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運動が睡眠と痛みに与えるメリット

痛みの定義
痛みは、組織の実質的あるいは潜在的障害にもとづいて起こる不快な感覚・情動体験であり、それには組織損傷を伴うものと、そのような損傷があるように表現されるものがある。
と難しく定義されています。

要するに
①不快な感覚・情動体験
 →痛みは多面的である

図 痛みの多面性とは

②組織損傷を伴うものと、そのような損傷があるように表現される
 →ケガした直後の痛み(急性痛)としばらく経っても続く痛みやきっかけが不明瞭な痛み(慢性痛)

図:急性痛と慢性痛

痛みの多面性からみると、慢性痛は、不安や恐怖、過去の記憶などの側面が色濃く表出しているいわれています。
つまり、急性痛の段階で不安や恐怖、過去の記憶をできる限り取り除くことが慢性痛への移行を防ぐことにつながるということです。
これらの感情や記憶を取り除くための方法の一つに睡眠があると考えられています。
睡眠には、嫌な記憶を忘れさせたり、感情に関わる扁桃体の活動を抑える効果があるとされています。
良質な睡眠が、痛みの軽減に一役買ってくれるということになるわけです。

良質な睡眠と痛みの軽減に作用してくれる行為があります。それは、運動です。
良質な睡眠には、メラトニンという睡眠ホルモンの分泌を多くすることが重要となってきます。このホルモンは、幸せホルモンであるセロトニンから生成されます。日中のセロトニン量が多いほど、夜間にメラトニン量を増加することができます。このセロトニンの分泌量を増やすといわれているのが、リズミカルな運動になります。具体的にはウォーキング、ランニングなどがあります。単に運動することもすごく大切ですが、さらに睡眠の質を高めるためには、起床後4時間以内に太陽の光を浴びながら運動することが重要です。太陽の光には、体内時計をリセットする働きがあります。朝に太陽の光を浴びることで、夜間のメラトニンの分泌を促すことができるといわれています。
よって、睡眠の質を高めるためには、リズミカルな運動を起床後4時間以内に行うことが大切になるのです。

最近は、痛みに対しても、運動は有効であるといわれています。
運動の効果には、筋力増強、柔軟性向上、持久力向上、気分や認知の改善、痛みの緩和が期待されています。実際、慢性疼痛に対する運動は、有効性が立証されている数少ない治療の1つとされいます。
運動の処方には、頻度、強度、時間、種類が大切な要素になります。慢性腰痛、頚肩痛などの慢性痛患者では、ウォーキング、サイクリング、水泳などの低強度・短時間の運動でも運動による痛み軽減効果があるとされています。慢性痛で悩んでいる人にとっては、ウォーキング、サイクリング、水泳など一般的な運動を継続することが最も有効な治療になります。さらに改善するには、今より少しでも運動量を増やすことが重要となってきます。
よって、運動により痛みの軽減を図るためには、できる範囲でウォーキングなどの運動を行うことが重要です。そして、できる範囲で運動量を増やしていくことが痛みをさらに軽減させていくのに大切となってきます。

※痛みには、様々な種類があるため、運動が推奨されない場合もあります。

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