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nikimototo
8月の短歌
へブンに載せた短歌をまとめました~一言解説を添えて~
「初めての体験だった」云ふ君の
目に虹私濡れてよかった
万緑の柏手響く弁財天
痒みに三度目吉原の夏
コロナが奪つた温もりひとつ
梅昆布茶は冬の季語だった
幾重にも地層と成つた布山脈
フレンチ・リヴィエラの波打ち寄せ
どう見ても仏壇の位置に服収め
残つた肉を清めゆく泡
湯浴み前自ら足先流す手の
先流るシャワーの淑やかさ
胸を寄せメイク整え髪巻いて
今日も浜に城を設える
むせかえる廊下にくぐもる甘い声
思わず飲み干す冷えたいろはす
売ったなら買い戻せばいい春色の
桜フラぺに浮き立つ足先
春過ぎて夏来にけらし白妙の
頃も干されても蝶は蝶
不発弾抱え去りゆく背に思ふ
君に幸あれ世界平和なれ
純白の衣装に綻び見つけては
私しか知らぬ繭を編む
幾億人亡き者へとしたのだらう
ゴミ袋縛りまた今日が終わる
ちまたでは抱く抱かないと言うけれど
またで抱かれる愛しらぬからだ
寝具向く超純ローションやがて濁る
さだめにそそと背面向けさす
指名料入るからなんて理由だけで
足取り軽いほど軽くないから
靴札を探しポケット次々と
裏地と共に溢れる吾の笑み
浴衣帯揺れる通勤路あたしも
湯張り屋台を設えにゆく
お互いに顔も会話も忘れども
触れた肌から匂い立つ記憶
茶葉を挽くことがせめて出来たなら
キテネ、キテネ、と祈りを千切る
酉の市なき二年の時の中
熊手は夢掻き集めたとか
葦原を吉原としたといふならば
嬢も正社員ってことでよくない?
雑費がわからぬ 税はわかる
然して雑費がやはりわからぬ
風営法違反で取り締まりたい一位
唾液とファンデ混ぜるな危険
初見かと訊けば答えの「〇回目」
密かに手合わせ眺む湯煙
暴風雨の音聴く待機に浮かぶ顔
粋を教えてくれた人々
早いから 風のように 賞味期限
消費じゃないの 味わって
紅引いた鏡に映る名は源氏
此方コールの声ヒールの響きあり
姫日記姫始め姫予約
ベテランになるほど口にしづらい
静けさや即姫並ぶ8時半
コンビニ灯り煌々と燃ゆる
叢雲に雅滲ます摩天楼
背に歩けよ乙女夜は長し
夜に千夜一夜のやうなネオン文字
されど眠る街シンデレラのごと
靴並ぶ部屋の前にて息を飲む
閉じた瞼にPorn hub
お守りと鞄のうちに眠らせた
まぁむの文字がまぁるく微笑む
俯いて電子の海を覗き込む
人乗せた箱覗く山鳩
"ゆきかげ"の淡光揺れる店仕舞い
スープ求め腹の虫が鳴る
湯を掻いて願いと共に色を混ぜ
帰る君の背花咲き誇らん
ずるり。引き抜いて腰立つか
再び沈むかの男は二択
横たはる長髪に覗く美しさ
ちひさき寝息と星のまたたき
片隅で頭を垂れるシャワーの頭(ず)
何をお前は実らせたのか
湯浴み場の穏やかなる色合いの中
ガードハロー見て伸びゆく背筋
※こちらでアップした短歌は、3割のノンフィクションと3割のフィクションと4割のイマジネーションでできています
出勤前に飲むコーヒー。ごちそうさまです。