家族で映画を見てる時、急にセックスシーンが始まったときの気まずさ
めちゃくちゃ覚えてるのが「ナウルに死す」のDVDを観てたとき。
父親はわかりやすい感動もの(鬼滅の刃で泣いているらしい)、母親は観ている自分が賢いって思えるような暗めの映画が好きなタイプで、普段はまったく一緒に映画なんてみない。
ただ、たまたまどちらもミステリー映画が好きという点で共通していたらしく、中学生のころに僕がアガサ・クリスティーの「そして誰もいなくなった」を読んでいたことがきっかけで、リビングで一家そろってクリスティー作品の中でもの名作中の名作「ナウルに死す」を観ることになった。
もしかしたらタイトル、「ナウル殺人事件」だったかな。細かく覚えていないけど、ポアロのやつだ。
で、思春期の僕はまあまあ結構楽しみにしてた。
それまでわりに映画館には連れてってもらってたけど、両親一緒にじゃなくて、父親と僕、母親と妹、みたいなセットで観に行くことが多かったし、おもくそブラック企業に勤めてる父親が金曜ロードショーの時間に帰ってくることはまれだった。
だから家族そろって、ってとこに、ちょっとした憧れがあったのかもしれない。
部活終わりにコンビニでポップコーン(当時105円)なんて用意しちゃったりしてさ。
で、開幕、セックスシーンだよ。
「セックスを匂わせて朝を迎える」なんて婉曲表現じゃなくて、しっかりどぎついセックスシーン。身体愛撫したと思ったら、しっかり挿入もしてる。洋画だからってわけでもないだろうが、おっぱい丸出し乳首も世界丸見え。
当時の僕からするとだいぶ激しく身体を求めあってる感じで、セックスっていうより「SEX!」って印象のシーンだった。
喘ぎ声が聞こえた瞬間、どういう反応しようか迷ったが、ここで露骨に目を逸らすのもそれはそれで恥ずかしい。
とはいえ、最近精通したばかりの中学生の分際で、「いやいやセックスなんてオトナはみんなやってることでしょ?私にとってセックスはスポーツでござい!」なんてどこぞのサバサバ女子みたいな反応ができるわけもない。
というかぶっちゃけ普通にちょっと興奮してた。だってその頃はスマホも持ってなかったし、オカズと言ったらジャンプのうっすくてピュアなラッキースケベな一コマくらいだった。コンビニに並べてある雑誌のグラビアアイドルの、豊満な胸の谷間を、いかに見てると思われないように凝視して目に焼き付け脳に記憶しペニスで感じるかしか感じてない中学生に、スマートな反応なんてできるわけなかった。
そのため、冒頭シーンということもあって、僕はひたすらポップコーンを食べ続けるという作戦に出た。
だが、長い。
ひたすら長い。
体感10分くらいずっと交わってた。(実際5分くらいかね?)
「いやセックスってこんな長いのかよ!」って思った。
まだAVもしっかり見たことなかったし、オナニーはしこり始めたら3分で果てる早漏シコリザルだったので、セックスがこんなに長い時間かかると思わなかった。
入れて、パンパンパンパン!うッ!くらいのタイミングで射精するもんだと思ってた。
これも謎なんだけど、小学生の時に父親の知り合いの馬を育ててる人のとこに遊びに行った際、馬の交尾を見たことがあって、それが基準になってた。(まじで一瞬でイクのよ彼ら。ですっげー量。あんな出せたら頭おかしくなるくらい気持ちいいだろうなくらいの量。気になる人YouTubeで見てみてほしい。)
で、ずっとポップコーン食べるのも不自然だったので画面をまた見始める。
うっわマジでエロイ。女優さんめっちゃきれい。
僕も大人になったらこういうことできるのかな~。
…そういえば、うちの両親もこんなことしてんだよな。
そこまで考えて、またさらに気まずくなる。
両親の反応も確認したかったけど、それで目が合うなんてのは本当に本当に避けたかった。
僕がセックスシーンで「何かしら意識してる」って思われること自体がもう嫌だった。普通に、普通にを心がけるけどかえって不自然な感じになってしまう。興奮で息を荒げてるなんて思われたくなくて、かえって呼吸のリズムが乱れてしまう。
早く終われ、早く終われ、と念じ続け、やっとセックスシーンが終わった。
その後ようやく殺人事件が起こり、名探偵ポアロの推理が始まるわけなんだけど…正直なんも印象に残ってない。
それくらいにセックスシーン、いや家族で見るセックスシーンってインパクトの大きい気まずい思い出なんだよな。
でも嫌な思い出かって言われると、案外そうでもないのが不思議なとこだよね。
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