも、真実の光は手の届かないところで輝き続け、我々の儚い旅の宴を照らし続けるのだろう。

テクノロジーによって新たな旅路に踏み出そうとしている今だからこそ、人間に戻る時だ。不合理・不確実・不明瞭の宴を盛大に楽しもう。それが進化の奴隷にならず、未来と共存するための唯一の道である。

上記のコンセプトコピーを指針に、材料から吟味して作りました。

一枚絵を分解し、有と無の連続体の世界を、キャンバス地とアルミ地の市松で組むことで表現し、アルミの反射性を使って、現実世界も映し出されるギミックにしました。

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遠くからは残像のように見えるスケルトンも、近くで見るとドットの集まりになってしまう仕組みで、キャンバス地にはそれぞれ素数と、ランダムに生成されたシリアルナンバー、それにひもづくバーコードを配置し、数字とコードで管理される時代を表現しています。

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そこに落書きのように吹かれたスプレーが、今回の作品で僕が一番主張したい、「人間に戻れ」というメッセージです。今こそ、人間が人間たる由縁である「創造性」に、人類は回帰すべきで、好奇心や衝動に突き動かされ、無目的に何かを描いたり作ったすることが、テクノロジーが介入できない人類最後のフロンティアだと思っている次第です。

さらにリアルな世界では欠けている一枚画を、デジタルという幻影の世界で「完全画」として出す双方向性がコンセプト的にハマると思い、OpenSeaというNFTマーケットでデジタルデータを来月より並行して発表します。(詳しくはコチラ

gallery fu [MOTHER]

【場所】
gallery fu
神奈川県横浜市中区石川町1-31-9 [access]

【開催期間】
2021年 4月29日(木)~ 5月16日(日)
12:00~19:00 日曜日17:00まで 月曜日休廊


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