見出し画像

おはなし会で、私は“わざわざ”お話を覚えて語ります。絵本読むのじゃだめなの?朗読でいいんじゃないの?とも時々言われますが‥‥

実は絵本と語りと紙芝居はそれぞれ全く別物なんですね。(朗読についてはあまり詳しくありません。)

絵本

絵本は絵と同じページに文字が書かれ、ページをめくりますので、当然真ん中に線が入っています。その為、場面は開かれた絵本の左右のページにそれぞれ描かれます。(2ページに一つの絵のこともあります。)

学校や保育園などで読み聞かせするときは、しっかり片手で絵本を固定し、絵を隠さないよう、本が揺れないように、丁寧にページをめくり読み進めます。

紙芝居

紙芝居は舞台と呼ばれる台が必要になります。そして絵とは別に、それも背面に文字が書かれています。芝居ですので絵本と異なり声色もある程度お芝居します。

また、最初の一枚に、幕紙と呼ばれる舞台の緞帳の役目をするものを引き抜いてからお話が始まります。見る側も一枚ずつ絵を見ていけばいいので、絵本のように場面ごとに左右に目を動かさず、中心や全体を見続けます

語り

そして語り。話をまるまる覚えた上に、聞き手が頭に描きやすいように間や声の大きさに工夫を要します。

聞き手の目をみることができるのは語りもしくは紙芝居ですが、ダントツは語りです。相手の様子を見ながら語れる、語らないと味わえない醍醐味です。

昔話で旅する

昔話を寝るときに語ってもらったり、暖炉のそばで大人たちに語って聞かせた文化はどこの国にもあり、娯楽でもありました。

てすから、翻訳された素晴らしい各国の昔話を語るときには、その国に思いを馳せ、その国の文化についても知ることができます。

わざわざ覚える

この「語り」が一番、想像するだけでもめんどくさいですよね?覚えて、場面が見えるように語るなんて。

今は、テレビやユーチューブ、インスタや映画。何にでも映像がついているのが当たり前になっていて、お話だってCDやオーディブルでも十分聞けるのに、あえて生の声て伝えるのです。わざわざ。

M小学校1年生

先日、私が語ってきたクラスは実は騒がしいクラスと普段から言われていた2クラス。ところが、お話会が始まると、全員がくりっくりの可愛い瞳をこちらにむけて、耳もこちらに向けてくれているのが分かりました。

騒がしいクラスですって?とんでもない。ものすごい集中力でした。45分で絵本など見せるものが4冊、手遊び1つ、そして語り2つ。全てにおいて前のめりで聞き入っていました。

選んだお話の力、絵本の力もすごかったけれど、やはり目を合わせて語ることの大切さを力強く感じました。子ども自身が語るお話の中に入っている感じです。

『ふしぎなたいこ』

今回私が語った「ふしぎなたいこ」の話では、げんごろうさんの鼻が天国の天の川の橋のらんかん結ばれてしまい、鼻を縮めて天国に上がった所で、「え?どーやってかえんの?」とつぶやく子。鼻が伸びるのを面白がって笑う子。

心から楽しんでくれてるのを見ながら語れる、この心地よさと言ったら!他にはありません。

『ふしぎなたいこ』を語るときは、是非付け合せの絵本として『わゴムはどのくらいのびるかしら』を読んであげてくださいね。

めんどくささ < 心地よさ

覚えるのが大変で嫌になることもあるのに、なかなかやめないのは、この人と人の繋がりの基本、目を合わせて、声で話すことの心地よさを何度も感じたいからかもしれません。

私が語りを学び始めたきっかけは、小学校1年生に上がった息子が、当時お風呂の中で、『きょうね、がっこうて面白いおはなしきいてきたんだよ。さいしょのおはなしはね、‥』と語ってもらったお話2つをゆでダコのように真っ赤になりながらも、全部を語ってくれたからです。そんなに楽しかったんだ!そんなに楽しい世界があるんだね、と私をおはなしの世界にいざなってくれたのです。

以來少しずつ続けてきました。まだまだあがり症なので、緊張しますが、道具もいらず、いつても取り出せる素敵な趣味をこれからも続けていきたいです。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?