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NFTマーケットに参戦してみた(過程と雑感)

4月23日(金)晴れ

昨今話題になっているNFTマーケット。
米国人アーティストのBeepleが制作したデジタル作品が75億円で落札され、アート関係者のみならず、ビジネス関係者の間でも熱い議論が交わされている。

ブロックチェーンという技術が一般的になってから数年、いつかこういう世界がくるであろうことは誰もが考えていたと思うけど、ついに先月大ブレークし、今年がNFT元年という意見も少なくない。

■NFTおさらい

知らない方のために簡単に説明するので、知っている方は読み飛ばしていただいてかまわない。

今までタダでコピーし放題だったデジタルデータが、ブロックチェーンの技術によって、「オリジナル」を保証できるようになった。それにより、デジタルデータでも「限定品」として売れるようになり、今回Beepleというアーティストが作ったデジタル作品に、75億円の値がついてみんなビックリ、という流れ。

販売できるのはアート作品に限らず、Twitter創業者による一番最初のツイートが売られたり、一番多いのはおそらくゲームの限定アイテムだろう。

NFTとは、そのプラットホーム上で取引されるお金(主にイーサリアム)のことで、販売物もお金もデジタルなので、時間や場所の制約にとらわれることなく、地球上どこでもすぐに売買できる。

今回のアート作品が高値で売れたことは、単なる起爆剤(それもかなり意図的に起こされた)に過ぎず、今後は様々なものがデジタル上で売買される世界がやってくるだろう。そこにはプロもアマも関係なく、今まで値段がつけられなかったものも商品となりうることから、良い意味でも悪い意味でも、価値の革命に近いものが起こるのかもしれない。

ただし大爆発した業界には、様々な思惑渦巻く有象無象のチリが集まってくるのは世の必然。今現在はかなりカオスな状態の上、参加するハードルも高い。やがてそのチリがまとまり、一つの惑星が形作られていくように、いずれこの熱狂が収まり、インフラが整えられ、一般化していくことだろう。

■人類に残されたフロンティア

今まで人の目に触れられることなく消えてきたクリエイティブが、SNSによって世界中で共有されるようになったのが2010年代なら、それに値段をつけて、NFT市場で売れるようになるのが2020年代なのかもしれない。

それはテクノロジーによって、労働という役割を奪われる運命にある人間の、残されたフロンティアなのではないか。今こそ、人間が人間たる由縁である「創造性」に、人類は回帰すべきなのではないか、と考えながら作ったのが、下記の作品。

テクノロジーによって急速な変化が始まる現代に、人間がどうあるべきかを考えようというコンセプトで始まったgallery fuの「mother展」に出展するために作った(詳細はコチラ)。

一枚絵を分解して、空白のパーツと市松に組むことによって、不完全性や不明瞭性を表現したんだけど、リアルでは欠けている作品を、デジタルの世界であえて「完全画」として発表するという双方向性が、作品のコンセプト的にばっちりハマることに気づき、さっそく代表的なNFTマーケットであるOpenSeaに出すことにした。

■実際やってみて(やっぱりハードル高いよ)

実際出してみたけれど、やはりハードルはまだまだ高い。
(出展までの手順はこのサイトが参考になったので、やってみたい人はご参照を)

まずは仮想通貨を持たないといけないということ。僕は幸いビットコインを持っているので、その一部をイーサリアムという通貨に変えるくらいでよかったけれど、仮想通貨を持っていない人は、取引所でアカウントを開設するところから始める必要がある。

そしてOpenSeaでは、ウォレットというNFTを管理するツールとの接続が必要となる。僕はMetaMaskを使うことにした。この時点でまだ仕組みを把握しておらず、自分のアカウント作ったり、接続したりするのに一苦労。

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ウォレットをOpenSeaに接続したあとは、そのウォレットにイーサリアムを送金する。ここでも送金に2段階認証が必要だったりで一苦労。販売にはGAS代というイーサリアムをやり取りする際の手数料がかかるので、2万円分くらいは送っておいたほうがいい。

OpenSea上で作品データをアップロードしてコレクションに加え、販売手続きをする。値段を決めて販売する方法のほかに、オークション形式やセットで販売する方法もあるが、今回は普通に値段をつけて、前述の作品が世に出る来月から販売を開始することにした。この時点でGAS代を求められる。現在のレートで1万5000円程度だろうか。

こんな感じで手探りで進めていったので、販売するまでに1時間以上かかってしまった。そこそこの手間と労力がかかるので、それなりのモチベーションがない人は途中でくじけてしまうかもしれない。そして何より販売するためのGAS代が決して安くないので、作ったものを気軽に販売、という流れにはまだならないだろう。

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てことでまだまだ黎明期で、一般化にはほど遠いNFTマーケットだけれど、逆に考えれば黎明期だから面白いともいえる。これから発展するであろう新たなデジタルワールドを体験する意味で、ここでの悪戦苦労や失敗すらも、将来的には価値があることなのかもしれない。

とりあえず新しく始まった潮流に片足つっこみながら、しばらく眺めていきたいところ。

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