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佳野
2023年3月30日 23:27
―恋は盲目。―茅尋は私が思っているよりもあっさりとその言葉を肯定した。自分から言った言葉なのに、肯定されたことに対して居場所のない不快感が熱を帯びる。「ねぇ、茅尋。」駄目、君だけは。もう狡い私を捉えてしまったんだから、君だけはちゃんと私を見て。視て。お願い。「一緒に、」「嫌だよ。」茅尋が言葉を遮る。寄せては返す波の音が僅かな沈黙を作った。「…まだ何も言ってないじゃん。」
2021年11月30日 00:25
喫茶店を出て、商店街を抜けた先にある海の見える公園に着く。この街の唯一のシンボルだが、天候の影響のせいか人は少ない。僕らは自販機で飲み物を買ってからベンチに腰掛けた。「今まで何してたの?」先に沈黙を破ったのは僕だった。「彼のところで一緒に暮らしてたよ。茅尋だって知ってるでしょ。」「街を出てからずっと?」「うん、つい最近まで一緒に暮らしてたよ。今は1人だけど。」「なら、その傷だ