「近畿地方のある場所について」を読みまして

 今回読了し紹介をするのは、背筋先生作の「近畿地方のある場所について」というホラー小説です。(発行元:KADOKAWA)

 この小説は小説投稿サイト「カクヨム」上で有名になり書籍化された作品です。私もカクヨム上で最初拝読をさせていただき、その後書籍化された本を購入し再度拝読させていただきました。

 本の表紙は不吉な赤い空を背景に「とある山」が描かれています。真ん中には何やら鳥居のような絵も描かれている。本の帯には「見つけてくださってありがとうございます。」の文字。一瞬この言葉がこの本を見つけてくれてありがとうという意味なのかと思いますよね。この言葉の意味が読了後に分かります。

 本の表紙を捲り、裏表紙を見ると目が点になる。裏表紙に描かれているのはこの本の中に記載されている記事の文面の数々。黒い文字が裏表紙を埋め尽くすようにプリントされている。もうこの段階からしてホラーです。

 作者の背筋先生のX(Twitter)アカウントも小説更新時はこの作品に連動するようにホラーテイストで更新を行っていたので、リアルタイムでカクヨムにて小説を読んでいた方は尚更恐怖心を駆り立てられたのではないでしょうか。

 この作品は様々な怪異にまつわる記事や未解決事件の記事を複数掲載しつつ物語を進めていくという、今までにない独自な手法で読者を魅入らせていく作品です。記事を読んでいくと徐々に「近畿地方のある場所」に辿り着くという叙述トリック。徐々に背筋が凍っていくホラー小説です。

 私はホラー作品が苦手だったのですがこの作品に出合い、ホラーでもエンタテイメント作品として楽しめている自分に気付きました。ホラーは深追いしない方が良いというこの作品内の記事を集めたライターの気持ちが分かりますが、カクヨムの感想欄にどなたかが記載していた「近畿地方に確かに似たホラースポットが実際にある」というコメントを見て、私も少しだけ近畿地方のホラースポットを調べてしまいました。

 どうやら近畿地方は沢山のホラースポットがあると有名なようですね。

 「近畿地方」とは大阪、京都、奈良、滋賀、和歌山、兵庫の広い関西エリアの事です。「関西」と「近畿」の違いが私はよく分からなかったので調べたのですが、その違いは「三重県が含まれているか含まれていないか」との事でした。「関西」には三重県は含まれておらず、「近畿」には三重県は含まれている。ではこの作品は三重県も含まれた場所の事を指しているのだろうかと私は思ってしまいました。

 調べた結果、「関西」と「近畿」の違いは法律では定められていないようで、二つの言葉の使い分けのルールは存在しないようです。一般的に使用されているのは「関西」との事ですが、「近畿」には「畿内」という由緒正しい地という由来があるようで教科書、企業名などには「近畿」という言葉が用いられることが多いそうです。とにかく、この作品に三重県を題材にしたスポットがあるのかどうかが気になる。

 三重県のホラースポットを調べた結果、廃墟が有名との事でした。その建物内に入ると災いがあると記載されている記事を発見したのですが、これ以上は怖くて調べられませんでした。

 近畿地方のホラースポットはトンネル、池(漢字変換時に気付きましたが「いけ」って「行け」「埋け」「逝け」とも読めるので怖いですね)、廃墟となった温泉、峠、踏切、山、森などとの事でした。この作品とも通ずる物が確かにありそうです。怖がりの私はここでホラースポットを調べる事をストップしました。

 「近畿地方のある場所について」この作品はかの有名なホラー映画「リング」「呪怨」などとも通ずるホラーを感じました。読了後に登場人物へこれから起こる事への恐怖を読者に残し、恐怖が伝染して行く。ですがエンタテイメント作品としてはとても素晴らしく、私はこの作品が映画化されて欲しいなと考えております。

 この本は最後に付録が付いているんです。本を購入された方は読了後是非付録を最後に開けてみてください。その付録を見て恐怖が増幅するか落ち着くかは、貴方次第。是非一読を。いえ、二度読み返して分かる事もありました。是非再読を。(先着限定のホラーシール、私も欲しかった…!勿論●●●●●の為です。)

 この記事を見つけてくださってありがとうございます。(この台詞良いですよね…!)