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氷河期世代は犯罪を犯しやすいのか?

(この記事は約3分で読めます。約1300文字)

安倍元総理の銃撃事件、京アニ放火事件といった凶悪事件を見ると、犯人が40歳前後という共通点が浮かび上がってきます。ひろゆきさんがこれらの事件について、こんなことをおっしゃっていました。

・氷河期世代(40歳前後)は就職氷河期だった上に、ちょうど派遣社員というシステムができたためあまり経験を積めなかった
・会社としては40代を雇うより若い層を雇った方がメリットがある
・社会は彼らに対して優しくしていない(不遇な世代としてしまった)
・そうならば、彼らが社会に対して「無敵の人」となってしまうのも仕方ない

(動画の6:43あたりから)


一理あるなと思いつつ、「本当に40歳前後の検挙率は高いのか」疑問だったので調べてみました。

まずは検挙者の年齢別の割合を調べてみました(犯罪白書より)。
年々20歳未満の割合が減少傾向にあり、逆に65歳以上の割合が増えていることがわかります。

検挙者の年齢別割合の推移


このうち、最新のデータ(2020年)を円グラフに変えてみます。

20代を除いて、年齢が上がれば上がるほど割合が多くなっています。ただし、これは世代別の人口比率を考慮していないため、高齢者の人口が多いほどこのようなグラフになりやすいです。

そのため、同じ年の人口の年齢層別の割合も調べてみました(総務省統計局より)。こちらも年齢が上がれば上がるほど割合が増えています(高齢者社会を表していますね…)。


先ほどの2つのグラフを見比べてみると、65歳以上の検挙割合は人口割合に比して5.8ポイント低くなっています。つまり、人口に比して検挙される割合が少ないということです。逆に20〜40代の検挙割合は人口割合に比して多いことがわかります。


この数値は全犯罪を対象としたものなので、殺人以外などの凶悪犯罪以外も含まれています。また、犯罪の動機は必ずしも1つではないので、「報われないと犯罪を犯しやすい」という一対一の因果関係があると結論づけるのは避けます。

しかし、ひろゆきさんのいう「不遇だった40歳前後の人が無敵の人となってしまうも仕方ない」というのは、データの上では関係性があります。


では、どうしたら「無敵の人」を少なくできるのか。ひろゆきさんは動画の前半でこのように話しています。

・今の日本はホームレスや生活保護者といった社会的弱者に対する視線が厳しい
・例えば、公園にいるホームレスが、警備員や警察に追い出されても一般の人はなんとも思わない(止めようとしない)
・しかし、彼らは別のところに移動したとしても同じように排除される
・一般の人は、自分の見える範囲から彼らがいなくなればスッキリする
・しかし、それは「あわよくば自分の見えないところで勝手に亡くなってほしい」というメッセージを出しているのと同じ
・そうすると、彼らが社会のルールや秩序を守ろうとしないのは当然で、社会に牙を剥きやすくなる
・つまり、人を排除するという考え方を変えていったほうが良い

たしかに、社会から疎外されている人が社会にルールを守ろうとか貢献しようとか思わなくなるのは、人の心理からしたら当然かもしれません。だからと言って犯罪を犯して良いとはなりませんが、少なくとも社会は自分に合わないから排除しようという考え方を捨てる時期にあるのかもしれません。


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