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「研究はいつか役に立つから大事。」 と濁してしまうなら、その研究をする意味はあるのだろうか 。前編2

前回に引き続いて、科学者からの立場で私見を述べる。

(3) たとえ博士号がなくても、誰でも研究者になれる

研究者といえば、大学で博士号を取らないといけないとお思いだろう。ところがそれはとんでもない誤解である。研究は大学じゃなくても研究機関じゃなくても、極端に言えば、学位がなくてもできてしまうことなのだ。

それでは何人か紹介していきましょう。

1. 堀川大樹(クマムシ研究家)

堀川大樹さんは、北海道大学大学院地球環境科学研究科で学位を取られたあと、アカデミアを転々としてたが、国や企業に研究費を頼る道を辞めて、自分自身で研究資金を稼ぐ道を選んだ。

有料メルマガ、クマムシのLINEスタンプ、クマムシの観察キットなど、多様なコンテンツをプロデュースして資金を獲得し、自分がやりたい研究を自由にできる環境を構築している。

これは私の意見であるが、おそらくこの方はアカデミアで、研究することを諦めたと思う。日本で少なくとも研究職の雇用が安定する平均年齢は、30代後半からが相場である。

こんな不安定な環境では自分のしたい研究をできずに、人生を終えてしまうことでしょう。基礎研究は、国や企業がスポンサーにならなければできない思い込みを、この方はいとも簡単に払拭した。

2. 坂田明(ジャズサックス奏者・ミジンコ研究家)

坂田明さんは、ジャズサックス奏者の顔を持つ一方で、ミジンコ研究家の一面を持つ。

学位は広島大学水畜産学部水産学科(現・生物生産学部)の学士止まりだが、本業の傍らミジンコに関する研究と、普及活動が認められ、2003年に日本プランクトン学会から特別表彰された。

2007年には東京薬科大学生命科学部客員教授に就任した。その後もミジンコの講演会などを定期的に行っている。

3. 高橋大輔(探検家)

高橋大輔さんは、バラエティ番組「クレージジャーニー」で特集されたこともある探検家である。明治大学在学中に世界中を放浪した。卒業後に会社員となるが、それは「旅」の資金を獲得するための目的に過ぎなかった。

会社を退職してからは「ロビンクルーソー」は実在したのかどうかを検証すべく、ロビンソン・クルーソーのモデルであったアレクサンダー・セルカークの住居跡を発見した。

4.  滝沢秀明(ジャニーズアイランド社長)

滝沢秀明さんはジャニーズJr.の時代からバラエティ番組で活躍され、その後、タッキー&翼としてCDデビュー。現在はジャニーズアイランドの社長を務める。

実は滝沢さんはもう一つの顔、火山探検家としても著名である。あるドキュメント番組で、火山調査したのを皮切りに、定期的に火山探検をしていた。

その火山調査は学術研究のレベルの域に達しており、2018年に、オンライン科学誌「Scientific Reports」に共著者として、論文が掲載された。

ここまで挙げてきて、分かることは、4人とも、好きが昂じた結果、素晴らしい実績を納めているということだ。

何も上記の有名人だけではなく、高専の学生や、生物部の高校生、はたまた小学生だって、積極的に学会発表を行い、専門誌にも研究成果が取り上げられている。本来、研究というのは敷居が低いものなのだ。博士号がなくたって、誰でも研究者になれる。

次回は、日本の研究市場がどうすれば盛り上がるのかを、述べる。

いよいよ一般人からみた研究市場に切り込んでいく。

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