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【らんまん】君が欲しい 5/17感想【第7週・ボタン】

「らんまん」第33回感想です。

万太郎は東京大学植物学教室を訪れ、田邊教授(要潤さん)と面会します。
助教授の徳永(田中哲司さん)や学生たちは、小学校中退だと話す万太郎をバカにして、追い返そうとしますが、万太郎が、持参した植物標本や自作の『土佐植物目録』を見せると、皆の態度が一変。「この植物は何だ?」と標本を手に取り始めました。

そこで万太郎は、自分の標本を提供することと引き換えに、教室にある標本を見せてほしいと頼みます。土佐の植物の同定のために教室に出入りさせてもらう代わりに、標本の整理に協力すると、交換条件を提示したのです。
助教授は、権威ある東京大学に、小学校中退の万太郎が交換条件を出すとはあさましい!と一蹴しますが、田邊教授は目録や標本の価値、そして万太郎の情熱に理解を示し、「I want you here(わたしは君が欲しい)」と植物学教室への出入りを許可しました。

今の時代なら考えられないことなのかもしれません。海外生活を経験した田邊教授の見識、万太郎の自分を信じる気持ち、どちらかが欠けていたら、この奇跡は起こらなかったと思うと、地味なシーンではありますが感動してしまいます。

田邊教授のモデルとなった矢田部良吉との出会いについては、牧野富太郎が自叙伝の中で書いています。

…明治十七年に東京へ出ると、早速知人の紹介で、大学の教室へ行ってみた。時の教授は矢田部良吉氏で、松村任三氏はその下で助手であった。それで矢田部氏などに会ったが、何でも土佐から植物に大変熱心な人が来たというので、皆で歓迎してくれて、教室の本やら標品を自由に見ることを許された。

牧野富太郎『牧野富太郎自叙伝第一部 牧野富太郎自叙伝』

「らんまん」の植物監修を担当されている田中信幸さんは、著書の中でこのように書いています。

牧野は、「日本の植物学の父」あるいは「日本の植物分類学の父」などと呼ばれることが多い。…(中略)…「日本の植物学の父」と称されるべきなのは、矢田部良吉である。牧野富太郎が東京大学に出入りした際には、それらの標本を資料にして、日本の植物を研究していくお膳立てができていた。

田中信幸『牧野富太郎の植物学』(NHK出版新書)

この本によれば、矢田部と、徳永のモデル?になった松村任三は、全国各地を精力的にまわり、植物を採集して標本を作り、日本の植物研究の下地作りを行っていたということなので、富太郎の情熱や目標も、すぐに深く理解できたのかも? と思いました。

ドラマでは、田邊と徳永が対照的なキャラクターとして描かれていました。また史実を見ると、二人と万太郎との関係も、これから色々と変化していくのかもしれません。

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